差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2013年4月10日水曜日 21:53
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 大蔵湯(町田市木曽)

ナカムラです。

今日(3/20)は、「大蔵湯(町田市木曽)」に行ってきました。 町田駅(小田急小田原線等)から、2.3キロ、30分くらいです。 駅から、町田街道の「滝の沢」というバス停まで、神奈川中央交通のバスが頻繁に出ています。

彼岸の中日。少ない家族が、父の墓前に集合する。寿司屋でひとしきりしゃべって、町田に向かう。” 西の渋谷”というらしい。何度か来ているけど、ごちゃごちゃしている。

小生の小さい頃、小田急線の町田駅は「新原町田駅」という駅名だったと思う。本家の横浜線の「原 町田駅」は、今の場所とは異なっていた。横浜線・原町田の駅は、小田急側の発展とともに、現在 の位置に移動して、町田駅に改称されている。住所は双方ともに「原町田」。

こんな経緯が、駅前の開発を複雑化させたのかも知れない。

バス停で町田街道から離れ、これが滝ノ沢なのだろうか、谷を望みながら反対側の坂道を上がって 行く。かつて行った龍の湯(廃業)も坂道だった。そして、坂道を上り切ると一面の麦畑でその向 こうに煙突が見え、感動したことを憶えている。この辺りは丘陵地帯だ。

さて、大蔵湯。坂を上った所は麦畑ではなかったけど、銭湯としては広い駐車場があって、満車に なっている。繁盛銭湯と聞いたけど、少し遠くから車で乗り付ける客も多いのだろう。

昭和41年築創業。外観はモルタルなのでさしたる風情はないものの、コンクリ煙突を有する伝統的 木造銭湯だ。敷地が広いため、コインランドリーの小屋が独立して駐車場の入口に建つ。

北国の銭湯のように、入口にガラス戸があって、それを開けると松竹錠の下足箱があるエントラン スホール。さらにもう一枚のガラス戸の向こうに、フロントがあるロビースペースがある。

サウナはプラス260円。バッグに入った大・小タオルと、ナイロンのリストバンドを渡される。タ オルはふっくらとして、嗅いだことのない香しいいい匂いがする。

脱衣所の広さは、3間四方。天井は周辺がアールで持ち上げられた折上げ風の格天井。外壁側はサ ウナ室がフルに食い込み、前栽の位置にはサブのテレビまでもが置かれる立派な喫煙室が増築され ている。少々複雑なレイアウト。普通の銭湯で、これほどに立派な喫煙室は見たことがない。喫煙 人口が多そうな町ではある。

島ロッカーはなく、ロッカーは外壁側に松竹シリンダ式のもの。大黒柱には職方一同とある黒柱時 計、男女境の大きな鏡には、来週、同湯に毒蝮三太夫が訪れてラジオの収録があることを知らせる 張り紙がある。

その他、デジタル体重計、ベンチ、血圧測定器などが置かれている。

柱時計の両側に、世田谷区の「上馬・あたみ湯(廃業)」「三宿・第一月の湯(廃業)」「池尻・第二 月の湯」から贈られた役者絵の額が掛かっている。同湯は世田谷の流れを汲む銭湯なのかな。。。

浴室は、幅3間、奥行4間ほど。天井は塗り直されたばかりの白いペンキが眩しい木板張りの2段 型。足を踏み入れただけで、ペンキだけでなく、清潔で活気ある銭湯ということが分かる。

島カランは1列で、カラン数はセンターから4・6・6・5。カラン周りは、サワーピンクの大理石模 様の素っ気ないものだけど、カランを含め清潔にメンテナンスされていて気持ちがいい。

浴槽は、奥壁に接して、”キメ肌アタック”のはちみつ湯という薬湯槽と、7点座ジェット×2とバ イブラ&赤外線ランプの主浴槽。薬湯は41度、主浴槽は42度くらい。井戸水を重油で沸かしてい るという湯は円やかですっきり。たっぷりと供されている。

さらに外壁側に周り込むように、1人用と狭いながらも冷却・循環された水風呂がある。サウナ室 は、5人で満員御礼の暗く狭いものだけど、窓辺の明るく清潔な水風呂との往復で、身体はもとよ り心がリフレッシュされていくのが分かる。

ビジュアルは、9日ほど前に描き変えられた丸山さんの”五条に広がる滝(25.3.11.)”のペンキ絵。 あまり松木を描くのが好きではないという丸山さんだけど、尾根のアクセントとして小さいけど精 密な松が丁寧に描かれている。下地の処理がいまいちなので、いい状態が長くは続かないだろう。 丸山絵師の秀作を、いい状態で観ることができた幸運に顔が緩む。もっとも、町田の銭湯は、ペン キ絵を頻繁に描き変えるらしいので、来年はまた新しいペンキ絵に変わっているのかも知れない。

絵の下にはさらに、クラシックカーの前にスカーフをたなびかせる女性の絵柄のタイルがある。男 女境にはドライフラワー調の花束の絵が2つほど配されていた。

上がりは明治の瓶牛乳100円。サービス価格で提供されているのが嬉しい。

土曜日の16:45から17:45に滞在。一番風呂勢が滞在している時間でもあったので、ピーク時には 洗い場に12人くらいの相客。シャワーを出して遊ぶ幼な子を、昔ながらに、きちんと叱りつける父 親も居た。清潔で、活気があって、優れたいい銭湯だった。

上がりの一杯は、横浜線の町田駅に近い「仲見世飲食街」という戦後のドサクサを今に引きずって いるような飲食街の店。一角にある風俗店のボーイなのか、一見して暴れん坊という顔をした二人 組が、出勤前の腹拵えをしていた。店員は、小生等の注文を取りに来るよりも、彼らとの話に興じ ていた。ロクな店じゃなかったかな。。。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
メイン:masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp  
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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                                    滝の沢





                                   道すがらの居酒屋





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