差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2005年4月4日月曜日 23:23
宛先: 銭湯ML
件名: くるわ湯(名古屋市中村区名楽町)

ナカムラです。

今日(4/2)は、「くるわ湯(名古屋市中村区名楽町)」に行ってきました。
名古屋駅(太閤口)から。1.8キロ、20分くらいです。
最寄駅は、中村日赤駅でこちらからは、0.8キロくらい。

中村遊廓は、大正12年に営業を開始した。
吉原を上回る3万坪の敷地は、今も残る五町(賑町、羽衣町、大門町、寿町、日吉町)に139軒の店があり、2000人の娼妓がいた。
伝統的な和風の妓楼やアール・デコ調の建物があったらしい。

戦後は「名楽園」と名前を変えた赤線の町。
歴史的経緯に因るものだけど、今はソープ街の真中にユニーがあったりする、横浜人からすると奇異な町になっている。

ソープランドの建物をよく見ると、黒瓦の建物が目立つ。つまりは、赤線時代の建物をそのまま使っているようだ。
また、建物は変わっているものの、恐らく大正時代からの屋号そのままのソープランドがあったりする。
お仕事の内容としては、かなり似てはいるのだろうが・・・。

さて同湯は、「廓(くるわ)湯」という凄い屋号。
廓の大門の中にあり、旧遊廓の建物を転用したもの。銭湯として異色中の異色だろう。
大正時代の創業らしい。

いわゆる妓楼建築ではないけど、立派な町屋建築に唐破風の入口が付く。
右から、「草湯温泉」と彫られた立派な扁額がかかっている。

暖簾をくぐると正面がピンクの豆タイルが貼られている。後の作り込みだろうけど、カフェー調だなと感じる。
右が男湯で、意外にも自動ドアになっている。

入るとコンクリのタタキがあってその傍らに新建材を張った、前面がカーブしている番台。高さは低い。
靴を履いたまま風呂銭を渡すのが名古屋風。東京や横浜と異なる。
マスクをした女将に380円を渡す。脱衣所テレビの番組とは異なるテレビ番組を視聴している模様。

雨が降っているので、傍らの傘縦に傘を収納する。錠は「SEKI−JYO」と赤く書かれたものだった。
「新元湯」では、脱衣ロッカーに使われていたもの。
番台の反対の外壁側に、すのこが敷かれ、下足箱がある。
扉がアクリル板の新しいタイプ。
錠は白のアクリル板で番号が張られているので、確認できなかった。

たたきと脱衣スペースに上がるところがタイル張りになっている。独特の趣きがある。
浴室への緩衝地帯・脱衣所・たたきが一体となっているスペースは、幅3間、奥行4間と広い。
天井高は2間。東京銭湯ほどの高さはないけど、モスグリーンの平格天井は十分な高さ。

島ロッカーがないので、感覚的に「広いなぁ」というのが印象。
相客はなく、小生のみの貸切なので、テレビは鳴っているけど静寂な感じさえする。

外壁側に木製の枠に縦縞の摺りガラスを嵌めたロッカーが、横12個×縦5段に並ぶ。
錠は東京でも見ることがある、「Oshidori」と筆記体で書かれたブロック錠のもの。鍵が小型の板鍵ながらシリンダ錠というもの。

床は藤。真中にテーブルとベンチ。その他、デジタル体重計、冷蔵庫があるくらい。
緩衝スペースには両サイドにタイル張りの流しがある。
ここら辺は、昨年末に訪れた、奈良の銭湯とも同じ構造になっている。

浴室は、幅3間、奥行3間半。
天井高は、手前と奥が高さ2間。中央部が2間半くらいの高さ。
浴室は清潔そのものだけど天井は黒く煤けたコンクリ。
男女境の後方側に湯気抜きがある。

カランは、奥壁側に4、外壁側に8、手前入口両側に各2、男女境に4。全てにシャワーが付いている。
カランは三角の取ってが付いた、レバーを手前から押すもの。2つだけが冷・温で、大半は温のみ。

浴槽は、3層。看板と異なり、今は草湯の湯はないようだ。
浅槽は、センターと奥壁に接して、正方形。角に岩が組まれていて、そこから湯が注がれる。1穴ジェットも3つある。温度は42度弱。
主浴槽は、浅槽と一部接する感じでほほ浴室中心部に位置する深槽。42度強。何の仕掛けもない。
そして、深浅2槽に接するデンキ風呂がある。1人用くらい。手を少し入れただけど東京、横浜の銭湯よりデンキが強いようだ。

ビジュアルは、奥壁が全面のモザイクタイル絵。絵柄は2人の裸婦像。
大きいなとは思ったけど、やはりペンキ絵の方がいいな・・・。

上がってテレビを眺めていると、ご主人に交替するところ。
リングに飛び乗るがごとく、せいのと飛び乗っていた。
低くて、広い番台ならではだけど、気合が入っている。客は入っていないが・・・。

上がりは名古屋牛乳のフルーツ牛乳80円。ローヤルトップっていうのがあったが、これ名古屋牛乳のものらしい。

土曜日の21:05から22:05滞在。
小雨が降っているものの、ずっと小生1人だけだった。

雨あがり。夜の中村遊廓跡を散策する。
中村のソープランド街は規制が強く、岐阜の金津園に押されて、賑わってはいないという。
確かに、ねっちこい客引きもいない。カメラを構えていてもさほど神経質にならなくていいい。
それだけ活気がないという感じだった。






「温」のみのカラン。広い浴室に小生1人。快適だった。








表は木造の遊廓跡ながら、後方はコンクリ造。