差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2003年11月3日月曜日 13:11
宛先: 銭湯ML
件名: [sento-freak:04531] 六龍鉱泉(台東区池の端3丁目)

ナカムラです。

今日(11/2)は、「六龍鉱泉(台東区池の端3丁目)」に行ってきました。

上野駅(公園口)を出て、上野の森美術館でピカソ、東京国立博物館で大徳寺の襖絵を見た後、向かいました。ピカソと水墨画の襖絵では、見ている年齢層が全く違う・・・。

銭湯に向かう途中、東京博物館の前で警官が、「この信号が暫く(青く)変わりません」と伝えてた。何だ何だと考えている間に、恐らく皇太子と雅子さんだったのかな、白バイ数台と警護の車に挟まれて通り過ぎていった。皇族のクルマって、警護の都合なんだろうけど、信号をすべて青にして通過する。東京都美術館の「大英博物館の至宝展」に向かったようです。

六龍鉱泉は、上野の山を回り込んで、上野動物園の裏側、駅から12、13分といったところでしょうか。普通は不忍池のほとりを経由する方が、平坦な道のり。ただ、時間に大差はないかな。

動物園の崖の下の道から、人間しか通れない細い路地に入って行きます。路地の入口には八百屋があったけど、休み。なかなか判りにくいアプローチだと思う。裏側の方がクルマも通れる道になっていて、コインランドリーなどは裏にあった。

路地を進むと、六龍鉱泉の入口は立派な破風造りで、屋号が白抜きされた紺のオリジナル暖簾が掛かっています。2段程度の階段を登って暖簾をくぐり、下足箱には松竹錠。

番台には、この業界では若手の40歳台くらいの女将?が座っていました。若手女将の常だけど、愛想がイマイチ。番台は、新建材を張ったもの。既製品なんてあるのか知らないけど、よく見かける前面が曲線で構成されている高さがあるもの。

天井は格子ではなく、格子の横棒がないもの、天板は白。重厚感はないけど、しっかりとした天井。天井からは、シャフトが伸びる式の、旧型の扇風機が男湯・女湯に2台ずつ。

ロッカーは、壁側と大きな島ロッカーが1つずつ。狭くはない脱衣所だけど、客も多く(浴室と合わせて20数人くらい)、島ロッカーも場所を取っているのでので少し窮屈。テーブルの周りの4脚の椅子も全部埋まっている。黒く長い柱時計が現役で動いている。17:00の時報を聞いたけど、時間的郷愁を感じさせる、いい音だった。

浴槽の入口上部はガラスになっていて、両サイドに菱に梅鉢の家紋が2つずつあって、真中に「六龍鉱泉」とスリ硝子状にして記している。

浴槽は島カランが2列で、カランはセンターから9・7・7・7・0・8。日の丸扇の刻印がある取っ手が温泉マークのもの。片側のみの島カランには鏡も付いていないプレーンなもの。シャワーは両サイドのみ。据え置きのシャワーとハンドシャワーが交互に設置されている。

天井は2段型。東京の銭湯にここ数日で4軒入ったけど、4軒とも、広告板に付けられた赤い丸時計が浴室の脱衣所側の柱に設置されていた。高そうな時計ではないし、東京の広告会社が取り扱っているのか・・・?床は3センチ角の白タイル。長年の使用により、艶がなくなっている。これはこれで、いい風合いと感じている。

島カランをはじめ、風呂道具を置く台は、角に丸みがある旧型。上面も1センチ角の淡いブルーのタイルがきれいに並んでいる。カラン下の排水溝から排水を落とす穴が、カラン島の真中にある。あまり見ない形式。

さて、浴槽。ここは熱湯で有名である。深浅2槽。両方ともウーロン茶程度の色の鉱泉となっている。浴槽外側のタイルも温泉成分が黒く付着している。浅い方はバイブラバス。温度は、確かに普通の銭湯より高い。44度くらいか。難なく入れる。蛇口が左右に付いているのが珍しい。珍しい壁側の蛇口しか確認しなかったが、冷たい鉱泉が勢いよく出てくる。

次に深い方。かきまぜ棒が浅い浴槽との境に置いてある。温度計は47度。常連は「50度だとちょっとアレだけど・・・。」なんて話している。一気に入る。確かに熱い、入っていて慣れるという感じはなく、絶えず熱い。1分くらい入っていた。ここの熱い湯に入れるということは、小生もだいぶ熱湯に入れる身体になってきたか。

ここの驚きは巨大なタイル絵。タイルに絵を描いて焼いた式の普通のタイル絵であるが、湯船の縁から始まっているので、普通のペンキ絵より大きい。縦は31枚あった。横は数えられなかった。もちろん、横の方が長い。川に錦帯橋のような橋。手前に満開に桜が咲いており、奥は緑の山々。桜も所々に咲いているというもの。女湯は緑の中に茅葺屋根の家という感じだった。しかし、巨大である。銘等は見当たらなかった。女湯側の境は一面のモザイクタイル絵。城、海、船などが描かれている、細部は違うようだが、イメージ的にはよく見るものである。

庭には、池と金魚。正面には滝が設えてあるけど、今は水を流していない。

脱衣所に昭和6年8月の鉱泉の成分表が架かっている。ここの住所は東京市下谷区上野花園町14番地。申請者が野上丑蔵となっていた。ここは、旧住所からして、花町だったのかな。流しの前に「野上親睦会」の鏡が掛けてあったけど、銭湯の親睦団体なのかな・・・。ここならあり得るが。

下町の繁盛店といったところ。
変った趣向はないが、何より活気があるのがいい。
ボロ銭湯志向の小生には、少し落ち着かない感じではあったが・・・。

長くなりました。