栄湯（北区志茂）

差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2010年3月17日水曜日 23:41
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 栄湯（北区志茂）

ナカムラです。

今日（3/14）は、「栄湯（北区志茂）」に行ってきました。赤羽駅（東北本線）から、1.0キロ、12分くらいです。

東京天文台のサイトで久しぶりに東京の日の入りの時刻を調べると17:45。だいぶ日も長くなってきた。夕方、近くのバス停から赤羽駅に出る。

赤羽のメインのアーケード街は見事なくらいにチェーン店の店が多い。活気はともかくとして面白味がない。そのため湯あがりの一杯は、線路端の雑多なエリアであることが多い。夜勤明けでも飲める「まるます家」をイメージして出てきた。

北区は子供が少ない区で、高齢化が進んでいる。歴史がある旧岩淵小学校（廃校）を通過。そこから北に折れて進めば、県境でもある荒川の堤防に突き当たる。その少し手前、栄湯は東京都の城北部で最も北にある銭湯の１つだ。

細い路地。現在の建物は昭和35年築。銭湯が昭和40年代前半の、全盛期に向かって最も力と活気があった時代だ。そんな頃に、こんな路地の奥にモルタルとコンクリ煙突の大きな銭湯が建てられた。付近には2軒ほど商店の跡があるけど、1つは廃屋で、もう1軒も営業していない感じだった。

エントランスは、やはり簡素なモルタル造でコインランドリーのＨ型の煙突が出ている。今日の強風で翻る暖簾を潜れば明るいエントランスホール。正面には傘を突き差す式の傘入れ、両サイドには松竹錠の下足箱が並ぶ。

ドアを開ければ、幅3間半、奥行3間ほどの明るく広い脱衣所。高い天井は補修されているのかプラスチック材を押し縁天井のように組み立てた見たことがない構造だった。

入口方には木製建具のガラス戸があって、手摺りのある縁側の向こうには庭池。大きな鯉が泳いでいる。女湯側にはコインランドリーがあるので、庭が残っているのは男湯だけのようだ。

冷蔵庫の他にマッサージ機が2台。ロッカーは外壁側の他に島ロッカーが2列に置かれている。所々にユルい部分があるものの使い易い脱衣所だ。

浴室は、幅3間半、奥行は4間半。天井高は4間はあるのではないだろうか。大型の銭湯だ。日曜日の18:15、そんな大きな空間に相客は１人だけ。程なく小生だけになった。

島カランは1列で、カラン数はセンターから9・6・6・7。床などの清掃は行き届いているもののカランが石鹸のかすで白くなっているのが気になった。

浴槽は、奥壁に接した深浅2槽。42度弱というややぬる目の紫の薬湯が双方の浴槽に注がれている。浅槽は2穴ジェット×3、深槽はバイブラ。近くに23区唯一の「丸真正宗」の酒蔵がある。同湯も同じ水脈だろうか、井戸水を汲み上げＡ重油で沸かしている。

この広い空間に小生ひとり。贅沢でもあり、複雑な感じでもある。そんな感慨を持ちながらぬるめの湯にじっくり浸かっていた。

ビジュアルは、大きな奥壁に早川さんの「富士川」。平成十五年七月十四日とある。幅3間半、高さ1間半強という大きさもさることながら、男女境の上に富士山を置き、男湯側には富士川の流れを雄大に描いている。雲や靄を遠景に、岩にぶつかる分流を近景に配し、大きさだけでなく上品な遠近感が保たれている優れた作品だ。

上がりは冷蔵庫にある3ブランドのなかからサッポロ黒ラベル230円を頂く。旧型マッサージ機に20円を入れるが動かない。女将さんがコインボックスを拳で叩いてようやく動き出した。

跡継ぎもいないし、合わなくなってきていると話されていた。日曜日の夕食前というゴールデンタイムに、客はほとんど小生のみ。風前の灯火感を強く感じる銭湯だった。

夕食は「まるます家」。学生の頃、再開発前の赤羽の猥雑な町並みの写真を撮りに来たことがある。夏で開け放たれたまるます家で、朝から大勢の客が飲み、メートルをあげていた。朝酒なんて信じられなかったウブな頃、多少の怖さとともに、赤羽のディープさに気圧されたことを記憶している。今は、こんないい店はそうはないと思うけど。。。

昨日、うなぎの会だったけど、燗酒2本、今日も最後はうな丼で締めた。。。

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ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
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まるます家