小松湯（豊島区池袋本町）

差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2010年5月8日土曜日 6:30
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 小松湯（豊島区池袋本町）

ナカムラです。

今日（4/30）は、「小松湯（豊島区池袋本町）」に行ってきました。新板橋駅（都営三田線）から、1.0キロ、12分くらいです。

明日から5連休という解放感の中、帰路の途中の新板橋駅で途中下車し、池袋本町の同湯に向かう。池袋からは少し遠いけど、「池袋」の名の起こりになった旧池袋村の中心地だった地域だ。

一度、前を通ったことがある。ビル銭湯だけど、入口の両サイドに２軒ずつ店舗が入るという建物の間口の広さが気になっていた。

単純なビルではないようだ。ひょっとしたら、コンクリ造だけど、店舗部分の一部を除き平屋の浴場専用建物なのかも知れない。

エントランスホールには、左手にSakuraG錠プラスチック札のの下足箱、右手には傘を縦に収納する式のさくら錠ロッカーがある。フロントへ通じる厚手のガラスの引戸は、今時、手動でスライドするものだ。

元々の創業か経営を引き継いだ年かは良く分からなかったけど、「創業」は昭和25年で、昭和 42年か43年に現在の建物に改築されている。元々は唐破風の伝統的木造銭湯だったらしい。

屋号の由来は、元の経営者が石川県出身の小松さんという方だったからという。小松出身の方かと思っていたけど、やや意外な話だった。

もともとは番台の銭湯だったんだろう。脱衣所の一部がロビースペースに割かれてはいるけど、脱衣所オリジナルの広さは幅5間、奥行3間ほど。天井高は1間半と低いもののかなり大きな脱衣所だ。

洋館風の意匠を施した天井や、たばこのヤニが染みたレトロな業務用扇風機、使われていないもののミュージックボックスなど昭和中期的な雰囲気を醸すレトロな脇役達が健在だ。

ロッカーは、入口方の壁をメインに外壁側にもSakuraⅡのものがある。古くはない脱衣かごが、 2つだけ、ロッカーの上に置かれている。今まで見た脱衣かごの中で最も新しいものだ。

その他、マッサージ機、デジタル体重計など。広い脱衣所なので飲料の自販機が2台もある。

浴室との境は、脚部はブルーのガラスブロック。上部はサッシで浴室奥壁の中島さんのペンキ絵がリアルに眺められる。

浴室は、幅5間、奥行4間。波形の天井高は3間ほど。印象に残る大きなものだ。レトロな島カランは余裕を持って3列。カラン数はセンターから、6・6・6・6・6・6・6・6で、計48機ものカランがある。カランを埋めた跡が3機分ある。当初は実に51機ものカランがあったようだ。浴室の広さやカラン数の多さでは、かの五反田「萬福湯」を凌ぐ。改築前の府中市朝日町の「藤の湯」が、東京で最も多いカラン数72機があったというが、同湯と比べてどっちが大きかったのだろうか。

浴槽は風呂好きには堪えられない通好みのラインナップ。奥壁に接し、センターから、ぬる湯、 3点座ジェット×2の主浴槽、熱い湯の槽、実母散湯、そして水風呂。浴槽の後方には長～い水枕がある。

お湯は多少の濁りがある井戸水が使われている。熱い湯の浴槽の温度は44.5度くらい。主浴槽も43度くらいと、ガス焚きのお湯はやや熱めの温度設定になっている。そして、浴槽数が多いせいか、浅い浴槽が多いというのは穿った見方だろうか。

浴槽に浸かりながら脱衣所方を見れば、ガラスブロックの上に脱衣所の全景が見渡せる。万能台に座りながらテレビでボクシング戦を眺める客の姿はどことなく映像的だったりする。その上には全て目張りがなされているものの五角形の窓がずらっと並んでいる。脱衣所部分はおそらく平屋。あまり類例がない建物構造のような感じがする。

ビジュアルは中島さんの富士山のペンキ絵。中景と前景が川で、手前で川が二筋に分かれている。幅5間の絵は迫力がある。女湯には「ナカジマ」のサインとH21.4.1.との日付があるという。聞いて少し驚いた。描いて1年とは思えないほどに黴で黒ずんでいる。目張りをした高窓は、事実上、はめ殺しになっている。ペンキ絵としては過酷な環境に置かれている。どの位のサイクルで描き換えられているのだろうか。

上がりは、興真牛乳120円。街では希に見るブランドだけど意識して飲むのは初めての気がする。味としては明治や森永の方が上のように感じた。

連休前の金曜日の20：50から21：40に滞在。最初は相客1人だけだったけど、上がる頃には 10人くらいになっていた。減ったとはいえ、まだ風呂なしアパートが残る感じのエリア。ただ、どう感じてもオーバーキャパになっている。しかし、この大きな銭湯が客で溢れていた頃は壮観な光景だったと思う。

週末の一杯は、JR板橋駅至近の「松月」。ハイボールと菊水酒造の濁り酒で、刺盛り、中山道名物のモツの煮込みなどを頂いた。22：00をまわると満席というほどではない。大女将は優に 80歳は超えていると見えるが、カウンターに座って客と飲んでいる。なかなか凄い店だ。

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ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
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