差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2003年10月26日日曜日 11:56
宛先: 銭湯ML
件名: [sento-freak:04500] 三立湯(豊島区西池袋)

ナカムラです。

今日(10/25)は目白で飲み会があるので、その前に、横浜からは行きにくい(遠い)「三立湯(豊島区西池袋)」に足を伸ばしました。
銭湯マップで「木造の古い浴場です」と紹介されている銭湯です。

要町駅(地下鉄有楽町線)の6番出口を上がると、そこにある緑道の向こうに、煙突が見えます。
夜でも煙突が見える程度、歩いて3分くらいの距離です。

入口は立派な千鳥破風の入り口。
今日は、豊島区の老人無料デーらしく、専用の暖簾が架けられていました。
暖簾をくぐると、正面には平仮名で「さくら」と書かれた新しい錠がついた、しかし古風な傘箱。初めてみるなぁ。
下足箱はSakura-Gの錠が付いています。確か、札はプラスチック札ではなく、珍しい木札だったような・・・(曖昧)。

入口は自動ドアになっています。
番台は、昔流行したグレーの木目調の新建材。
今となっては無粋なもの・・・。余り、好きじゃないな・・・。

高さは結構高い。後ろが透明のガラス窓というのも余り見ないタイプの造り。
もちろん、番台が高いので中は見えないんだけど、オープンなつくりではある。

80歳くらい(?)、女将に風呂銭を差し出すと、よく響くカン高い声で、ありがとうございますと。
なかなか正統的な銭湯だなぁ・・・・。

天井は格天井ではないものの高い。
短い島ロッカー(計20個)が横置きに置いてあるけど、圧迫感はない。広い脱衣所。
ロッカーは、他に外側の壁側と入口側の壁にある。

男女の境の上には平面ブラウン管の大型テレビ。
テレビ東京の旅番組が映っている。やはり、女将も温泉が好きなのか?

見所は、入口側に増設されたと思しき喫煙室に飾られているタイル絵かな。
これは、この銭湯の改築時、浴槽の上に貼るために焼いたものとのこと。
しかし、これを見た鏡屋が、建物はいつか壊される、こんな立派なものは額に入れて飾るべきだと主張。
銭湯側は、額といっても、こんな大きなものを・・・と言うと、鏡屋は自らタイル絵を収納する枠を作ったとのこと。
すごい、やりとりだなぁ・・・。かつて、新聞にも載ったと話してた。

かくして、タイル絵は脱衣所に飾られることになったようだ。
「乗合船 恵方萬歳」と題された、小船に大勢の人が乗っている図。
「瀧三」銘。そして、丸の中に縦2本線。縦に「翠香庵」、その両脇に「九」「谷」と書かれていた。
(鈴栄堂・九谷と同じ意匠。しかし、色は青だった。)

横に墨書の木札が掲げられ、作者は青木歌岸画伯、窯元瀧三となっていた。
女将の実家の嫁が絵を習っていて、その先生とのこと。
従って、陶器の絵付師ではなく、日本画家の手によるタイル絵ということになる。
女将にしつこく改築時期を尋ねるが、「だいぶ昔」を繰り返すばかり、明確な時期は思い出せないようだった。

しばらくタイル絵を眺めていたら、番台から女将が降りて来て、驚いたことに誰も居ないからと、通路から女湯に招き入れられた。
確かに脱衣所には客は居なかったが・・・、浴室からは、湯を使う音が聞こえてくる。
なので、落ち着いて眺めている余裕はなかった。
2人ずつくらいかな、婦人が子供と遊ぶ図で色も鮮やかだった。もちろん保存状態も完璧。

さて浴室。島カランは2列で、カラン数は女湯側から6・5・5・5・5・6。大型の銭湯である。
カランは温泉マークのついた旧式のもので、レバーが曲がったものが多数ある。ボロである。
シャワーは女湯側と壁側はすべて、島カランは半数のみにシャワーが設置される。

島カランは、細身で角に丸みがある旧式。
タイルの色も、立ち上がりが白で、入浴道具を置くスペースがグリーン系統の小さなタイル。
小生は鏡もシャワーも付いていないのが好きではあるが・・・。
それらは、付いている。

まぁ、なかなか、何もないシンプル極まりない造りになっている。

天井は2段型。幅広の広い浴室につき、両翼が張り出している。
ペンキは白で、剥がれ等の年季が感じられるなぁ。
恐らく、後からだろう、屋根の重さを支える金属の支柱が浴室の真ん中に追加されている。

浴槽は深浅の2槽。浅い方は2穴のジェットと、1穴のジェット2機。真中に湯の注ぎ口がある。
深い方は何もない。透き通った湯面から底までが見通せる。
深い方の温度は、45.6度を差している。

銭湯の温度計はかなりいい加減だと思っているけど、ここのは新しかった。
まさに、その温度なのかも知れない。
(今度、熱湯で湯名な「六龍鉱泉(台東区池の端)」)に行って、比較しなきゃ・・・。)
確かに熱い。暫く浸かっていると、肌がピンク色に染まる。

ペンキ絵はなく、蛍光灯が入ったライトボックスに、アメリカの汽車の写真が貼ってある。
ペンキ絵の代わりに、写真が貼ってあるケースは間々あるが、駅の広告看板みたいのは・・・。
この年季系の銭湯で、異彩を放ってる。

それと、ビジュアルでは、女湯との境には縦4枚×横34枚のタイル絵。
外国の川と山の風景かな、新しいそうで極めて大味なもの。銘などもない。

しかし、客が居ないな。
先客が出て行ってからの30分間(18:30〜19:00)小生のみ。こんな大きな銭湯なのに。

   うばい合えば足らず
   ゆずり合えば余る
   うばい合えば憎しみ
   ゆずり合えば安らぐ
         みつお

こんなような張り紙が2、3枚あったかな。

11月2日(日)はリンゴ湯。子供にはお菓子をプレゼントとの張り紙。

シンプルだが、なかなかいい銭湯だった。
タイル絵も見事だし、相田みつおの張り紙もここの雰囲気に合っている。




《2004.11.21》