差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2010年9月29日水曜日 22:29
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 桃の湯(高山市朝日町)

ナカムラです。

今日(9/12)は、「桃の湯(高山市朝日町)」に行ってきました。高山駅(JR高山本線)から、0.8キロ、9分くらいです。

高岡、越中八尾、飛騨古川の街を散策。高岡山町筋の重文・菅野家住宅裏の旧鶴の湯や、越中八尾の花街(鏡町)&銭湯(旧庚申湯、福島の湯)を探索して、飛騨高山へ。ここは花岡遊廓時代の旧妓楼の旅館と10軒ほどの銭湯が残っている。

夕方に到着。粒ぞろいの高山の銭湯のどこに入るか悩む。弘法の湯か、梅の湯か、桃の湯か・・・。結局は、レトロ度が高い「桃の湯」に入ることにした。

末広町、国分寺町という高山の繁華街の外れにある。料理人も仕込みを終え開店前に入りに来たりする。そのため、早い時間に暖簾を下げ、20:00には店を仕舞う。

パイプ型の黒い煙突を従えた、千鳥破風のエントランスを持つ、築70年は超えるだろという2階家の銭湯。白熱電球が「桃の湯」という篇額と緑地の屋号染め抜きの3房の大型の暖簾を照らす。角っこに小さな地蔵堂があってやはり裸電球が灯っている。郷愁の風景がある。

そして、この桃の湯から外に流れ出る会話の声が、どことなく静かで、ゆったりとしていることが印象的だった。

表の戸は開け放たれていたけど、意外にも自動ドア。中に入ればコンクリのたたきと木組みのどっしりとした番台。コンクリのたたきの部分は広い。大きな銭湯だ。

連れが女将さんに高山の銭湯料金計800円を渡す。眼前にイニシエの風景が広がる・・・。脱衣所にあがる。たたきの部分を含め幅3間、奥行3間半。二階があるので板張りの天井はさほど高くはない。

下足箱はたたきの端っこにあるにはあるけど、旧型マッサージ機の陰に隠れている。ほとんど使われていないようだ。

ロッカーは、オール木製ロッカーが壁側のみに、一部段違いで置かれている。錠は中京地方銭湯で見かけるSekiyaと一部ツルカメ。黄緑地SekiyaseikiのSekiyajoは初めての遭遇かも知れない。

ロッカー扉には桃のマークが外された跡がある。女湯にはオリジナルが残っているらしい。木製扉の上にお洒落な木製の桃の形のプレートが張られ、それにロッカーの番号が記されているようだ。当然に屋号にちなんだもの。オール木製ロッカーはいくつもあるけど、こういった細工は初めて聞く。

その他、板の間の真中にテーブル&椅子、家庭用扇風機、表示板が膝高のアナログ体重計、冷蔵庫などがある。

浴室は、幅3間、奥行3間半ほど。天井は山形で内側にアルミ板が張ってある。妻面はトタンにペンキ塗り。壁は3センチ角ほどの白のタイル張り。簡素さとともに少し殺風景な印象を受けた。

島カランはセンターに片側2機の小さなもの。カランはそれ以外に外壁側に6機、入口方壁に3機ある。島カランはお湯が出なかったが。。。

浴槽は奥壁中央に42.5度くらいの主浴槽。後方の窪みに岩が積まれ、そこからの小さな滝が焚き出し口になっている。この「渓流」の音を感じながら旅の疲れを癒すのはいい。この音はなかなか真似のできない類のものだ。

浴槽は、さらに男女境に接する形で、電気と薬湯がある。電気には、脳溢血、悪液質者等々は駄目と、古い注意書きの看板が張ってある。脳溢血の人が入るのだろうか・・・。

水道水を重油で沸かしている。水道といっても高山の水道の水質は東京とは違っている。いいお湯だ。

19:00に入店。入れ違いで唯一の相客が上がった後は、ずっと小生のみだった。

上がりは地場牛乳を探したが、見あたらない。2日に1回は飛騨牛乳の配達があるらしい。評判がいいらしく売り切れてしまったようだ。

観光客相手の飛騨牛店は沢山あるものの入る気にはならなかった。入ったのは駅からも遠くない「三百両」という酒を含め一品300円の居酒屋。2人で10皿ほど頂く。飛騨牛スジの煮込みや串カツで飛騨牛の雰囲気も味わうことが出来た。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://www7a.biglobe.ne.jp/~masayuki/ (風呂屋の煙突)
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