差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2003年8月24日日曜日 0:39
宛先: 銭湯ML
件名: 松の湯(横須賀市佐野町)

ナカムラです。

《場所・立地》
今日(8/23)は,横須賀市佐野町の松の湯に行ってきました。
東京方面からだと、JR横須賀駅の次のJR衣笠駅から歩いて15分程度。

今日は、「柏木田(現:上町3丁目)」という、明治時代後半から戦前まで17軒の遊郭があった地域の撮影(2回目)をするのが銭湯に入る前のメニュー。
そのため、京急安浦駅から南下していきました。

先日入った、新世館浴場(富士見2丁目)、あたり湯(上町4丁目)近くを通る。
「柏木田」。17軒の妓楼があったという200メートル余りの通りは、平行して走る県道よりも不自然に幅が広い。
そして、遊郭が無くなってから数十年が経っているのに、妓楼跡の多くが住宅地としては大規模な駐車場となっている。

どの妓楼の地下には座敷牢があり、病気になれば医者にも見せず、放り込んで死ぬのを待ち、死んだら捨てたという。
農村から売られた娘を道具として消費した祟りか、この地の楼主の一族はほとんど血が絶えたという。
そういった因縁のある土地だからか、不自然に幅が広い道路と、宅地として敬遠されるのか不自然に多い大規模な駐車場・・・。

やはり、遊郭の痕跡はほとんど見つけられなかった。
先日もレポートした「ホテル福助」という用途不明のホテルと、あるお宅の庭のある小さい稲荷神社に「大阪屋」という妓楼の屋号を記した幟がかかっていたくらい。

旧遊郭近くはどこも古い街のためか銭湯が多い。
柏木田から松の湯に向かう途中にも「大徳湯(佐野1丁目)」、「斗の湯(佐野1丁目)」、「常盤湯(佐野3丁目)」と通過。
特に「斗の湯(佐野1丁目)」は立派な破風造に入り口には福助が三つ指ついているタイル絵(鈴栄堂)があって、入りたい、思ったが通過。

目的地の松の湯は横須賀三崎線と平行して住宅地を走る通りに面している。

《入口・脱衣所》
変っているのが、松の湯に通じる「路地に」ノレンが掛かっていること。
ノレンから入口までは30メートルくらい路地があるのですが、住宅地を走る通りからの路地の入口にノレンがかかって、その上に電灯が設置してあった。
暗い時に行ったらどんな雰囲気なのだろう・・・。

路地を入ると前の建物はモルタル塗りで、民家風。これもビギナーの私には珍しいと感じるものでした。
入口にはさっきの「斗の湯」同様に福助が三つ指ついているタイル絵が迎えてくれる。
男湯は右側。あたり湯同様小さいながら下足箱がある。

戸を開けると番台・・・。でも風呂用品の棚が据え付けられていて、番台としては使われていない。
おばちゃんがいるも女湯側にいるのか、カーテンを開けて現れて、料金を渡す。「みどり湯(逸見町)」もそうだった・・・。
脱衣所は壁側にロッカーが3×3個あるだけで、あとは脱衣がごが積んである。

最近の銭湯はクーラーが効いているところばかりだったけど、ここはクーラーがない。
なんか、懐かしい感じがした。

《浴場》
島カランが1列で、センターから5553。シャワーが付いているのはセンターのみ。
それとは別に、タキロン板で囲った立ちシャワーがある。
カランは、赤・青とも取っ手が丸い玉状のもの。これも懐かしい気がした。

天井はアーチ型の天井の真ん中に湯気抜きの四角い穴が開き、波板が渡してある。
浴槽は浅・深の2つ。特に特徴はない。

この銭湯の最大の特徴はペンキ絵かな。
何枚にも分かれている木の板に描かれているペンキ絵は本栖湖からの富士山。
ビギナーながら何枚かの富士山を見てきたけど、色と形がなんともバランスが取れていると感じた。

聞くと、7〜8年前に鎌倉の絵師が描いたとのこと。
爺さん(絵師)と息子、そしてその嫁の3人が来て描いたと。
最近その絵師は亡くなったが、年に1回は自分の絵を見に来ていたと言っていた。

《感想》
住宅地の奥にある、アットホームな感じがする小型銭湯。
冷房が無いため窓は開いているし、あまり目隠しもなくかなり開放的な感じ。
絵師は亡くなられたというが、ここの富士山は、再訪してもいいと感じるものでした。

衣笠駅に向かう途中にある「宝の湯(佐野6丁目)」は建物は残っていましたが、廃業して2年近くになるとのこと。

また、佐野6丁目の駐車場に古いコンクリートの四角柱のてっぺんに鉄のわっかがついたものを発見。
何かわからないけど、横須賀の銭湯で廃業した場所によくある代物。
近くのおばあさんに、ここに昔銭湯があったんですかと聞くと、だいぶ前だけどあったとの回答。
これ(古いコンクリートの四角柱のてっぺんに鉄のわっかがついたもの)について知っている人がいましたら、何か教えて下さい。

長くなりました。