差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2003年11月1日土曜日 12:40
宛先: 銭湯ML
件名: [sento-freak:04518] 女塚浴場(大田区西蒲田)

ナカムラです。

今日(10/29)は、「女塚浴場(大田区西蒲田)」に行ってきました。
木曜日ともなると、クタビれるので黒湯に浸かりたくなる。

水槽の鯉を見ながら入る黒湯の「改正湯」か、駅から遠いけど、かつてMLの親睦入浴会が開催されたらしい名湯?「女塚浴場」にするか・・・。
結局、駅からテクテク15分。女塚浴場に行ってきました。

工学院通りを進み、辰巳天然温泉を過ぎ、呑川沿いを進みます。
煙突が見えてきます。東京の銭湯にしては太く低目の煙突。

銭湯お宅側の玄関が小さな破風造り。こんなの初めて見るかな。
なかなかのこだわりを感じる。

回り込んで、銭湯の玄関。
川っぺりは暗い細道だったけど、クルマは通らないようだけど住宅地の結構道幅のある道路に面している。
飲み屋と、地場系のスーパーなんかも近くにある。もちろん、銭湯の近くによくある中華屋も。

玄関は結構、間口がある。なので、靴脱ぎ場が広い。どっしりとした玄関だ。
暖簾の上には、蛍光灯の行灯型の軒灯に「女塚浴場」と横長に書いてある。
正面に傘を縦に入れる式の2段ロッカー型の傘立て。

下足箱はおしどり錠。男湯は89番まである。
番台の裏側は白とモスグリーンのタイルが交互に張られているけど、タイル絵はない。
間口があるから、幅のある大きな衝立があって、それを回り込んで番台へ。
番台の前、畳半分ほどの広さが窪みになっていて、脱衣所の床との間に段差がある。

番台は高く、木組みのものだけど、さほど高級そうな材ではないかな。
かなり不自然な目隠し用の衝立が両側についている。
静かな感じの女将に風呂銭を渡す。

んー広い。天井は折上格子天井(7×13)。床はニスが塗られ、鏡のように輝いている。
女湯との仕切りは、全面に大きな鏡が入れられ、実際の広さと鏡の効果もあってかなり広く見える。

無駄なものはない。
壁側ロッカーとロッカー島が縦置きに1つ。錠は、いかつい錠が外付けで「Osidori」の刻印がある板鍵をよじる式のシリンダ錠。
鏡の前にテーブルとソファーがL字型に配置。男女の仕切りの上には大型テレビ。

初めはテレビが付いていなかったから、広く静寂な空間だった。
(銭湯の脱衣所の禅寺のような静寂さは結構好きです。)

秀逸なのは、入口側に庭があるけど、その前に置かれた木製の古いベンチ。ニスでピカピカ。
肘掛と背もたれ。背もたれはただの角材なのだけど、いい感じでしなる。
こんなゆったりと座れるベンチを知らないなぁ。

庭は、正面に山水画を思わせるような衝立岩。
結構、風化も見られる石灯篭、玄関へと伸びる松の木。
残念ながら池には水が張られていないし、衝立岩以外は溶岩かな庭石としては趣きに欠けるものばかり・・・。

さて、浴室。
広い!!!。
カランはセンターから9・8・8・7。
センターのカラン、島カラン、壁側のカランの間隔が広い、広い。

風呂道具を置く台も角に丸みがある好ましい旧型。これ、好きなんだよな・・・。
今はこういった曲面の多い細工ができるタイル職人は居なくなったという話を聞いた
もともある。
タイル3枚分の高さがあり、立ち上がり1枚がモスグリーンで上2枚は白。
台の部分はミッドナイトブルーの丸タイルが張られている。島カランに鏡がなければ
プレーンでベストだったが・・・。

カランは日の丸扇の刻印がある取っ手に温泉マークがある旧型。
シャワーはセンターと壁側のみ。

天井は2段型で幅広いけど、低いウィングの部分の幅が狭い感じがする。
つまりは、湯気抜きの高い部分の天井の面積が大きい。

それに、女湯側のウィングの部分の幅が男湯より狭い感じがする。ペンキ絵も女湯の
方が狭く見える。(遠くに見えるから・・・?)
でも、脱衣所側のガラスの数は同じだしなぁ・・・。気のせいかな・・・。
おそらく、湯船の配置が違うのか、そこの照明器の配置が違ってた。

ペンキ絵は、女湯が一面に富士山。
男湯はなだらかな山が入り江の港に続く図。穏やか過ぎて、少し単調かな。恐らく、中島師のもの。
ペンキ絵の下は、黒に若干の赤の模様をあしらったタイル。黒湯だからなのか、結構珍しいコントラストになっている。

センターには一面にモザイクタイル絵。16羽の白鳥が並んでいる。モザイクタイル絵はあまり好まないけど、淡い色のタイルと目地のくすみからか、絵
柄はありふれたものだけど、何だかレトロな風合いがあった。

浴槽は壁側から黒湯と白湯槽が2つ。白湯槽は1穴ジェット×2とバイブラバス。
黒湯は結構な濃度。掌に人指を垂直にして黒湯に沈めると、第一関節で掌は輪郭だけになり、第二関節(4.5センチ)でまったく掌の輪郭も見えなくなた。
蛇口からの水も黒湯の冷泉。初めて黒湯を口に含んでみた。ほんの少しのエグさと微かな塩味を感じた。

黒湯の温度はおそらく43度か少し高いくらい。温まっては、カランであまり冷たくない水をかぶり、何度か出入り。
21:15から22:15くらいまで、1時間と長湯をしてしまった。

そう、フルカラーリングの60歳台くらいの爺さんがいたけど、身体を恐らく30分以上磨いていた。
そして、上がってからも、かなり長い時間入念に水分を拭き取っていた。
そのせいか、高齢なのに彫り物の色は鮮やか。
でも、毎日あんなに時間をかけているのかな。メンテナンスに時間が要るんだと知って、少し驚いた。

黒湯もいいし。
シンプルな広さも極めて魅力的。
名湯でした。

長くなりました。