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差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2013年7月4日木曜日 21:56
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 見晴湯(熊谷市伊勢町)

ナカムラです。

今日(6/8)は、「見晴湯(熊谷市伊勢町)」に行ってきました。 熊谷駅(高崎線等)から、1.4キロ、20分くらいです。

鴻巣の画廊喫茶に用事があった。鴻巣には4軒の銭湯があったようだけど、今は何れも廃業してい る。数駅北上し、熊谷駅に向かう。

駅からは少し離れた、通称”乙女町”と呼ばれた旧遊廓に向かう。目指す見晴湯はここにある。売 防法が施行された昭和33年の創業。赤線廃止に伴う転廃業と何か関係があるのだろうか。。。

太くてやや短い油井型の煙突を持つ伝統的木造銭湯。モルタルの切妻の浴舎に、平入りの高くはな い脱衣所が連なる。エントランスはスペイン瓦風の洋風の瓦を纏う伝統的ではない建物。

暖簾をくぐれば、左右に松竹錠が並ぶ広い空間。番台裏にあたる部分には”九谷”の朱の落款を施 した二匹の鯉を描くタイル絵がある。上がりかまちには、向かい合わせに2脚の椅子が据えてある。 年輩の客が、腰掛けて靴をはけるようにとの配慮だろう。だんだんと腰を屈めての靴の脱ぎ着は難 儀になるものだ。

番台への扉を開けると、3間四方の空間。2階は無いものの天井の高さは1間半弱。名古屋銭湯的か なぁ、白い化粧板張りの囲いが大きく高さがない番台。女将さんが詰めている。

木板にペンキ塗りという天井が、唯一のオリジナルだろうか。壁の白いクロスは、何年も前から煤 けている。男女境にはスチームサウナ室の大きな食い込みがあって、それと同じくらいの面積が、 外壁側に増築されている。実際の面積の割には狭く小さい空間に感じる。

ロッカーは、島ロッカーが1つと入口方の壁に。さらに増築部分に、小さなロッカーが二方向に少 し使い辛い感じで置かれている。サウナを設置して増築した時にはまだ客が多かったんだろうけど、 使う客は居ない。

その他、関東一の祇園祭りとある”熊谷うちわ祭り”の2年分のポスター、Hokutowのアナログ体 重計、最小限の飲料だけが入った冷蔵庫などがある。

浴室の広さは、幅3間、奥行も3間ほど。天井は、木板張りの2段型。しかし、ウィングを山形鋼 で突き抜き、支えるなど、補強の仕方があまり見ない刺激的な工法を取っている。

島カランは1列で、カラン数はセンターから5・4・4・4。外壁側のアルミサッシに填められた硝子 の模様がいかにも昭和中期的な雲型のもの。床のタイルは中判のオフホワイトの厚手のものが使わ れている。

浴槽は、奥壁に接した深浅2槽。深槽は、那智黒のような薬石を敷き詰めた幅広の焚出し口から湯 が落ちるようになっている。清澄なお湯は43.5度くらい。熊谷は北関東との境くらいだろうか、お 湯も”灼熱”への序の口というやや熱めのもの。主浴槽は、2穴ジェット×2で、湯温は43度くら い。すっきりとしたなかにも柔らかさを感じるいいお湯。でも、ちょっとだけ塩素がキツい。

スチームサウナは、座面が流水で洗われるもの。しかし、浴槽のお湯が熱いのと比べ、少し温度が 物足りない。まどろっこしいので試しに1回入っただけ。。。水風呂はなく浴室の両サイドに立ちシ ャワーが2機設置されている。

ビジュアルは、奥壁は男女境に跨る中島さん手による富士山のペンキ絵(19.8.9)。熊谷駅前の桜湯 にも中島さんの絵があるらしい。中島さん。どの辺りまでが通常の営業範囲なのだろう。

上がりはトマトジュース100円を頂く。

土曜日の19:30から20:20に滞在。乙女町と俗称された熊谷の遊里跡の銭湯。今は街路の幅と1、2 軒ほどの旧妓楼の建物が残るだけで、往時を思い出すのは難しい。荒川畔だったらしいけど、流路 の変更だけでなく、元々の堤防も切り崩されて状況は一変している。どってことのない地方銭湯だ けど、土地の歴史を思いながら湯に浸かれば感慨は深い。

帰りに旧遊廓北側を通る秩父鉄道の踏切を渡ると、単線並列で秩父鉄道と配線されていた、東武・ 熊谷線の線路がアスファルトで埋められていた。辺りは街灯も少なく暗い。踏切の傍らには、ここ から分岐する曲線の緑道があった。廃線跡が緑道になったようだけど、暗くて少しの先も見通すこ とが出来なかった。

熊谷には昔から屠殺場があって、新鮮で美味しいホルモン焼きが食べられる。風俗街と混然一体と なった飲食街には無煙ロースターなんかとは無煙の昔ながらのホルモン屋が多い。

上がりの一杯は、そんなホルモン焼きの”奉天”を考えていた。しかし、20:00を回り、まだ店か ら喧噪が漏れるものの提灯に灯りは無い。仕方なく「だるま山」という若者主体の居酒屋で塩ちゃ んこを頂く。いわゆるモツ鍋で、さすが熊谷、かなり美味しかった。熊谷は日本一暑い町とも言わ れている。旨い肉食べて、ビールでも飲まないとやってられないのかも知れない。。。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
メイン:masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp  
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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                              "乙女町"に残る旧妓楼と思われる建物