差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2013年6月8日土曜日 9:18
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 松の湯(国立市西)

ナカムラです。

今日(5/18)は、「松の湯(国立市西)」に行ってきました。 国立駅(中央本線)から、1.1キロ、12分くらいです。

東京都写真美術館に「1968年」を観に行く。写真史の面から、いろんなうねりが一気に起きた年ら しい。小生の写真は、この中の「プロヴォーグ」あるいは「コンポラ」という部分に影響されてい る。しかし、並んでいる個々の写真の善し悪しは別として、自分がイメージした写真とは異なって いる写真の方が多かったかなぁ。

早々に写真美術館を後にして、国立駅へ向かう。国立駅で降りるのは初めて。有名な三角の駅舎が なくなったのは知っていたけど、何かを建て始めたところなのか、基礎工事をやっている感じだっ た。

駅前の喫茶店「白十字」で”喫茶部”活動しながら休憩して、夕暮れの18:56の日の入り時刻を見 計らって駅から放射状に延びる2つの通りの1つ、富士見通りを南東方向に進む。1キロあまり進 むと”音高前”という国立音楽大学附属高校のバス停がある。そこから路地に入れば黒煙を吐き出 す煙突が見える。

昭和30年築創業の伝統的木造銭湯。周囲に高い建物はないため黒煙を出すコンクリ煙突が堂々とし て見える。脱衣所の黒瓦の屋根は波打ち、トタンに換わった外装には錆が目立つ。結構、みすぼら しいけど、惹かれる姿が夕景のなかにあった。

エントランスはトタン屋根。正面には、モルタルとガラスブロックを積んだ風よけがあって、入口 は左右に木目プリント合板の小さなドアが2つ付けられている。

中に入れば、左右に松竹錠の下足箱が向かい合う伝統的木造銭湯のエントランスホール。ただ、番 台の裏だった部分の壁が取り除かれて、小さなフロントが置かれている。まさに番台を前後反対に したもの。さらに映画館の窓口のように、透明なガラスでバリアされ、風呂銭を受け渡すための小 窓が珍しい。都心と比べて多摩地域の冬は寒い。国分寺の福の湯(廃業)もそうだったけど、防寒 に厳重だ。

脱衣所に入ればその枯れた佇まいに軽い感動をおぼえる。広さは3間四方。壁という壁は、昭和中 期的な木目プリント合板が色褪せている。伝統的銭湯としてはやや低い天井も、同様の合板が同じ ように枯れている。高窓は木製桟にダイヤガラスが入ったオリジナル。そんな中、天井扇がカラカ ラと回る。相客は居ない。3本の老木とシダだけの庭へ通じる扉が全開となっていて、5月の心地良 い風が吹き込んでいる。

ロッカーは、片面4個で計8個という、小さな島ロッカーが縦置きに1つと外壁側に松竹シリンダ 錠のものが並ぶ。そこそこきちんとしているのに、ロッカーの上と、下段の棚に常連の湯道具が散 乱しているのは頂けない。

その他、Hokutowのアナログ体重計、飲料の自販機、旧型マッサージ機、樹脂性の白いベンチなど がある。

浴室は、幅3間、奥行4間ほど。天井は2段型ながら畳大の樹脂製のパネルが全面に張られている。 三鷹・虎の湯と同様のパネルが特徴的。

島カランは1列で、カラン数はセンターから8・5・5・5。床のタイルはユリ模様の白で、カラン周 りは大理石模様のサワーピンクを基調としたタイルでまとめられている。カランからのお湯は鉄錆 が絶えない。配管の老朽化に抗する術がないようだ。

浴槽は奥壁に沿って深浅2槽。浅槽は手前に拡張された電気とバイブラの浴槽で42度くらい。深槽 は水枕付の7点座ジェット×2でやはり42度くらい。井戸水を薪で沸かしたお湯は、円やかで柔ら かい。湯温は案外温めの好みの温度。相客は1人だけ。ほとんど独り占めに近い感じで湯浴みを楽 しむ。

国立は「国分寺」と「立川」の間だからと聞いたことがある。保健所と浴場組合の管轄は立川のよ うだ。2者連名の入浴心得が壁あった。

ビジュアルは、奥壁に、丸山さんの「駿河(22.4.21)」の富士山のペンキ絵。相変わらずいいペン キ絵だけど、2年しか経たない割には下地処理が不十分なため、かなり剥離が見られる。絵の下に はアクリル板の広告が4枚ほど残っている。古道具屋の「国立堂」、接骨院、「野上医院」、理髪店と いったラインナップ。あの多摩クリスタルの看板は無かった。

土曜日の19:10から20:00に滞在。相客は都合2人だけ。”煙突の煙いいだろう”と話しかけてきた、 人なつっこくて味のある笑顔の大将とともに、深く記憶に残る銭湯だった。入れ替わりで、学生男 女10人位が大挙して同湯に入ろうとしていた。国立もいい町だ。

上がりの一杯は、駅前の老舗、ロージナ茶房。勝手に想像していた上品な喫茶店というイメージと はほど遠い、ガッツリ系の店だった。サラダやナポリタンの量に驚かされ、次のグラタンまで到達 できなかった。。。

*************************************************
ナカムラ (Masayuki Nakamura)
メイン:masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp  
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
*************************************************




目次へ