差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2011年6月9日木曜日 23:43
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: クラブ湯(中野区本町)

ナカムラです。

今日(6/3)は、「クラブ湯(中野区本町)」に行ってきました。 中野坂上駅(東京メトロ丸の内線)から、0.3キロ、3分くらいです。

中野坂上駅で降りて驚いた。記憶にあった中野坂上は山手通りと新青梅街道の「交差点」。しか し、地上に上がればビルの周囲が広場になっているせいか、交差点の周辺が大分広くなってい る。ビルもかなりの高層だ。

しかし、一歩路地に入れば昔ながらの町並みがある。モルタルの古いアパートの1階に赤提灯 が提がっていたりする。

同湯は昭和31年築の伝統的木造銭湯。入口はモルタルの直方体のエントランス。以前は「クラ ブ浴場」との文字があったらしい。最近塗り直したのか、暗いせいもあって見えなかった。そ の替わりに暖簾の上の硝子に「クラブ湯」とある。

同湯の高いコンクリ煙突は、細い路地にある同湯にとっては重要なランドマークにして広告塔 だった。しかし、東京でも3月の大地震で銭湯の煙突がいくつか倒壊する事故があった。同湯 では煙突解体を決意し、今日、ようやく解体工事が終了した。

煙突は60年も使っていると内部が徐々に崩れ、厚みが無くなってくるという。同湯では解体に 合わせて、重い黒瓦を下ろし、ボイラーも重油焚きからガス焚きに転換した。

暖簾を潜れば、番台をセットバックさせているので奥行きがない靴脱ぎ場。正面に傘を立てて 入れるロッカー式の傘立て。左右には松竹錠の下足箱。

脱衣所に入れば”番台”を床の高さまで下ろし左右をフルに衝立で仕切った、番台ともフロン トとも付かないようなもの。以前は十条中原・仲乃湯(廃業、現在駐車場)にいたという大将 にスタンプをもらう。

広さは、3間四方の空間。天井は折上げ格天井。天板は梁の一部も木目プリントの合板に置き 替わっている。天井には天井扇が回っている。

ロッカーは、外壁側と入口方壁に松竹シリンダ錠のもの。中央には樹脂製のベンチとテーブル。 男女境の前にはスチール枠布張りの衝立があって、スペース的には少々窮屈だ。

茶色で古いKeihoku Hakariのアナログ体重計が残っていた。表示板には「貫」の目盛りが併記。 支柱には「クラブ浴場」と記されていた。いつ頃までクラブ浴場と称していたのだろうか。

浴室の広さは、幅3間、奥行4間ほど。天井は木板張りの2段型。島カランは1列で、カラン 数はセンターから7・6・5・4。床のタイルは滑り止めの星形模様のもの。カラン周りはサワー ピンクの大理石紋様やえんじ色のものが使われている。昭和末期頃の中普請という感じだ。

浴槽は奥壁に接した深浅2浴槽。深槽は緩やかに泡が立ち昇るだけの気泡風呂。浅槽は2点ジ ェットとスーパージェット。そしてその浅槽の一部が、いきなりという感じで仕切られていて、 ぬる湯の1人用のバイブラ浴槽になっている。

お湯は地下90メートルから汲み上げた井戸水をガスで沸かしている。温度は43度くらいと、 やや熱めの温度設定。そのため、ぬる湯槽が必要だったのか。。。ぬる湯といいながらも42度く らいあって、必ずしもぬるくはない。

ビジュアルは、奥壁に男女湯を跨ぐ中島さんの富士山のペンキ絵(21.9.5)。ややコンパクトに 見える浴室に奥行きを与えている端正な絵だ。

上がりは瓶牛乳120円を頂きながら、銭湯のフリーペーパー「1010」の最新号をめくる。

路地の奥の同湯にとって高い煙突は、排煙機能以上に広告としても重要だったようだ。大将は、 煙突に替わる目立つ看板をどうしようかと思案していた。。。

金曜日の19:15から20:30に滞在。相客は10人は超えていた。年輩者だけでなく若人もいる。 帰り際に暫く外で同湯を眺めていたら、手をつないでやって来た2人連れがそれぞれ男湯と女 湯に入って行く。そんな昔ながらの光景が自然な、細い路地の奥の伝統的な木造銭湯だった。

帰りは、中野坂上のバス停から王子駅行のバスで40分をかけて十条へ帰還。。。久しぶりに刺身 居酒屋「ほり」に行った。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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