熊野湯（板橋区志村）

差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2010年6月5日土曜日 7:31
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 熊野湯（板橋区志村）

ナカムラです。

今日（5/28）は、「熊野湯（板橋区志村）」に行ってきました。志村坂上駅（都営三田線）から、0.4キロ、4分くらいです。

中山道の志村坂上。道の両側に、石垣が積まれて、松の木を植えた一里塚が残っている。道の両側とも残存しているのは珍しいらしい。国道17号はそれなりの道幅があるので、中山道の拡幅とともに、片方は移動されたのだろうか。古い荒物屋を合わせた景観が見事だ。

地下鉄の都営三田線が開業するまで、大手町（神田橋駅）から志村坂上駅まで、ほぼ同じルートを都電・18系統が走り、志村坂上はその終着だった。後に軌道は先の志村橋まで延伸し、巣鴨発の41系統が走ったけど、都心からの18系統の終点は変わらなかった。

横浜市電・六角橋（廃止）や、都電・三ノ輪橋駅など、路面電車の終着の電停は、雰囲気を持つ町が多い。熊野湯がある湯志村坂上の商店街も、そんな雰囲気と繁栄の残り香がある。

同湯は商店街が尽きる辺り。近くには屋号の由来にと思われる熊野神社がある。昭和30年築。浴舎後方にやや短い感じのコンクリ煙突を持つ伝統的木造銭湯だ。脱衣所棟の妻面は優美な曲線の千鳥破風。木製の窓枠の意匠が繊細だ。エントランスは煉瓦色のタイルを張ったロビー部分が増築されている。

多少の傾斜地にあるため、エントランスに上がるために3段ほどの階段を上る必要がある。入れば絨毯敷きの入り組んだ形状のロビースペース。サウナはプラス200円。ナイロンのリストバンドと大小のタオルが貸し出された。

脱衣所は、幅3間、奥行は前庭を潰しているので4間ほど。しかし、サウナ室がフルに食い込み、ロビースペースの侵食もある。自販機が置いてあったり、トイレが出っぱっていたりと、ロビーに劣らず入り組んだ脱衣所だ。

サウナ客用に指定されたスチールロッカーを使おうとしたら、そこは浴室出入口の濡れたマットの上。靴下が濡れるイマイチな場所にある。

浴室は、幅3間、奥行4間。天井は2段型。タイル類は更新されて古いものはない。さりとて、昭和末期に中普請を施しているのか、相応に草臥れている。そんな中、奥壁のビジュアルが輝いている。土星を中心とした宇宙の図。濃紺鮮やかな切り絵調の大型のモザイクタイル絵。浴室空間をビシっと引き締めている。

島カランは1列で、カラン数はセンターから6･5･4･4。クラシエのリンスインシャンプーとボディソープの大きなボトルが無料で供されている。ありそうで、銭湯ではあまりないサービスだ。

浴槽は、奥壁に沿って3槽。センターから1人用の7点座ジェット、主浴槽のバイブラそしてボディマッサージと電気風呂。薪で沸かした井戸水は浴感のあるいいお湯だ。さらに、その手前外壁側に2､3人は入れる十分な広さの水風呂がある。適度な冷たさが楽しめるいい水風呂だ。

そして、かなり老朽化しているけどサウナが奮っていた。5､6人用の大きさながら天井はつぎはぎ、温度を測定する木箱は爆破されたように焼け爛れている。2つあった砂時計も枠だけが残っている。

こういったチャンネルがあるんだぁ・・・。有線放送からは望郷の演歌ばかりが延々と流れる。結構好きかも。。。

俺も故郷を追われて幾年も過ぎた。いろんなことがあった。そして、流れ流れて思えば遠くまで来たもんだ。。。そんな気持ちになり切って、サウナだけでなく望郷演歌の世界にもどっぷりと浸かっていた。客は途切れて、この広く多少草臥れた空間に小生ひとり。水風呂とサウナを何往復もしながら、いわく説明しがたい解放の雰囲気を堪能していた。

上がりは、ロビーで瓶牛乳。燃料を問えば、「油を燃していたらとてもやっていけません」と苦しそうな表情での答えが返ってきた。滞在時間の大半は小生のみ。金曜日の20：15から21： 25に滞在。苦況を実感する状況があった。

同湯を出て志村坂上の居酒屋を物色するも、濃い店を試掘するパワーもなく、明日は秩父行きが控えているし、腹も減ってきた。結局、十条に戻り「ほり」で刺身を頂きながら地方の銘酒を少々。。。

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ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
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