差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2005年4月29日金曜日 18:49
宛先: 銭湯ML
件名: 金晴湯(横浜市磯子区岡村)

ナカムラです。

今日(4/22)は、「金晴湯(横浜市磯子区岡村)」に行ってきました。
根岸駅(JR京浜東北線)から、1.8キロ。20分くらいです。

当時、夜の横浜でその名を轟かせたという松葉好市氏の語りを、聞き書きという手法で書いた「横濱物語」という本を再読した。
桂歌丸の同級生で、同じく真金町の遊廓で生まれ。
一番華やかだったという昭和20年から東京オリンピックの昭和39年のまでの横浜が、臨場感を持って描かれている。
出版されて2年半経つけど、有隣堂本店でまだ平積みされていた。一気に読ませられてしまったし、優れた本ということだろう。

当時一番の繁華街だった野毛に、当時の痕跡を求め、帰りに金晴湯に寄った。

近くに丸山日用品市場という枯れた化石のような商店街がある。
「横濱物語」によれば、美空ひばりの旧家が、親族の経営のもとで魚屋のまま残っているらしい。
付近は、野毛とは趣きが異なるけど、横浜の下町、ディープなエリア。

隣湯の「鯉の湯(滝頭)」は、マン銭というよりは、アパート下駄履きのアパ銭。
屋号を記した洒落た看板がある。
サウナは故障中とのことなので、今日は金晴湯へ。

途中、大きな木の袂に「無縁塚」という小さな小さな石碑があって、住宅地なのにそこだけ不自然に開けている。
住宅が建ち並んだけど、これは動かせないということなんだろう。
小生の実家近くでも、こういう類いのものを撤去したら、その家に次々と不幸が襲い掛かったということがあった。
過去の霊は大切にしなければいけない。

さて、金晴湯。
市営バス9系統が走るバス通りに面している。「仲之町」バス停の近く。
道沿いの商店街はかなり風化が進んでいる。

昭和35年創業で2年前にリニューアル。
油井型の煙突は、綺麗に銀色だし、表もタイル張りのフロント部が増築されされている。

下足箱はアクリル板に、小さな松竹板鍵の錠。
自動ドアを通ると、昔のエントランス部と庭を潰したと思しきフロントスペース。中型の銭湯にしては、まずまずの広さ。
高齢の大女将に400円+サウナ代120円を渡す。

下足錠と引き換えに、ロッカーキーとサウナ室を開けるためのプラスチックのキーが渡される。
松竹錠のロッカーキーが、スポーツジムのロッカーキーのように、しっかりとしたリストバンドになっていてるのが珍しい。

脱衣所は2間半四方。天井は平格天井。枠と天板ともにいい材で組まれている。
しかし、古いものはこれのみ。

外壁側にサウナ室があるのと、フロントの一部にスペースが取られているので、少し手狭という印象。
梁の上の壁紙が、「青空に雲」という斬新な絵柄で驚かされる。
「松の湯(品川区中延)」で、天井に貼られていたものと同様のものだと思う。

ロッカーは松竹のシリンダ錠。縦長のロッカーで、中が上下2段になっている。
それと、四角い脱衣かごがいくつか。横浜で四角いのを初めて見た。

その他、食卓のようなテーブル、デジタル体重計、扇風機。そして、ブラ下がり健康器とステップマシンがある。
男女境は、折り畳むと女湯と一体になる構造になっている。

浴室は、幅2間半、奥行3間と中型。
天井は2段型だけど、プラ板が貼ってあって、風情には乏しい。

島カランは1列。カラン数はセンターから、5・4・4と少ない。
カランは日の丸扇の刻印がある角型でブルーの取っ手が付いている。

浴槽は、奥壁から外壁にかけてL字型に置かれている。
カラン数も少ないし、収容人数を抑え、風呂を大きくし、サウナを置いたのだろう。

深槽は薬湯。ヘルスケミカルのローズマリー・マジョリカルという聞きなれないもの。
隣はL字型槽で大きなもの。奥壁部分はバイブラ、深さもあった。
パイプで仕切られら外壁側は浅槽で1穴ジェットが3つ。
外壁側手前がサウナ用の水風呂。注ぎ口には陶製の獅子口がついている。2〜3人が入れる大きさで、冷却も利いている。

ビジュアルは、奥壁が渓谷の写真。その下には、タイルで竹垣を模し、立体的になっている。

サウナは5人くらい入れる乾式。
客同士が知り合いで、地縁ではない上下関係があるということを感じる。
若い客が、気を使いながらサウナの順番を待っている。
近くに何かあるのかなぁ。寮とかであれば、銭湯には足を運ばないだろうし・・・。

土曜日の18:30から19:20までの滞在。
フロントの大女将に、混雑していたからゆっくりできなかったかと問われる。
9系統はバスの本数が少ないから、バスの時間を気にしながらの入浴だった。

ビール類がなかったので、隣のコンビニで赤ラベル。
弘明寺のいつもの大衆焼肉で腹ごしらえして、再び、今度は夜の野毛に向かった。

「バラ荘」というアパートの名前のような、レトロなオーシャンバーが目的の1つだったけど、生憎、臨時休業だった。