差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2009年6月21日日曜日 19:04
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 斉藤湯(台東区東日暮里)

ナカムラです。

今日(6/18)は、「斉藤湯(台東区東日暮里)」に行ってきました。 日暮里駅(山手線)から、0.3キロ、3分くらいです。

銭湯には「三助」という職業がある。江戸時代から続く仕事でそのいなせな姿は若い女性が憧 れる対象でもあった。その三助も、この斉藤湯の番頭である橘秀雪さんが最後といわれている。

日暮里駅からも近いエリア。舎人ライナーが開通し、付近には高層マンションがいくつも立ち 並ぶようになった。同湯の正面に立つと後方のコンクリ煙突さえもそんなビルに囲まれている ように映る。

紺地に屋号を白に染め抜いた暖簾を潜ると、正面に脱衣所を三分割したスペースにフロント。 高い天井の下に低い格子を被せた洒落た構造になっている。脇の水槽には絶滅危惧種のタナゴ が泳いでいた。玉川上水で捕まえたりした懐かしい小魚だけど群で泳ぐ姿は、きらきらと光っ て、美しいと感じさせられるものだった。

さて、日本で最後の三助さん。風呂銭450円とプラス400円で、初めての三助さんを頼む。 フロント氏は、釜場で鳴る合図のブザーなのか、傍らのボタンを押して小生に木札を渡す。「な がし 斉藤湯」と記されている。これも伝統に則ったもののようだ。

三助といっても、風呂の清掃などの裏方が本業で、現在は流しの仕事は1日に5、6人のよう だ。普段は15分くらいらしいけど、背中を流した後、他の客もいないので30分もかけてゆ っくりと小生の凝った身体をマッサージしてくれた。

15歳で富山県の氷見から上京。いくつかの銭湯で働き、同湯での三助稼業は50年にもなる。 すでに齢71。生きていれば小生の父親と同年代だ。マッサージの力加減はソフトなものだっ た。この方が廃業すれば三助という仕事が歴史的なものになる。また、その時が斉藤湯の潮時 とも目されている。

斉藤湯の浴室の広さは幅3間に奥行き4間半。天井は2段型でブルーと白に塗り分けられた伝 統的なもの。奥壁、ブルーを基調とした幾何学模様のモザイクタイル絵で、ペンキ絵が無いの は残念だけど、全体に清掃が行き届いたいい銭湯だ。開け放たれた脱衣所の傍らには水を張っ た池を泳ぐ鯉が石灯籠の明かりに照らされている。

木曜日の22:30から21:40の滞在で、相客が10人くらい。三助の客数だけでなく、 この大きな銭湯にあっては寂しい感じがする。

上がりは駅前の「馬賊」という手打ち麺のラーメン屋で五目そばと餃子。さらにビール(大瓶)。 外の舗道から見えるスペースで麺を台に打ち付けては手延べしている。外にまで、バシン、バ シンという大きな音が響いていた。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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