差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2015年6月20日土曜日 23:11
宛先: 銭湯ML (sento-freak@freeml.com)
件名: 大久保湯(宇治市広野町)

ナカムラです。

今日(2/15)は、「大久保湯(宇治市広野町)」に行ってきました。新田駅(JR)から、0.4キロ、5分くらいです。

朝は、百万遍の知恩寺で毎月15日に開かれる「百万遍さん(手作り市)」を冷やかす。ついでに近くの古い建物が集まる一角にある東山湯を愛でる。午後は有次、いづう、するがや祇園下里、亀屋清永などを回り、”清浄歓喜団”を持ってお世話になっている大津・唐崎の着物屋tentoさんにご挨拶に。

そして、夕方になったので京都駅からJR奈良線で新田駅に向かった。出来れば茶舗が並んでいるという宇治の商店街を歩き、宇治の抹茶を買い求めたかったけど、日没時間をにらめっこして今回は見送った。

さて、大久保湯。訪れたことのない宇治方面の銭湯ということでのセレクト。降り立った新田駅が昔懐かしい典型的な木造の田舎駅でいきなり泣けた。駅前に古いスーパー平和堂があって、同湯はそのすぐ裏手にある。

油井型の煙突に黒瓦を戴く二階建の建物は見るからに歴史的。昭和元年に着工し昭和3年7月17日に竣工。京都銀行の支店だった建物を解体した材料で建てられたという。

同湯の傍らの道路は拡幅され、歩道、交差点も改良されつつある。同湯の敷地の一部は収用された感じだけど、建物は危機一髪で逃れ、現在も創業以来の建物で営業している。

かつて大相撲の巡業が直ぐ近くであったらしく、故初代若ノ花を始め、力士勢が大挙して訪れた歴史がある。

日曜日の夕方。同湯の前の小さな駐車スペースは車で埋まり、出入りも多い。繁盛し混み合っているようだ。

お湯の使用量も多いようで、重油を燃す黒い煙が煙突から立ち昇っている。空は夕暮れ。”絵になる”風景だけど、入口前に並ぶ車は如何ともし難く、ちょっと郷愁を帯びた銭湯写真は難しいなぁ。

入口部は白い箱型の増築で、2房の大きな暖簾が下がる。中に入ると逆U字型の上がりかまちを介して下足箱が向かい合わせ。そして奥に、京都銭湯の特徴でもある障子のような桟の脱衣所への硝子戸がある。

戸を開けると番台。将棋盤を離れてやって来たジャンパーを姿のずんぐりとした大将に、相方が2人分の風呂銭880円を渡す。知らなかったけど、サウナはバスタオル付でプラス100円だったようだ。

脱衣所の広さは、幅2間、奥行2間。さらに、タイル張りで流しのある緩衝地帯が奥行1間分と、入口方に奥行2間分の増築がある。床は籐敷。天井、壁ともに白いクロスが煙草のヤニで茶褐色に変わっている。眼の前でもご常連が煙草を手に持ちながらの将棋対局が続く。同湯はこの時代にあっても禁煙ではないようだ。

ロッカーは外壁側にある。その他、床置きの業務用扇風機、デジタル体重計、クッションフロアの増築部にはコミック本を並べた本棚、トレーニング機器も並ぶ。

浴室の広さは、幅2間、奥行3間。天井はカマボコ型プラ板張りで中央に四角の湯気抜きがある。島カランは短いものが横置きに2つ、カラン数は外壁側に9。2つの島カランには計4機のカランがある。外壁側のカラン周りの造りは溝をオーバーハングさせた中京銭湯の様式になっている。床のタイルは10センチ角の厚手のオフホワイトのもの。

浴槽は、男女境に接して、深槽&電気、バスクリン的薬湯、寝風呂&2穴ジェット各1の浅槽。湯温はいずれも42度弱。柔らかく優しい感じのお湯が注がれている。

さらに奥壁側には、奥行1間ほどで、サウナ室と2人入って十分余裕がある打たせ湯付の水風呂が追加されている。

緑椅子に花王の紺色の桶。しかし、床にベタ座りのご常連も多い。みんな同湯に気を許して寛ぎ切っている。どこか懐かしい光景だ。

ビジュアルは特にないけど、男女境はコミカ風呂のような大振りの装飾タイルが使われ、浅槽と脱衣所のタイル壁には浮き出すようにプリントされた舟の絵が配置されている。

日曜日の17:45から18:30に滞在。脱衣所の縁台には将棋の四寸盤が有って壁には上尾製材所特製の番付表が掛かる。日本将棋連盟の地方支部に属していた時代もあるようだ。正に将棋クラブ併設の繁盛銭湯だった。

上がりの一杯は、近鉄京都線の大久保駅に出て東京では見かけない苺を買った後、結局、三条のいつものアンデパンダンへ。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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                                   JR奈良線・新田駅




                       道路の拡幅で辛うじて残った感じ。周囲は工事中だった。














                                  するがや祇園下里





                                     いづう









                 三条・アンデパンダン









                                      六曜社
     

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