差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2004年9月19日日曜日 22:31
宛先: 銭湯ML
件名: ままねの湯(足柄下郡湯河原町)

ナカムラです。

今日(9/19)は、「ままねの湯(足柄下郡湯河原町)」に行ってきました。
湯河原からバスで「藤木橋」下車。3分程度です。

ここは、湯河原の最も古くからの温泉街の「温泉場」。
古くからの木造旅館が多数立ち並んでいる。

ふと、「藤木橋」のたもとの駐車場の看板にを見ると「管理者川崎定徳株式会社」とある。
日本火災や日本信託銀行、第百生命などを擁した、日本八大財閥の一つ、川崎財閥の総本家の会社。
その隣には古い塀の豪壮な屋敷。
土産物屋のじいさんに訪ねると「東京の人の別荘」とのこと。
恐らく、川崎家の湯河原別邸なのだろう。

その別邸前を通り、「伊豆屋」「上野屋」「中屋」など、風情のある木造旅館が並んでいる。
ままね湯への順路は、矢印が出ているものの「銭湯への路地」よりも、心もとない道を進む。
ままね湯は、分かりにくい場所にある。

同湯は、湯治専門宿の地下の浴室を開放しているもの。
入口に「一回入浴者入口」と書いてある。
「一回入浴者」か、まぁ、分からんでもない・・・。

下駄箱に靴を載せて、タイル貼りの階段を下りて行く。
このタイルの床みたこともないような派手な意匠。
一部に竹割りタイルが使われている。

カーテンをめくって脱衣所。
怖そうな親爺に200円也を渡す。それにしても怖そうな、まさに「湯屋番」。
脱衣場の広さは1間半四方。簡素なボックス式の棚があるだけ。
ロッカーやカゴはない。

浴室。幅1間半、奥行3間くらい。
その真中に、幅1メートル、奥行2.5メートルくらいの浴槽が掘り込まれている。
温泉の浴槽はこのような掘り込まれている浴槽が多いけど、銭湯ではこの形式はまずお目にかからない。
なんか、規制があるのかな。やはり。

脱衣所に「水とタオルは絶対に入れないようお願いします。館主」との注意書きがあった。
しかも、「水と」の部分は後から加筆されたもの。
「埋めるなよ」という強い意志表示がある。

怖そうな湯屋番が、湯もみしている。
小生「熱いんですか?」
湯屋番「全然・・・。」

熱くもないのに湯もみするかよ・・・。
「一回入浴者」だからって・・・。

小生、熱い湯も苦手ではない。浴槽に一気に浴槽に身を沈める。
44度くらいか。
確かに熱くて入れないというわけではないけど、一般的には「全然・・・。」というほどぬるくもない。
それに、浸かっていると、湯面に熱い湯が流れてくる。

しかし、いい湯だ。熱いけど、とろりとしている。
泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉。源泉82.8度、浴槽42度とある。

しばらくするとアトピーなのかな。体中が赤い小学生と妹の幼い女の子が入ってきた。
怖そうな湯屋番は、大きな盥と、ポリタンに入った温泉水を運んできた。
幼い女の子には、熱すぎて入れないとの配慮なのだろう。
怖そうな湯屋番は、いいヤツだった。

15:00をまわると、地元の人が数人なだれこんで来た。
湯野番の机から赤錆びたスパナを取り出して、源泉のバルブをいじっていた。
恐らく源泉の流入を多くしたのだろう。
やはり、44度は「全然(熱くない)・・・。」なのかもしれない。