差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2010年9月29日水曜日 22:38
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 音羽浴場(岐阜県美濃加茂市太田本町)

ナカムラです。

今日(9/13)は、「音羽浴場(岐阜県美濃加茂市太田本町)」に行ってきました。 美濃太田駅(高山本線)から、0.8キロ、9分くらいです。

昨夜は飛騨高山に泊まり、宮川の朝市を見ながら古い町並みや、花岡遊廓跡を歩く。そして、 梅の湯、弘法の湯、中橋湯、神田湯、善効寺湯と銭湯を見て回った。

高山は銭湯が多く、あと4軒ほどの銭湯が残っている・・・。外観の気品と立派さは「梅の湯」 が高山随一。「弘法の湯」の気の置けない質素な佇まいや、井田川べりというロケーションの「中 橋湯」にも惹かれた。機会を見つけてまた訪れたい。

関の「錦湯」は17:00からの営業。時間調整もあって美濃太田の遊所跡と「音羽浴場」をチェ ックしてから錦湯に向かう。

同湯には2度ほど電話をかけたが、ご高齢の大将とはどうしても会話が成立せず、営業日や営 業時間の情報を得ることができなかった。感触として廃業はない(大将が生きている)ことが 分かったので、サブの目的地を音羽浴場として、見切り発車的に大正時代築の銭湯遺産・錦湯 へと向かった。今回の旅行で最も入りたい意中の銭湯だ。

果たして・・・。

しかし、非情にも軒に「本日休業」の木札が揺れていた。何と「営業日:火・木・土」と週3 日しかやっていない。今日は月曜日。当然、破れた煙突からは煙が出ていない。近づく途中で 薪の燃える匂いを感じたのは気のせいだったようだ。

「本日休業」の札を下げながら、実際は廃業している銭湯を何軒も見ている。同湯はどうなの だろうか・・・。

大将の状況からして、今後、入る機会は難しい気がする。遠路、関までやって来た夕方。気を 取り直すのには少しだけ時間がかかった。。。

仕方がない。長良川鉄道で美濃太田駅に戻り、再び音羽浴場に向かう。

同湯は、中山道・美濃太田宿の近く。すぐ近くに木曽川のが流れている。現在の建物は、戦後 60年を経過した木板張りの木造2階家。後方にコンクリの浴舎と油井型の煙突が見える。

入口の暖簾がU型のレールに下げられている。大小の便所は女湯の入口傍らにある。外便所と いうのが中京地方の銭湯の特徴。美濃加茂市の最後の一軒。趣は十分だ。

連れと同時に左右の暖簾を同時にくぐる。入ればコンクリのタタキと、その傍らに木組の番台 がある。下足箱は無く靴棚があるだけ。

番台には90歳を超えるご高齢の方が座っている。同湯の方ではないけど長年この席に座ってい る。90歳を超える番台さんは何回か経験がある。何れも女性ばかり。構造も精神も単純な男の 方が長生きしそうだけど、女性の方が生命力に長けている。

岐阜の銭湯は確か410円だったと思うけど同湯は300円。かなり安い値段でお風呂を提供して いる。井戸水を重油で沸かしているので大変だろう。。。

脱衣所の広さは幅2間半、奥行はたたきの部分を入れて4間ほど。2階が載っているので天井は さほど高くはない。天板もフラットな板でペンキ塗りという簡素なもの。天井扇がぶんぶん回 っている。床はゴザ敷き。

ロッカーは折り鶴錠のものが外壁側にのみ。その他、ベンチとビニールクロスを敷いたテーブ ル、ヘルスメーターがあるくらい。

浴槽入口の傍らにはタイル張りの流しがある。ただ、一般的な縦置きではなく横置き。

浴室は古いコンクリ造。ただ。手前の天井高が2間で、奥壁の部分のそれは3間で上部に採光 窓があるというもの。ノコギリ屋根の工場の1部分を切り出したような形をしている。幅は2 間半で奥行は3間ほど。天井はアルミ板張りで壁は肩の高さまで大判の白いタイルが張られて いる。

浴槽はセンターに小判型のものと奥壁センター側にバスクリンのような薬湯の副浴槽がある。 主浴槽は湯温42度強といったところ。熱い湯が注ぎ込まれているらしくカランからは水がどぼ どぼと投入されている。それを半数の人が旧型の白ケロリンの桶で汲出して身体を洗っている。

男女境に熱い湯が出る場合には「デンキ」が灯ると書かれているけど、デンキのコードの束は あったものの電球は見あたらない。。。

浴室入口にカランから熱湯が出るように変わったという張り紙があった。恐らく何かの設備が 壊れたのだろうか、ボイラー直結になったようだ。水に熱湯を注いで適温にして使うのは少々 面倒だ。ご常連のように浴槽の湯を汲んで使うのが気楽でいい。

カラン台のひげ剃りを取ったら熱いのに少し驚く。カランに熱湯が通るせいで湯道具を置く台 のタイルが熱くなっていた。

相客の一団に、地元の親分子分の一段が居て少々騒々しかった。子分らは親分からいろいろと 注文を付けられゆっくりもできない。どこの世界でも宮仕えの身は大変だ。。。

上がりは、紙パックの牛乳を頂いた。「牛乳85円」あったので番台のお婆さんに確認したもの のやや要領を得なかった。100円渡して15円のお釣りを頂いた。

月曜日の17:45から18:30に滞在。ゴールデンタイムなのか相客は9人ほどとそこそこ多い。 帰りに外で蚊に刺されながら少し大将と話した。一人で切り盛りしているらしい。何もないけ どと番台に戻ってひげ剃りと小さな石鹸をくれた。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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