差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2004年2月9日月曜日 23:48
宛先: 銭湯ML
件名: [sento-freak:04786] 西の湯(横須賀市久里浜)

ナカムラです。

今日(2/8)は、少し遠出して「西の湯(横須賀市久里浜)」に行ってきました。
横須賀線の終点、久里浜駅から約2キロ、徒歩で30分くらいです。
京急久里浜駅からは、フェリーふ頭行のバスも頻繁に出ています。

フェリーふ頭に面した住宅は、全て最近建てられたのか、等しく新しい感じの家が並んでいます。
その1本奥の山側が、古くからある住宅地のようです。
その境に「西の湯」はあります。

今は新しい住宅に遮られているけど、昔、西の湯から海が見渡せたはず。
そんな浜の銭湯という風情です。

煙突は細い土管を継ぎ足したもの。その周りをアングルで補強しています。
壁という壁は、全てクレーのトタン板です。
入口は、左右の壁がやはりトタン板で、むくり破風の小屋根がついています。

「銭湯浪漫」の暖簾をくぐると、正面に大きさが縦2枚×横3枚のタイル絵。
右手前に満開の桜。左には錦帯橋。背景は花盛りの森です。
タッチはどこか油絵のような濃厚な色使い。
タイル絵としてはあまり見ないタイプです。銘等はなし。

ここも角地に建っていて、角側(左側)が男湯。
左右ハの字型に入口のガラス戸があります。

戸開けると番台。400円を払い下足箱はというと、脱衣所に上がって、入口側の壁にあります。
昨日の「第二香藤湯(墨田区押上)」と同じく旧式の松竹錠。施錠のツメが下側に手で、木札の刻みが表まで貫通していないもの。
番台は、昭和中期の新建材が打ちつけられているけど、一部に渋い重厚な材が顔を出している。

脱衣所は幅3間、奥行2間。
天井は赤・グレー・黄ばんだ白という、かなりカラフルな天井です。高さは低い。
壁は、番台と同じく昭和中期的な新建材ばかりです。

外壁側に松竹の板鍵のロッカー30個。しかし、真中に脱衣カゴが積まれ、これを使っている先客が多い。
その他には、小さなテーブル、折り畳み椅子、丸椅子が1脚ずつと、新旧のマッサージ機という感じです。

男女境の上にはテレビ。残念ながら古い柱時計はありませんでした。

浴室は幅3間、奥行2.5間。天井は2段型。
島カランは1つで鏡付。カランは4・4・4・4、和栗のプラスチックの取っ手のもの。両サイドにのみシャワーがついている。
タイルはすべて新たしいタイル(厚手の白。縦15センチ×横5センチくらいのもの。)に張替えられており、レトロな感じは一切ない。せっかく遠出したのに・・・。

浴槽は奥に3槽。外壁側から薬湯、浅槽、深槽。薬湯はバイブラで深浅の槽には2穴ジェット。
浴槽の奥行は0.5間。その部分だけ増築したのか天井が低い。

浴槽の立ち上がりは1メートルほどがタイルの壁になっていて、低い天井との間に新世美術のペンキ絵がある。
木立、湖のような川、茅葺の家という図。幅は3間と大型銭湯並だけど、天井との間の高さがないのでなんか窮屈なペンキ絵になっている。

脱衣所側の梁に「佐野広告社」と近くの酒屋の広告看板。
佐野広告社の看板は外のトタン壁にも大きいのが付いていた。

中年の女将に聞くと、経営を引き継いでから17年なので、建物の年代は判らないとのこと。
しかし、75歳の古老の話として、同湯の建て替えの記憶はないと聞いていると。
確かに、新建材の間から少し顔を見せている柱などはかなり年季が入っている。戦前の建物なのかな。

同湯から港に出ると、夕刻の冴えた空間の中で明かりを灯したフェリーボートが港に接岸するところだった。
印象的な光景だった。