差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2008年6月13日金曜日 0:35
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: おばな湯(佐野市金井上町)

ナカムラです。

今日(6/7)は、「おばな湯(佐野市金井上町)」に行ってきました。

佐野市駅(東武佐野線)から、0.7キロ、7分くらいです。

先ずは堀米町遊廓跡探索。「全国遊廓案内(昭和5年)」に存在は記述されているけど、具体的 な場所は分からなかった。ゼンリンの住宅地図によって、街路の形からいくつかあたりを付け て、順に回って行く。最初の閉鎖的な街路を持つ地域は、真新しい住宅が並んでいた。近年、 一括して宅地造成されたエリアのようだ。こういう見込み違いも多々ある。

佐野駅からはやや遠い、第2番目の候補地が旧堀米町遊廓跡だった。地方遊廓は、数軒の妓楼 だったというケースが多い。そして、最低でも50年以上の時の経過を経て、何も見い出すこ とが出来ないケースも多い。むしろ、小規模な建物が密集する赤線跡の方が痕跡を残している 場合が多い。

今日は、朝7時過ぎから活動している。夕方になって足も重たくなってきたので、佐野の銭湯 探索に目的を切り替える。

先ずは立山浴場。2006年の12月末で廃業。脱衣所と浴室は既に更地となっているものの、 油井型の煙突、釜場とコインランドリーが残っていた。釜場と浴室を仕切る壁、現在の外壁に 金魚と鯉の絵付けのタイル絵が残ってる。かつて、浴槽の上にあったものだ。

柳湯は何年か前に火事で焼けてしまったらしい。駐車場にはミニバンのいか焼き屋が店を出し ていて、食べ盛り中学生の男子ががつがつと齧りついていた。

万湯。万町は、割烹料亭や中華屋が立ち並ぶ佐野の花街のようだ。そんな一角に万湯はあった。 既に廃業して、建物は建て替えられている。向いの中華屋末広に「アッコにおまかせ」のテレ ビ取材風景を写した写真があって、万湯が写っているというので見せていただいた。油井型の 煙突を持つ激シブの銭湯だったようだ。

さて本命の「みどり湯」。2階にバルコニーを持つ大型の銭湯だ。タイル巻きの柱などもある堂々 たるファッサード。入りたいが明かりが点いていない。向いのこれも写真に撮りたくなるレト ロなガソリンスタンドに聞き込みに入ると、土曜日は定休日らしい。定休日以外は17:00 から21:00くらいの営業時間らしい。 佐野はラーメンで有名な土地。別に、全ての店が美味しいわけではないことは分かっている。 しかし惹かれるものがある。でも、帰る時間を逆算すれば、ラーメンをすする時間はない。夕 暮れの中を「おばな湯」に向かう。

3桁の電話番号を記した古いホーロー看板を掲げた古い廃業商家などがある古い通りに、先を 削ったコンクリ煙突がぼんやりと見えてきた。表まで来ると門があって、無地の紺色の暖簾が 揺れている。

開け放たれた窓から内部が少し見えるものの新建材の脱衣所。あまりの素っ気なさに、入るの をためらう。もう6時間ほど前だけど、栃木の「玉川の湯(金魚湯)」に浸かって、ビール飲ん で、5年振りでカラオケまで歌ってしまっている。

しかし、みどり湯の再訪まで、この銭湯が命脈を保っているかというと、そうではない気がし た。

さっと浴びるかと、暖簾を潜ることにする。暗くて外観は分からないものの、平屋の脱衣所建 物で、男女向かい合わせの下足箱が設置されたエントランススペースもある。下足の錠はオー ル木製の指し物師の手になるもの。 この銭湯はかなりの業歴を有しているのかも・・・。

番台の女将に料金を尋ねて、350円を払う。銭湯愛好家の風呂銭の払い方は様々だ。御大の ように、いつも500円玉を用意し、さり気なく払う方法もあれば、一見客丸出し、小生のよ うに料金を聞く方法で払うやり方もある。一見を隠す方法と、アピールするではないけど隠さ ない方法と。

番台は新建材を張った前面がカーブしたもの。小ぶりの銭湯ではやや高く感じられるもの。ロ ッカーはなく脱衣かごのみ。古いアナログ体重計と縁台がある。そして、幼児用の懐かしい鉄 製のベダルカーが端っこにあった。

浴室は幅2間、奥行3間ほど。天井は四角錐型なんだけど、それを支えるために渡された十字 の梁がなんと丸太を段違いで交差させている。かつては茅葺屋根だったのか・・・。まぁ、そ んなことはないだろうけど、銭湯では初めて遭遇する建築構造だ。女将によれば、昭和初期な んかよりももっと古い時期の建物だと思うと。

カランは両サイドのみで島カランはない。

浴槽は深浅2槽。湯温はいづれも42度くらいで熱くはなく北関東仕様ではない。深槽が何の 仕掛けもないプレーンなもので、浅槽は1穴ジェト×2。

ハナからさっと浴びるだけのつもりでいたけど、入って5分後の19:30にジェットが止ま った。仕舞いの時刻が近付いている合図だ。しかし、まだ19:30だ。

後から聞けば20:00前に閉めるのが通例のようだ。向いの中華屋は小生が入る時刻には既 に暖簾が仕舞われていた。地方銭湯とはいえ、19:30に仕舞の体制に入るのは早い。やは り、廃業までカウントダウン銭湯なのかな・・・。

天井の梁には驚かされたけど、浴室のタイル使いも特徴的だった。洗い湯を流す溝すらない床 には小石タイルが整然と並んでいる。出色なのは、カラン台上面の小石豆タイル。これほど色 とりどりの小石豆タイルを見たことがない。ビジュアルはないけど、シンプルで印象に残る浴 室だ。

飲料の販売なんかはない。あっても飲む時間がない。

店を出たのが19:40頃。佐野市駅19:55発の館林行に乗る予定。途中の酒屋自販機で 赤ラベル150円を調達するとともに小走りで駅に向かう。JR佐野駅だけでなく、東武の佐 野市駅周辺の街も面白そうな感じがする。

みどり湯に来る際におばな湯の外観も見たいし、周辺の街も散歩しなければ・・・。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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