昌美浴場（川口市坂下）

差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2012年3月17日土曜日 6:39
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 昌美浴場（川口市坂下）

ナカムラです。

今日（3/11）は、「昌美浴場（川口市坂下）」に行ってきました。鳩ヶ谷駅（埼玉高速鉄道）から、0.5キロ、5分くらいです。今日は赤羽駅から国際興業のバスで岩槻街道を北上する。

埼玉高速鉄道の鳩ヶ谷駅へアクセスする赤羽岩淵駅（ちなみに旧都電の赤羽電停があった場所）が赤羽駅から800メートルも北側に離れているのと、埼玉高速鉄道の料金が高いので（鳩ヶ谷まで300 円）、鳩ヶ谷方面行のバスの利用客は多い。

今日は、家を出て先ず東十条のカジュアルなイタリア料理屋でランチを頂く。3種類のメニューの中にいつも押さえとして定番メニューのボロネーゼがある。しかし、このボロネーゼがくせ者で、毎回微妙に味を違えている。今日は、塩味のボロネーゼと言っていいスパイシーなものだった。経験したことのない味で軽い感動を覚えた。ここまで期待を裏切らない店も珍しい。12席ほどの小さく安い店なのだが。。。

そして、GRD-3で”都市風景論”のネタを仕込みながら腹ごなしの散歩で「金星湯」の外観を眺め、確定申告の書類を王子税務署の休日ポストに投函に行く。

電子申告のe-Taxのシステムはかなり分かりにくかった。結局、全てを使いこなすまでには至らず、付属書類は税務署に届け、納税はインターネットとの連携がうまく操作できず銀行納付となった。

さらに、池袋にバスで出て使わなくなった腕時計を売却。物を売っては換金する”タケノコ生活”。池袋の「コメダ珈琲」は満席だったので赤羽で一服。そして、バスで鳩ヶ谷の昌美浴場に行く。

「昭和橋」というバス停で降りれば、旧街道に面している同湯のコンクリ煙突が見える。岩槻街道の旧鳩ヶ谷宿の中心近く、付近には歴史ある建物が多い。

同湯は明治期の創業。かつては亀の湯という屋号だった。現在のモルタルの建物は昭和38年築。簡素な切妻の脱衣所棟に直方体のエントランス部が付く。いずれも交通量の多い旧道の埃にまみれ、軒の庇などは傾いている。

近づけば、エントランス回りの窓枠や、その下のタイル使い、飾り気のないコンクリの塀などに趣を秘めている。小生の好む小振りな郷愁銭湯だ。入る前からかなりのオーラを感じる。

暖簾を潜れば小さなエントランススペース。左右に松竹錠の下足箱。箱の奥に傘穴があって、穴の向こうは外という昔ながらのものだ。さらに、番台の背にあたる部分には長靴用の縦長の下足箱がある。その上にタイル絵があったものの大半が張られたポスターに隠れて見えない。古い物ではないようだ。

小さい銭湯ゆえ入口の扉の幅も狭い。がらがらと扉を開けると木組みのどっしりとした番台。よく見ると番台の上部が25センチほどかさ上げされている。古い教会の長椅子も元々は4人掛けで設計されたものが今は3人しか座れないということがある。同湯もこの50年の間に日本人の上背が伸び女湯が見渡せてしまうことへの対応だろう。

脱衣所の広さは2間半四方。自分でも感情が高ぶってくるのが分かる。内部もなかなかの郷愁銭湯だ。天井はアールの部分が漆喰で固められている簡素な折上げ風の格天井になっている。

ロッカーは中央に大きくはない島ロッカーが1つと外壁側に松竹アルミ板鍵のもの。丸籠も現役で使われている。

男女境は、上部に丸太を渡したもので、高さのある大きな鏡が面積のほとんどを占めている。前栽と外壁側には、L字型に連なる木製建具のガラス戸と古い濡れ縁がある。どんなガラスが填まっているのか分からないくらいガラス戸のガラスには汚れが堆積している。また、狭い庭には楓の木が一本あるだけ。昔からこうだったのか、池などはない。

その他、川口という刻印の”SOUKA SCALE”のアナログ体重計、止まっている黒柱時計、縦長の冷蔵庫があって多種の牛乳類ほか各種飲料が豊富に入っている。日持ちしない牛乳の在庫が多いということは、それだけ客が多いということだ。

浴室は、幅2間半、奥行3間ほど。地方銭湯サイズの小振りな大きさ。天井は2段型で木板にペンキ塗り。島カランは1列でカラン数はセンターから4･3･3･6。床のタイルは百合模様の白。壁は大判の白タイル。古いタイルは残っていない。釜場への戸はアルミ製に替わっているけど、幅の狭さが印象的。変な性格で恐縮だけど細い扉っていうものは気になる存在だ。。。

浴槽は、奥壁に接して深浅2槽。浅槽は、寝湯×1とバイブラ。ジェットの設備もあったけど稼働していない。深槽は”宝寿湯”とあるけど布袋が浴槽の中に吊された本式の実母散湯。寒い季節の実母散は本当に有り難い。身体も温まるし、何より心休まる懐かしい香りがいい。

奥壁は中島さんの男・女湯に跨る富士山のペンキ絵（14.9.21　23）。何故か二つの日付があるのが気になった。10年になろうとしている古い絵だけど保存状態がいい。作風は今と少し違う感じがする。大きな絵ではないのにヨットが今よりも大きく描かれている。退色からか細かなタッチが失われ、やや平板に見えるのも影響しているのかも知れない。

上がりは数ある瓶飲料の中から久し振りにイチゴ牛乳110円。MEGMILKが販売するもので、製造者が茨城県の組合のものだった。

日曜日の18:05から18:50に滞在。相客は10人は超えていた。女湯の出入りも多い。町の生活インフラとしてしっかりと機能しているのだろう。

久し振りに埼玉の銭湯にやってきた。都心から遠くはないのに、ことのほか地方銭湯の趣がある優れた郷愁銭湯だった。

帰りは赤羽で一杯。目当ての「川栄」が休み、「まるます家」もいつもながらの満席で外にまで並んでいる。「丸健水産」のある一番街シルクロードの大阪のお好み焼き屋に入った。呼び込みは、姉妹店があって焼き鳥など他店舗のメニューも選べるというようなことをいっていたが、焼き物のメニューをもらうとそれは出来ないという。味は悪くないものの、安くもなくやや詐欺的な感じの残る店で、後味の悪い夕飯だった。丸健以外は、なんか新興の店が多い一番街。また印象が悪くなってしまった。

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ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
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　　　　日本製紙物流の専用線傍らの金星湯（右側のビル銭湯）