差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2009年10月14日水曜日 23:19
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 松の湯(十条仲原)

ナカムラです。

今日(10/4)は、「松の湯(十条仲原)」に行ってきました。 十条駅(埼京線)から、0.6キロ、7分くらいです。

昨日が中秋の名月。夜空にある月は、まだまん丸い。以前、十条を散歩して、シャッターに早 川師のペンキ絵がある同湯のことが気になっていた。

同湯は、埼京線の線路沿いにあって、傍らには人だけが通れる細道の踏切がある。叙情的な風 景の中にある銭湯だ。

浴室棟は二段型天井の伝統的木造銭湯だけど、エントランス部は、コインランドリーが入る木 造モルタルの二階建てに置き換えられている。しかし、横から見れば、折上格天井の脱衣所棟 が黒瓦を載せた伝統的というのが分かる。

暖簾はなく、入口の上にはモザイクタイル絵のような小タイルで「松の湯」と記されている。 中に入れば左右に造り付けのベンチなどもあって案外に広いスペースがある。

番台は、高さがない左右の視界を極端に遮った造りのもの。この造りを見ると果たして「番台」 と呼んでいいのか迷う。少なくとも「台」にはなっていない・・・。

脱衣所の広さは、幅3間四方のオリジナル部分に増築時の拡幅か、幅1間弱程度、広げられて いる。天井は折上格天井をオリジナルとして、折上部や天板部分が白く塗られている。10月 に入ったものの天井扇が風を降ろしている。

ロッカーは男女境がメインで、他に外壁側にもある。あまり使われている様子はないもののロ ッカーの下のスペースに脱衣籠も健在だった。

脱衣所は、幅3間、奥行4間ほどの定番的な大きさ。天井は板張りペンキ塗りのの二段型。

島カランは1列で、カラン数はセンターから5・7・7・7。センターは立ちシャワー含め左 右に衝立があるブース式になっている。さらに、シャワーが固定式ではなく全てが冷・温別々 の取っ手があるハンドシャワー。1つのブースにシャワーとカランそれぞれに2つずつ計4つ の水栓がある。あまり例がない造り込みだ。

浴槽が特徴的だった。3槽あって、センターに接して43度位と湯温高めのバイブラ槽。セン ターはバイブラ槽に角材を渡した式のベンチを据え、奥壁には3穴ジェット2機を配した座ジ ェット。簡素な造りだけど、不思議と使い勝手が良く満足度が高いものだった。外壁側が2穴 ジェット×3の主浴槽。湯温はセンターっともに42度程度と入りやすい設定になっている。

特徴的というのは、釜場へのアルミサッシの扉はあるものの、それにつながる通路はなく、扉 の下がすぐ浴槽になっている。シビックランド日成のように、水没する構造の通路があるのか なと探したものの、そんな凝った造りではなかった。外壁側が通路幅分だけ出っ張っているの で、中普請の時に通路を潰して浴槽を拡幅したんだろう。しかし、一見して不思議な光景があ る。

かつて、今は使うことができない構造物を指して「トマソン物件」というのがあったけど、ま さにトマソン物件的な釜場の扉だった。

同湯のお湯は、浴槽内部の析出物の付着から見て、井戸水を沸かしているものだろう。温度と もマッチしたいいお湯だ。

ビジュアルは、故早川師の西伊豆。平成十九年六月二十五日とあり、ややくすみが目立ってき た。ペンキ絵師としての使命からか、師には平成二十年に描かれた絵が多いらしいけど、同湯 の絵はまだ平時の絵だと思う。豪快な波飛沫が砕け飛んではいるものの、鬼気迫るものはない、 穏やかな風景と感じられる。

上がりは、駅傍らの「田や」に決めている。創業52年になる秋田料理に特色のあるコの字型の カウンターと広い小上がりだけの大衆酒場。イニシエの頃は、近くの製紙工場の労働者が通う 大衆食堂だったという。

入れば、一見していい店と分かる。レモンサワーは大きなジョッキで出てくる。量もさること ながら濃さもある。。。ナス漬け、じゅんさいの酢の物。アジの活き造り、サンマ焼き。アジ刺 の骨を唐揚げに頼むと、見事に盛りつけられて出てきた。腕に覚えがある料理人の手によるも のと分かる料理の数々。素敵な店だった。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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