差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2009年5月17日日曜日 14:46
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 霊場恐山(青森県むつ市田名部字宇曽利山)/「花染の湯」/「冷抜の湯」

ナカムラです。

今日(5/4)は、霊場恐山(青森県むつ市田名部字宇曽利山)の山門内にある「花染の湯」「冷抜の湯」に行ってきました。 下北駅(大湊線)からレンタカーを走らせ、15キロ、30分くらいです。

下風呂温泉の中で、唯一、湯質が異なる優れた源泉(海辺地2号泉)を持つ「さつき荘」を出 て、一路、恐山へ向かう。

大畑からの薬研温泉経由の道路は、昨日の雨、山では雪だったようで通行止めになっている。 基本的に春の陽気だけど、結構、寒暖の差が大きい。メインルートの県道も夜間は滑り止めが 必要との表示が出ている。

恐山の霊場の中に4つの共同浴場がある。入山料500円也を払えば、何れも追加料金なしで入ることができる。風呂銭の受渡しもないため、これ以上は簡素にはできないかたちの共同浴場だ。つまりは、板張りの小さな小屋に湯船だけ。中も湯口があるだけで、たった1つのカランもない。

最も山門に近い「古滝の湯」は、故障で閉鎖されていた。混浴だった「薬師の湯」は、現在は 女湯として使われていた。

入ったのは「男湯」として使われている「冷抜の湯」と混浴の「花染の湯」。いずれも構造は先に記した通りのシンプルなもの。「冷抜の湯」が参道の傍らにあり参拝者が多く通る場所にある のに対し、「花染の湯」は霊場の外れ、地中から火山ガスが吹き出す荒涼とした風景の中にある。 観光客もここまでは来ない。

ほとんど似たような造りだけど、やはり「花染の湯」が印象に残った。幅1間半、奥行4間ほ どの浴舎に縦に3つ木製の浴槽が連なっているのみ。さほど白濁していない硫黄の湯は柔らか を感じさせる。硫化水素が充満するのを避けるため窓は開けっ放しで使わなければならない。 それが開放感につながっている。

荒涼とした窓外の風景。素朴きわまる浴室。そして静寂な空間。そこに、小生ひとり。柔らか な湯につかって、そっと眼を瞑ればいろんな思いが意識から遠のいていくようだ・・・。いか ん、いかん、ここで昇天してはいけない。

共同浴場は、寺に来たものに施しを与えるということからスタートしたという。この恐山の4 つの風呂がどういう思いで作られているのか、それとわかる解説はない。しかし、社務所が管理するこの4つの共同浴場にはそれに似た何らかの宗教的な目的があるのだろう。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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冷抜の湯





薬師の湯