差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2009年3月1日日曜日 13:54
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 小杉湯(杉並区高円寺北)

ナカムラです。

今日(2/28)は、「小杉湯(杉並区高円寺北)」に行ってきました。 高円寺駅(中央線)から、0.3キロ、3分くらいです。

生まれて初めてのスッポン鍋。丸鍋というらしい。高円寺の「ちゃんこ谷」という創業36年 の老舗での鍋喰らい部の月例会。以前はちゃんこ鍋よりもスッポンの方の注文が多かったけど、 大将の手指の筋肉が衰えた関係で多くのスッポンをさばくのが難しくなり、現在は表だっての お品書きにはない。鍋喰らい部の部長が、昔、ここの店の水槽にはスッポンがが泳いでいたと いう微かな記憶をたどっての来訪となった。

スッポンの生血だけでも怖じ気付いてたのに、なんと予期していない緑色の液体の入ったグラ スまで出てくる。胆汁らしい。焼酎で割った赤と緑の液体をそれぞれ頂いた。胆汁は苦みと焼 酎の味だった。次に心臓、肝、前足、プリプリ甲羅の周辺部それぞれを生肉として頂く。

スッポン鍋に入る前に、小生の心臓の鼓動はすでにレッドゾーン近く・・・。しかし、最初の インパクトのせいもあって、鍋は歓談しながら落ち着いて頂けた。スッポンは最後のスープが いいという。そのスープによる締めの雑炊は上品な味だった。

今回の鍋部は、高円寺在住の阿波踊りフリーク2名の計4名というささやかな宴だった。二次 会は「4丁目cafe」でホットジンジャーワインなるものを頂く。最初は暖かい席には付けずに 寒い中でのオープンテラス席。店員も本当にそこでいいんですかという怪訝な顔。寒さの中で 飲むショウガが効いたレモンを浮かべた温かいワインは、楽しい味だった。

散会となった後、終電時刻から逆算すれば、少しだけ時間がある。宮下湯が明日の18:00を以 て突然閉店すると部長から聞いた。しかし、訪れると昨日で閉店という張り紙だった。桶を持参してやって来る客もあって張り紙にもあったけど「突然」だったようだ。

次に、高円寺の名湯・小杉湯に向かうことにする。商店街から入った、本当に細い路地に面し ている。昭和8年築の銭湯建築。唐破風のエントランスは現役を退き、隣に新しいエントラン スが造られている。この唐破風の懸魚は、現在は伐採が禁止されている世界遺産・屋久杉を彫 り込んだものだ。さらに、懸魚の下には秋田杉の透かし彫りがある。こんな装飾自体珍しいし、 その仕事も見事なものだ。

フロント、脱衣所、浴室とすべてが吟味に吟味を重ねて高度にリノベートされている銭湯。客 の出入りも多く、外に居ても地域に根ざした、一見していい銭湯だということが分かる。

松竹錠の下足箱に靴を預けて、自動ドアを通れば増築されたフロント部分。漫画本が整然と並 んでいたり、ギャラリーのような使い方もしているようだ。電球色の照明が明るく、避暑地の 喫茶店のような雰囲気がある。そして、唐破風の内側には、小さな流しと浄水器が設えられ「自 然回帰水」を飲むことや、持ち帰ることもできる。まぁ、人工的に加工した自然水風というこ とのようだけど、同湯はこの回帰処理をした水により風呂を沸かしている。

脱衣所は3間四方。もちろん折上格天井。天板は欅材で格子とともに丁寧に整備されている。 床は湯布院かどこかの杉材で更新されている。傷つきやすい材らしいけど足触りがいいものだ。 脱衣所には基本的に古いものはない。しかし古い造りを踏襲した整備がなされている。体重計 がASANOの表示板が低い位置にあるアナログ体重計というのが少し珍しいか。

浴室は、幅3間半、奥行4間の大きさ。天井は2段型で白いペンキとブルーではなくクリーム 色のペンキが使われているのが珍しい。内装のタイルが白とアクセントにクリーム色のタイル が幾何学的に使われているので、それに合わせたのだろうか。電球色の明かりとともに柔らか く温かい光の演出がなされている。そして、何より清潔に整備されているのがいい。

湯気が立ち上る浴室で条件は悪いだろうけど、奥壁には丸山師の「駒ヶ岳」のペンキ絵がある。 小生にはなじみの薄い絵柄で、あまり遭遇したことがない感じがする。多少くすみが見られる もののいい絵だった。

土曜日の22:30。洗い場には15人ほども客が居る。カラン数はセンターから、0・5・5・ 5・5・2の計22。決して大型の銭湯でなない。そんな中に十分に客が入って活気ある感じだ。

浴槽は奥壁と恐らく半間幅で増築されたと思しき外壁側にL字型に充実の浴槽群が連なる。奥 壁側センターサイドにはスーパージェット、円筒形のボディーマッサージ、ツボ湯という9点 式座ジェット。ツボを刺激する9点も噴出口がある座ジェットは初めての遭遇だ。主浴槽はバ イブらで布袋に大量にハーブが入ったものが沈められている。かなり値が張るものだろうけど 客が多いので提供できるのだろう。

外壁側には小杉湯が売りにしている毎日のミルク風呂。なかなか張り紙が多い銭湯で、都内で 毎日ミルク風呂を提供しているのは同湯だけど書いてある。そして、回帰水の水風呂。同湯に はサウナはないもののさり気なく水風呂があって、使っている客も多い。入って楽しいいろい ろな浴槽群とそれを楽しむことを可能とする水風呂。有りそうでないシンプルな組み合わせだ。

上がりはビールは置いていなかった。せっかくなので、サーバーでたっぷりと「自然回帰水」 を頂く。入って柔らかく、飲んでまろやかと言えば褒め過ぎかも知れないけど、横浜市の水道 水との差は大きいと感じた。

新宿経由で湘南新宿ラインの最終で帰館。 また、これが余計なんだよなという、缶酎ハイを買ってしまった。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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宮下湯