差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2014年11月30日日曜日 7:47
宛先: 銭湯ML (sento-freak@freeml.com)
件名: 境南浴場(武蔵野市境南)

ナカムラです。

今日(10/18)は、「境南浴場(武蔵野市境南)」に行ってきました。武蔵境(中央本線等)から、0.6キロ、7分くらいです。

所用で池袋へ。「葛飾/らーめん大」という店で人生2度目の二郎系ラーメンを食べる。「小」で麺が200グラムもあり「普通」と言ってもモヤシがどっちゃり盛られる。隣のあんちゃんは”増シ増シ”なる合い言葉でモヤシタワーのようなラーメンを受け取っていた。そんなに治安が悪いのか知らないけど、狭い店内に普通に大きい伊藤園の自販機が置かれていたりと、池袋に相応しいラーメン屋だった。

ラーメン屋のすぐ後ろが、休業中と聞いていたあの新栄湯。惚れ惚れするようなレトロな外観。しかし、母屋に着流しで番台に上がっていた大将なのか、人の出入りがあったものの相変わらず休業が続いているようだ。

油が高いから休んでいる銭湯もあると聞く。原油の値下がりなんて望めないと思っていたけど、世界ベースの景気の不透明さからずっと100ドル近辺で推移していたものが、足下3割くらい価格が下がっている。これで銭湯の負担が軽減することは好ましいことだと思っている。休業からの復活はともかくとして、収支が好転し、閉店を先延ばしするくらいの効果はあると思う。

さて、武蔵境の境南浴場へ。衣替えの服を高円寺の古着屋で売り払って、吉祥寺、三鷹の先の武蔵境駅に向かう。元の湯(廃業)にやって来て以来。駅は高架化が完成したようで、見違えるようになっていた。駅前の真新しい図書館が洒落ていて羨ましかった。地元の図書館は信じられないくらいショボい。。。

武蔵境駅は125年前に甲武鉄道の境駅として開業。その境の南側、境南町にあるので境南浴場と命名されたんだろう。戦前は吉祥寺の現在東急百貨店がある所で営業していた。武蔵境に移り、昭和28年に当地で油井型の煙突を持つ同場を開業している。

表の通りから公道とも私道とも判然としない細い道を入ると、同湯を避けるように、道も曲がっている。そこに表通りからも見えるような巨大な看板が掛かっている。最も目立つ所に「天然水」とある。武蔵野市は水道水を深井戸で賄っている。同湯もそんな良質の井戸の恵みにあずかっているようだ。

入口周りには、広いロビーが増築され、コミカ風呂独特のタイル調の装飾が施されている。

松竹錠の下足箱に靴を入れて進むとフロントがある。女将さんなのか、色白で眼鏡をかけた小学校の先生という感じの方に相方が2人分の風呂銭を渡す。

脱衣所は、元々2間四方の小さなものだったようだ。現在は、フロントやサウナ室の喰い込みがあるので、外側1間半ほどが増築されている。天井はそこそこ高いものの、壁も天井も破れも目立つ白いクロス張り。

ロッカーは、松竹錠のシリンダ式のもの。体重計はクボタのデジタル計。イニシエを感じさせる部分はほとんどない。

浴室は、幅3間、奥行4間ほど。外側1間ほどは恐らく増築したのかも知れない。天井は木板張りのペンキ塗り。白いペンキがくすんでいるだけではない、やや簡素というか質素な造りに感じる。

島カランは1列で、カラン数はセンターから7・7・7・2。床のタイルはオフホワイトの星形のものが使われている。

浴槽は奥壁に沿った深浅2槽と、脱衣所方にあるサウナ室の前にある石張りの水風呂の浴槽の計3槽。深槽は黄色の薬湯。浅い主浴槽は水枕付きの座ジェット×2と気泡湯で外壁側の格子をはめた焚出し口からお湯が注がれている。

サウナはプラス200円でバスタオル付。乾式ながら熱源が何処にあるのか分からない珍しい構造のものだった。良質な天然水の水風呂との無限往復は堪らない。

同湯では、全て天然水を廃材で沸かしたお湯が使われている。良質の井戸水なのだろう、42度くらいの浴槽のお湯はもちろん、広い水風呂でさらにその良さを実感させられる。

思い返しても、虎の湯(廃業)、武蔵野浴場、三谷湯、よろず湯、弁天湯と武蔵野市の吉祥寺、三鷹界隈の銭湯のお湯は別格な感じがする。

ビジュアルは、奥壁にちぎり絵調のモザイクタイル絵。太陽と飛ぶ鳳凰が、黄色、紺、グレーとあたかもモノトーンのような極めて抑制された色彩で描かれている。月夜あるいは皆既日蝕なのかと考えさせられる珍しい印象の絵だ。

昭和の末頃に現在の姿に改装された。内外装ともにどうということはないんだけど、居心地が良かった。お湯が良くなければこのような印象にはならないかも知れない。

スーツ姿の外国人がやって来て、気持ち良さそうにお湯に浸かっていたのも印象的だった。

土曜日の19:45から20:45に滞在。相客は多数。近くに亜細亜大学、国際基督教大学など学校が多く、学生と思える客でカラン23の浴室にピーク時には10数名の客が入っていた。主浴槽の順番待ちをするのは昨年の大晦日の弁天湯以来かも知れない。

2年1ヵ月を要し「お遍路スタンプノート」の4冊目(88湯)が終了した。平均すると東京の銭湯の新規開拓は1.5週に1軒くらいのペース。急ぐつもりもないけど意外にゆっくり。まだ、未訪の東京銭湯が300軒余り残っている。

上がりの一杯は駅前のビルの地下に入る五番蔵。刺身も良かったし、八海山のビールを初めて頂いた。鼻を利かせた相方のセレクトだったが、勘定も高くなく、なかなかいい居酒屋だった。

※「都市風景論/武蔵境 2014.10.18」

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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                 確か4冊目。完了!





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