目次へ

差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2014年4月29日火曜日 20:09
宛先: 銭湯ML (sento-freak@freeml.com)
件名: 成宗湯(杉並区成田)

ナカムラです。

今日(4/4)は、「成宗湯(杉並区成田)」に行ってきました。南阿佐ヶ谷(東京メトロ)から、0.8キロ、8分くらいです。

新年度になり、月末と期末の業務が重なり、会社はいつもよりバタバタしている。先月は残業時間が多かったので、その疲れを引きずりながら南阿佐ヶ谷駅に向かう。

今週は桜の最盛期。しかし、雨や強風で花見には具合が悪かった。今日も夜桜で花見の会なんかが多いんだろうけど、かなり寒い。

そんな中、住宅街を南に下り同湯に向かう。界隈を歩いていると「成宗」という言葉にいくつも出会う。現在は、「成宗」と「田端」から「成田」などの町名に変わっているけど、同湯の屋号は地名から来ている。銭湯が多かった時代に、それを冠することが出来るほどの老舗のようだ。

昭和22年の航空写真を見ると、同湯の界隈は戦災に遭っていない。同湯のイニシエの姿を確認することも出来る。

風呂屋の親爺というよりは、サーファーかなにかでならしたJAZZ喫茶のマスターという風貌。こざっぱりとしたTシャツを着こなしたヒゲのマスターはカウンターに入っている。

聞けば、旧成宗町に昭和2年創業。現在の建物は昭和40年代前半に改築されたものという。モルタルの簡素な外観ながら伝統的木造銭湯で、高い建物がない中、後方にコンクリ煙突が聳えている。

入口を入れば、広い靴脱ぎ場と屋号のシールが張られた松竹錠の下足箱が並ぶ。自動ドアを入ると、”マスター”の趣味の館とも言えるロビーに驚かされる。

自作あるいは特注だろう大きな真空管アンプに繋がれた巨大スピーカーからJAZZの調べ。壁にはミニカー、オートバイ、飛行機の模型がショーウィンドーに整然と収められ博物館の如き。さらに、アメリカの物だろうか、本物のナンバープレートが壁にびっしりと打ち付けてある。

脱衣所の広さは3間四方。壁紙は白を基調としているけど、一部、自然な感じで黄色の壁紙が使われたりと、シンプルななかにセンスが光る。

天井は長斧で仕上げた間隔の広い桟に大木から切り取られた木目鮮やかな上質で大きな天板が使われている。これはオリジナルだろう。

島ロッカーはなく、ロッカーは外壁側にSakura-3錠が付いた、桜色のという珍しい色のロッカー。桜、桜で、今の時期に合っている。

男女境には、オートバイとタンクローリーの模型。”マスター”はアメリカが好きなのかな。。。

浴室の広さは、幅3間、奥行4間ほど。天井は2段型で木板に淡いブルーのペンキが塗られているという伝統的仕様になっている。

島カランは1列で、カラン数は男女境から7・6・6・0。センターには、屈んで立ち上がるのが難儀になった年輩者のために高い椅子が置かれ、湯桶を置く台やカランが高い位置に設置されている。

浴槽は、奥壁側と外壁側から脱衣所に至るまで、L字型に連なっている。奥壁に接した部分は白湯の主浴槽で、両端にボディマッサージ、2穴スーパージェットと電気風呂。湯温度は42.5度くらい。

外壁側はミクロの気泡によるシルクバスでやはり42.5度くらい。その手前が「蜂蜜」の薬湯が満たされている寝ジェット×2とジャグジー。湯温度は38度くらいとかなり温い。しかし、この2つの薬湯の前にはかなり大きな液晶テレビが設置されていて、ゆっくりと中日VS巨人戦のナイターを見ることができる。

構造も設備もかなりシンプルだけど、明るく清潔で、それぞれの質が高い。蓮沼・清水湯を評価しているけど、それと並ぶくらいに、ゆっくりと風呂に浸かりながら寛ぐことができる。ジャグジーなどはかなり湯温が温いので、ナイターを観るには同湯が向いている。

もっとも、ナイターを観るのはかなり久しぶり。小生が知っているのは原監督と川口ピッチングコーチくらいだった。

ビジュアルは特にない。奥壁は淡いブルーの中判のタイル。

上がりは瓶牛乳を頂く。

金曜日の20:05から20:55に滞在。相客は10数人くらい。土地柄と快適さもあってか、若い客も多かった。”マスター”の様々な拘りを感じさせられる、かなり快適な銭湯だった。

斜向かいの成宗公園は、桜の古木が盛りを少し過ぎたものの満開だった。しかし、花見の宴はもちろん、足を止めて桜を眺める人もない。立派な桜の公園なのにちょっと寂しげだった。

*************************************************
ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
*************************************************












                          南阿佐谷駅前