差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2003年9月27日土曜日 9:41
宛先: 銭湯ML
件名: [sento-freak:04402] 人参湯(横浜市神奈川区)

ナカムラです。

昨日に続き、今日(9/26)もJR新子安駅で途中下車。
まずは、駅近くの「朝日湯(子安通2-245)」を偵察。
しかし、目的物(煙突)は発見できず・・・。

「お出かけ道案内」では表示されたのに・・・。
http://www8.ekitan.com/rmap
(これ、銭湯探検には結構便利です。)

どうやら、結構前に廃業しているらしい(ジモティ談)。
該当する番地まで行くと、2階建ての集合住宅の工事を行っていた。

しかし、地元民しか歩かないだろう路地を、キヨロキヨロ&ウロウロ。
かなり怪しい感じだろうなぁ。
カバンの中はタオルと石鹸箱。それに、スポーツジムに寄ることもあるので水着とゴーグル。そして、カメラ(リコーGR1s)。
ん・・・、かなり怪しい。
警官に職務質問受けたことはないが・・・。

気を取り直して、今日の本命、廃業4日前の「人参湯」へ。
まわり道になるけど、第二京浜から運河よりの「浜通り」に入る。
昨日行った「井川湯」の煙突が見える。井川という理髪店もある。
浜通りには漁協があり、運河には、たくさんの小船がもやいでいる。

運河の向こう、昔、海だった埋立地には首都高横羽線、その向こうは倉庫街になっている。

しばらく歩いて、第二京浜に戻り、目的の「人参湯」到着。
入口は男と女別々で、穴開き銭の暖簾がそれぞれにかかる。

下足箱は旧型の松竹錠。
入口はなんの趣もないアルミサッシの引き戸。

入ると番台。昨日の井川湯もそうだったけど、新建材の高目の番台。女湯との通路にはカーテンがゆらゆら。
女湯との境も煤けた新建材。それに、鏡が取り付けられている。

ここの脱衣所は、レトロさはなく、すべて煤けてのボロといった感じ。
壁面が、無地の石膏ボード?。それが、灰色に煤けている。
女湯との仕切りの上から、天井に向けて、2本のつっかえ棒?(そう感じる)が伸びている。
これは、かなり、きている。

壁側にロッカーと中央に島ロッカー。松竹の鉄板錠。
壁側のロッカーの上には、常連さんの桶多数と、小型テレビ、古い脱衣カゴが2つほど載っている。

浴室は、島カランが1つ。カランはセンターから7・6・6・6。
シャワーは島カラン以外に設置されている。

島カランには鏡すらない。幅が狭く古めかしさを感じる。タイルも結構ヒビや欠けがある。
細い島カランには、ミドリ椅子と灰色椅子が渡されている。
普通は出入り口の脇に積むが、ここ人参湯では島カランに乗っけるのが作法なのかな・・・。(なんか抵抗があるなぁ・・・。)
とりあえず、小生も上がるときはマネしたけどね。

浴槽は向かって右側が、床からブクブク。左側が「素」といった感じ。
温度は結構熱い。銭湯ビギナーの小生としては、経験したなかで最も熱い湯。
他の複数の客が、水をかなり投入してたから、いつもより熱いのかな・・・。

湯に入りながら、なんか思い出したなぁ。
小生は東京山の手の旧職人町の生まれ。昔は家に風呂はなく「風呂」=「銭湯」だった。
子供の時、百数えて、鼻の頭に汗をかくまで「月の湯」の湯船の中に拷問のように沈められていたけど、
あれは,それなりに熱い湯だったなぁ・・・。だから、百まで数えるのって、子供にとってな辛かったんだと。

子供の時は、湯から上がった時は、指の皮がふやけて、波打っていた。
ツラの皮と同様、手の皮も厚くなったせいか、今は手の皮はふやけない。
銭湯ではほとんど子供に出会わないけど、今の子供もふやけていない気がする。
食べ物が良くなったせいなのかな?

ペンキ絵は中島師の絵かな。湖に浮かぶ富士山。だいぶ剥がれている。
女湯の方は、少ししか見えないけど、急峻な山稜が描かれている。
女湯の方が縦に長い模様。両方のペンキ絵は並んでおらず、女湯のペンキ絵は少し奥にある。

先月末廃業した「梅の湯(渋谷区初台)」は、廃業3日前だけど極めて綺麗だった。
赤字が廃業の理由だったらしいけど、突然、銭湯経営への気力が無くなり、廃業という印象を受けた。

一方、ここ人参湯は、設備はボロボロ。
精も根も使い果たしたという感じ。
昔は、人参湯の前の第二京浜にトラックを停め、ドライバーや埋立地の倉庫で働く人の入浴が多かったとのこと。
今では、クルマが多くなり過ぎて、風呂に入る間、ずっとトラックを路駐するのは困難な感じ。
港湾労働もかなり機械化されているだろうなぁ・・・。

会社帰りはときどき銭湯めぐりをしていると言うと、たくさんの横浜銭湯マップがあったけど、数日前に処分してしまったと・・・。
今の経営者になって28年、屋号は引き継ぐ前からのものとのこと。

風見飲料のラムネを飲んだ後、外のコンビに前で缶酎ハイ。
ふだんであれば、何気ないボロ銭という印象なんだろうけど、廃業を目前に控え、静かだけど、でも強いオーラを発していた感じがする。
渋滞する第二京浜をはさみ、そんな感慨に浸っておりました。

長くなりました。




廃業の告知が見える。