差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2012年5月12日土曜日 0:06
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 御谷湯(墨田区石原)

ナカムラです。

今日(5/6)は、「御谷湯(墨田区石原)」に行ってきました。 両国駅(総武線)から、1.4キロ、15分くらいです。

江戸東京博物館の「ザ・タワー/都市と塔のものがたり」が気になってた。ゴールデンウィーク最終 日の今日が展示の最終日なので、午後から出かけて行く。

混んでいるかと思ったもののさほどでもなく、勝手に内容が東京タワーと東京スカイツリーが中心 かと想像していたけど、バベルの塔から始まって、薬師寺・三重ノ塔、エッフェル塔、浅草の凌雲 閣などにそれなりのスペースを割いていた。充実はしていたけど、期待していた方向とは少し違っ たかな。。。

帰りは、両国駅、錦糸町駅、本所吾妻橋駅の中間くらいにある黒湯温泉銭湯の御谷湯を目指す。茨 城では竜巻があった頃、両国もにわか雨、暑いくらいだった気温が強風とともに半袖だと寒いくら いに気温が急に下降した。

格子状の道を歩き、程なくして御谷湯へ。「天然温泉(銭湯マーク)公衆浴場」と記されたファッサ ード。表は大きく改変されているけど、躯体は昭和22年建築当時のままという。屋号を染め抜く紺 地の暖簾が揺れる生粋の伝統的銭湯だ。

入口脇には墨田区が行っている防災用の路地尊。その他、コインランドリーとリサイクルコーナー があったりと、外観はやや雑多な印象。Googleのストリートビユー(2009年11月画像)を見ると、 後方にコンクリの煙突が見える。現在はガス焚きに変わり煙突が無くなっているけど、丁度いい位 置に東京スカイツリーが聳え立っている。

松竹錠アルミ板鍵の下足箱。傍らの自動ドアを入ると何とも不思議な菱形のロビースペースがある。 フロントの上には瓦の庇。かなり狭いながらも、小さな緑濃い庭に面する畳敷きの休憩スペースが あったり、水槽の金魚が綺麗だったりと、雰囲気と居心地がいい感じがする。

脱衣所はオリジナルは、小岩・照の湯や、旗の台・中延記念湯のような台形+正方形の六角形をし ている。しかし、不思議な形のロビースにスペースを切り取られているので、大きく言えば野球の ホームベースのような五角形になっている。天井はチープな白ペンキ塗りの天板の平格天井。

ロッカーは、松竹錠シリンダ式のものが外壁側と入口方の斜めの壁にある。さらに、島ロッカーの 代わりに丸籠が1段に3つ載せられる4段の棚が中央にある。1段に6個載るもっと大きな棚が、 江戸東京たてもの園に移築されている「子宝湯」にある。久里浜・万葉湯で似た構造の棚を見たこ とがあるけど、極めて珍しいものだと思う。

その他、天井扇、旧型マッサージ機、Yamatoのアナログ体重計などがある。

浴室は幅3間、奥行5間程度。天井はペンキ塗りの木板による2段型。夕方の西陽で浮かび上がる、 塗り重ねられたペンキの襞を見て初めてこの御谷湯が長い歴史を経てきた古い銭湯ということが分 かる。

連休最終日の日曜日の17:15。洗い場には10数人の相客が入っている。。。

島カランは1列で、カラン数はセンターから7・8・5・3。しかし、元々の配管が壊れたからだろう、 お湯のカランが剥き出しで渡された太い給湯管に直接取り付けられている。地方のボロ銭で遭遇す ることはあるけど、東京の真ん中の銭湯では珍しい粗野な処理だ。床のタイルも補修工事の関係か らか3種類ほどのタイルの継ぎ接ぎになっている。設備的には厳しい光景が広がっている。

しかし、小さいながら8つもの浴槽群は多彩。奥壁から外壁の2/3程度までL字型に延びている。 やや縦長の浴室の面積の1/3は浴槽が占めている。

奥壁センター側から、1人用の足ツボ湯、座ジェット×2&バイブラ、打たせ湯、1人用の薬湯、1 人用の高温湯(黒湯)、3人用の中温湯(黒湯)、2人用の水風呂(黒湯)。温度、天然温泉と内容も 多彩。浴槽の縁に檜材が張られているのがとてもいい。

温度は42度弱をベースとして、高温槽が43度くらいだった。黒湯以外は水道水をガスで沸かして いて、柔らかな感じのお湯だった。

サウナはないけど、源泉水風呂と温めの多彩な浴槽群があるのでどうしても長湯になる。中温の黒 湯槽と源泉水風呂を往復しつつ、ジェットでリラックスしつつ足ツボや打たせ湯も堪能。

ビジュアルは、ベージュの雁吹きの奥壁に瓦屋根のパーツを埋め込んでいるもの。ひょっとしらら 改装前の伝統的なエントランスの瓦なのかと想像させられた。代田橋の「湯の楽代田橋」の浴室に 旧三光湯時代の鬼瓦がオブジェとして使われていた。そんな類のものなのかなと。。。

上がりは長湯で絞られた水分をさらさらトマトで一気に補充。

同湯には駐車場はないけど、クルマで一族郎党で乗り付ける者、自家用運転手に送らせるおばさん と娘らしき者なども見かけた。勿論、店の前には自転車が多数並び歩いて来る客も多い。本当に地 元に支えられていることを実感させられる。

日曜日の17:15から18:05に滞在。相客は数えられないほど多かった。淡い感じの黒湯だけど久し 振りに黒湯に浸かって満足。混雑していたけど、いい銭湯だった。

上がりの一杯は昭和4年築の両国駅の旧コンコースに入るビアホールを目指していたけど、どうや ら数年前に撤退してしまったようだった。結局、駅前の別のビアホールで白濁のベルギービールを 頂いた。店内は荒れていたけどヒューガルテンはとても美味しかった。大相撲の初日。歴史的な不 入りだからか、両国界隈は静かだった。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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▼ザ・タワー展 江戸東京博物館



▼東京都復興記念館 この公園に来ると霊気を感じることがある。