差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2013年5月18日土曜日 0:20
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 武蔵野浴場(武蔵野市緑)

ナカムラです。

今日(4/28)は、「武蔵野浴場(武蔵野市緑)」に行ってきました。 三鷹駅(中央本線)から、1.8キロ、20分くらいです。

吉祥寺に買物に出て、とぼとぼと歩いて三鷹の武蔵野浴場へ。虎の湯を訪れた時に前を通っている ので、だいたいの位置は分かっている。

バス通りを挟んで向かいの城壁のように長いマンションに威圧される。このマンションの後方に大 規模な都営住宅が広がっている。辺りの住人の生活インフラだった時代があるのだろう。

細身の大将によれば、昭和31〜33年の築創業らしい。黒瓦を載せた二重の破風という端正なファッ サード。後方にはコンクリ煙突が高い。正統的な伝統的木造銭湯だ。

エントランスまわりは掃き清められ、季節の花鉢が置かれ、何より明るく照らされている。

暖簾を潜れば、正面の番台裏にあたる部分に福二画の福助のタイル絵。優しそうな顔の福助が迎え てくれる。平格天井の空間の左右には松竹錠の下足箱。折り目正しいエントランスだ。

番台へのガラス扉は、取っ手の所が擦り減り、穴が開き、脱衣所の明かりが漏れている。開ければ 木組みのどっしりとした番台がある。サウナはプラス50円。しかし、この時点では気が付かなかっ た。。。

脱衣所の広さは、3間四方。天井は歳月を経て鈍く光る焦茶色の折上げ格天井。干からびて雨漏り の跡すら有るけど、天板は上質の欅材が使われている。壁は、木目プリントの新建材。しかし、エ ントランスまわりと同様、清潔な空間が明るく照らされていて気分がいい。

まだ、肌寒いので前栽へのガラス戸は開けられていないけど、濡れ縁を介して庭池が設えられ、古 い家の玄関や庭園への出入り箇所に置かれる沓脱ぎ石が置かれている。庭に降りることを前提とし ない銭湯の前栽でこれを見るのは希だ。

外壁側の庭だったろう場所は、ランドリースペースとして拡張され、洗濯機が6台、乾燥機が2台。 脱衣所内部のランドリーとしては機材がたくさんある。

ロッカーは、ブロック状のシリンダ錠が付いた島ロッカーが縦置きに1つと、外壁側に松竹シリン ダ式のものが並ぶ。丸籠も現役。その他、Keihokuのアナログ体重計、男女境には継ぎ目がある古 い鏡、高さ1間の2人用の乾式サウナボックスなどがある。

浴室は、幅3間、奥行5間ほど。2段型の天井は木板にペンキ塗りというあるべき姿で存在してい る。

島カランは1列で、カラン数はセンターから7・6・6・5。床のタイルは内側に滑り止めの突起があ るベージュのやや古いものが清潔に維持されている。

さらに、こだわり客のためだろう、木桶と木製椅子が少数ながら置かれている。湯桶とタイルが当 たる”カコーン・・・”という音が高い天井に残響する。まさに銭湯で郷愁を感じる瞬間だ。ケロ リン桶とも違うイニシエの音色が堪らない。どう見てもイカれているんだけど、不必要に”カコー ン、カコーン”と音を立てていた。

浴槽は、奥壁に大きな浴槽が1つだけ。センター寄りが深くなっていて、反対側の浅い部分に3穴 ジェット×2と、こんこんと清澄なお湯が湧き出る焚出し口がある。

今日、日曜日は、大きな浴槽一杯のお湯が中富良野産の天然物のラベンダー湯。薪で沸かした上質 の武蔵野の地下水に大量のラベンダーが投じられ、その貴重な湯が惜しげもなくオーバーフローし ているという”掛け流し風”で供される。清澄なラベンダー湯が浴室の床を伝い、結構な量がカラ ン下の溝に流れゆく。神々しく見え、感動すらおぼえる光景だった。

生薬のラベンダー湯は、心身を解放し安息にしてくれる。いい香りだ。起伏した富良野や美瑛のラ ベンダー畑の記憶が蘇って来る。

男湯のみにある乾式サウナは、脱衣所に置かれた”小箱”のような2人用。しかし、熱したサウナ 石を使った清潔かつ本格派。これまで出会った本格派サウナのなかで最小のものだ。料金はプラス 50円と破格。1回の入店で利用は3回まで、稼働は21:00終了。譲りあってしか使うことが出来な い。制約が多いけど、甘んじて受け入れることができる。

ビジュアルは、奥壁に丸山さんによる「西伊豆(24.4.5.)」。氏の十八番、秀麗な富士山のペンキ絵。 均整の取れた力のある富士山に、絵師としての気合いが感じられる秀作だ。さらに浴槽とペンキ絵 の間には章仙画による池に鯉が泳ぐ絵柄の絵付タイル絵。男女境にはヨットが浮かぶ湖を中心に高 嶺、洋館などを描いた絵付のタイル絵まである。

日曜日の19:55から20:45に滞在。相客は10人ぐらい。 番台、木製建具、籐の丸籠、少ないながらも木の湯桶や椅子もある。男湯のみだけど小さな本格的 サウナまで揃っている。銭湯としての基本性能が高い、優れた郷愁銭湯だった。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
メイン:masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp  
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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