差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2010年9月29日水曜日 23:08
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件名: 霊泉湯(伊勢市河崎)

ナカムラです

今日(9/15)は、「霊泉湯(伊勢市河崎)」に行ってきました。 伊勢市駅(近畿日本鉄道)から、0.8キロ、8分くらいです。

今日は、常滑で「やきもの散歩道」を散歩。傾斜地に煉瓦煙突が並ぶかつての焼き物工場を巡 る観光散歩コースだけど、素朴で面白かった。現在は、小さな工場のそれぞれが陶芸家のアト リエなどに転用されている。また、明治時代の土管を土止めに使った小路や、同じく特攻兵器 のジェット機用の燃料タンク(常滑焼)が切り通しの法面に積まれていたりする。

散歩を終え中部国際空港から、海路、津に渡る。風雨が強くなり高速船はかなり揺れた。乗船 時間は僅か40分ほどだけど、かなり消耗する。

近鉄で伊勢市駅まで行き、食品問屋が並び伊勢の台所と呼ばれる河崎の古い町並みを歩く。途 中、海水を沸かす旭湯の隣のうどん屋で伊勢うどんなるものを頂いた。だし汁の黒さと、見て くれに反した甘さに二度驚かされるものだった。

さて、同じ河崎にある目的地、「霊泉湯」のお湯が沸いた頃合いになってきた・・・。使用人な ので創業年などの細かなことは聞けなかったけど、三代続く老舗のようだった。

入口は扇型の看板建築のようになっていて、その後ろに、脱衣所、浴室、釜場、母屋が連なる。 全て平屋で黒瓦を載せている。兵舎のような構造の銭湯だ。そして、後方にコンクリ煙突が見 える。

ネオンサインがついた「看板(建築)」の入口を入る。フロント式に改造されていて正面にカウ ンターがある。連れがひとり380円の料金を払う。奥行は1間程度だろうか、靴脱ぎスペース の左右にベンチやテーブルがあって、下足箱は少し離れた外壁側にある。

脱衣所は、幅2間半、奥行3間ほど。天井はトタン張りで、左右にのみアールがある珍しい構 造。床は古い板の間にゴザが敷かれている。そして、さして高くはない天井の男女境のには天 井扇が回っている。

ロッカーは壁側にツルカメ錠のもの。タイル張りの緩衝地帯にライトブルータイル張りの流し があるのはよく有ることだけど、外壁側のコーナーに扇形の流しがあって水飲み場になってい た。桃色と小豆色のタイル使い。印象に残るものだった。

浴室は、幅2間半、奥行3間半ほど。天井はプラ板張りで東京2段型と四角錘型の融合という あまり見かけないタイプの天井構造だった。

壁は肩よりも上がトタン張りでペンキ塗りという簡素なもの。しかし、床のタイルはピンクと ブルーの市松的な意匠。男女境は見たこともないオレンジ色のタイルを煉瓦積風に張ってある。 全てが磨き込まれて、清潔度はかなり高いレベルにある。銭湯としての基本性能は高い。

浴槽は、センターに小判型の浴槽で42度くらい。さらに奥壁に接して寝湯、ジェットおよびバ イブラからなるややぬる目のお湯を満たした設備系の浴槽がある。ジェットの水流が強烈だった。 小生の弛んだ贅肉がひっくり返りそうな勢いがあった。これほど痛いジェットは初めての遭遇 かも知れない。

お湯は、これが「霊泉」の特徴なのか、やや粗い固形物による濁りがある。奥の浴槽にある2 つの獅子口にも白い析出物が目立つ。きっと霊験確かな有り難い薬石なのだろうと思うことに する。 

ビジュアルは、奥壁の獅子口をはさんで、20センチ角くらいの絵付けタイル絵が2幅。古いも のではないけど、いいアクセントになっている。

平日の水曜日。15:30から16:20に滞在。相客は7、8人。爺さまが中心ではあるものの若い人 もそこそこ入っていることに土地柄を感じる。

近鉄の伊勢市駅の簡素さには驚かされた。地元では南側にあるJRの駅に対して「北駅」と呼ば れる。もっともJR側もジャスコや三交デパートが撤退と衰退が激しく通りは寂しかった。地方 都市のほとんでで見られる光景ではあるが・・・。

今日は、鳥羽を通り越して賢島泊。近鉄の建物を多く手がけた村野藤吾設計の志摩観光ホテル に泊まって、建物や内装のディテールに拘り抜く村野ワールドを堪能する予定。。。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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志摩観光ホテル


あご湾