差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2009年1月4日日曜日 12:40
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: みなと湯(兵庫県洲本市由良)

ナカムラです。

今日(12/18)は、「みなと湯(兵庫県洲本市由良)」に行ってきました。

明石から海の国道28号線「たこフェリー」(明石大橋の高速自動車国道はこのバイパスという 位置づけ)で20分。岩屋港へ。

岩屋には扇温泉という濃い銭湯があるけど、今日は定休日。淡路交通のバスを洲本で乗り継い で淡路島の東岸を由良まで南下する。穏やかな海が広がるなかなかのバス旅行だ。

由良はかつて淡路の中心だった町らしい。現在は漁港を擁するだけの集落になっている。ただ、 信用金庫があったり、銭湯も3軒ある。明石大橋で本州四国と続いていることもあって同じ瀬 戸内でも大崎上島・木江や大崎下島・御手洗とはだいぶ雰囲気が異なる。

目抜き通りを歩いているとお好み焼き屋から流れるソースの焼ける匂い。行動中は昼食を取る 間もないことが多いけど、食欲に負けてその店に吸い込まれる。山陽地方を歩いていると、や たらにお好み焼き屋が多い。そして、それぞれが地元のおばちゃんの社交場になっている。

牛スジが入っているのが地元流らしい。やはり牛スジが入ったそばめしを頂いたあと、みなと 湯、ときわ湯、増田湯と3軒の銭湯を見て回る。島部の漁村は趣きあるある街並みがある。そ して3軒の中でもっとも趣き深い「みなと湯」に入ることにする。

みなと湯は、この春に女将さんが亡くなって暫く休業していた。昨日再開したばかりだ。目抜 き通りはそもそもが屈曲しているけど、その大きく曲がっている所に建っている。二階家にエ ントランス部が付き出している。しかしそれは母屋の玄関。銭湯へは建物の裏に繋がるトンネ ルのような通路を潜っていく。

通路を抜けると手前から女湯、男湯の入口が並ぶ。そのサッシを開けると、小さいながらも様 式美すら感じるイニシエの銭湯空間が広がっている。

半間四方のコンクリのタタキに立つと左手に靴棚。下足箱などはない。右手には木組のしっか りとした番台。小学生の姉弟が一緒に番台を務めている。聞けば小学4年生と2年生。なかな か整った美男美女の姉弟だ。「番台」をあたかもジャングルジムのように自由自在に動き回って いる。若女将は忙しいらしく総動員体制での再開だ。洲本市の銭湯料金は380円。姉の掌が しっかりと受け取ってくれた。

脱衣所の広さは、幅2間、奥行2間半ほど。天井は小さいながらも格天井になっている。ロッ カーは外壁側にオール木製のものが並んでいる。古式ゆかしい板の間には木製のテーブルと椅 子。その他旧型のマッサージ機がある。驚くのは、入口方の外壁側に本格的な乾式サウナがあ ることだ。定員3人くらいと小さなものだけど追加料金無料にして本格的なサウナだ。鄙びた 漁港の銭湯。鄙びた外観。それからすれば驚きの新鋭設備と言える。

小さな銭湯ながら奥行半間ほどの緩衝スペースがあって、脱衣所側および浴室側双方にサッシの 扉があって空間的にも独立している。脱衣所側の湿気を避けるためか、あるいは浴室側への寒 気の流入を避けるためか。いずれにしても小さいながら不思議な構造だ。

浴室は、幅1間半、奥行3間ほどと小さくて細長い。天井は四角錐型でトタン板張りになって いる。カランは外壁側脱衣所側に6機が狭い間隔でひしめくように置かれている。残り半分は 立って髭そるスペースなのか立って使う鏡が並んでいる。

浴槽は男女境に手前から水風呂、浅槽、深槽の3構成。浴槽の縁と踏み込み段は黒御影石。床 は白と緑色の市松模様風になっている。湯温は案外にぬるい。何年か振りにやって来たという 方も不満をぶつぶつと言っている。

ビジュアルはない。しかし同湯の存在そのものがそれを超えている。

淡路島の漁港の湯。漁村でも銭湯と理髪店はセットで位置するようだ。同湯も渋いけれど路地 裏隣にある理髪店も渋かった。

それと、同湯の女将さんは30代も前半の女優と見まがう長身の美人だ。いままで出会った女 将さんの中ではダントツと言っていい。この母にしてあの姉弟というのも頷ける。鄙びた漁港の銭湯にサ ウナ&水風呂付の銭湯。まさに「女優」の女将の存在といろんな先入観が裏切られた。

再開が軌道に乗り同湯が末永く続くことを切に願う。

帰りにマフラーを忘れたけど、小学2年生の弟が走って表まで持って来てくれた。

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本瓦葺きの建物。いつの建物なのだろうか。


裏口方向を望む


裏口


裏口から表通り方向を望む


隣の床屋さん