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差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2013年7月26日金曜日 23:48
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 栄湯(世田谷区上馬)

ナカムラです。

今日(7/5)は、「栄湯(世田谷区上馬)」に行ってきました。 三軒茶屋(東急田園都市線等)から、0.7キロ、8分くらいです。

三軒茶屋・栄湯。首都高速が2段に重なっている国道246号(青山通り大山道)から斜めに逸れて、 再び合流する300メートルほどの中里通り商店街。ここが、古くからの旧大山道で、ここだけ忘れ られたように、古い意匠の商家が両側に並んでいる。三軒茶屋は昔から馴染みがある所だけど、こ んな道は知らなかった。

その中程の、コンクリ煙突を有する大型の銭湯。敷地も大きいのだろう、前面の道路からの花道が 長い。

創業年は分からないと言うけど、航空写真にはもちろん、昭和22年の写真にも銭湯とおぼしき建物 が写っている。旧街道沿いなので不思議はないものの、戦前からの銭湯のようだ。

ファッサードは、千鳥破風&唐破風の典型的な伝統的東京銭湯。立派な塀が巡らされいて、ダイヤ 硝子が填められた扇形の採光部がある。

今日は、強風で暖簾が翻っている。

大型の銭湯につきエントランスは広く、両側には珍しくなったカナリア錠の下足箱が向かい合わせ になっている。番台の裏の硝子窓が開けられる季節になってきた。その下に古くはない鏡が張られ ているけど、奥には何らかの装飾が隠れているのかも知れない。

扉を開けると、木目プリント合板の番台に女将が詰めている。脱衣所の広さは、幅3間半、奥行4 間ほど。外壁側入口方に4畳半ほどの側室がある。天井は上質の材料の大きな天板を樹木の表面を 残したような桟で押さえている。さらに桜の木枝だろうか、桟と交差するようなアクセントを置い ている。

ロッカーは、島ロッカーはなく、外壁に松竹錠アルミ板鍵のものが並ぶだけ。シンプルで広い空間 が広がっている。濡れ縁を介して前栽があるものの、大半はコインランドリーが占め、残った部分 には数本の低い庭木があるのみ。空調が掛かっていないので、脱衣所を通り抜ける風は多少湿気を 帯びて重い感じだった。

その他、Keihokuの首長のアナログ体重計。

男女境には、当分の間、水曜日と土曜日を定休とする旨の 張り紙があった。紙の干からびた様子から、週休2日になって暫く経つようだ。

浴室は、幅3間半、奥行5間ほど。天井は木板にペンキ塗りの2段型。島カランは、この大きな空 間ながら1列で、カラン数はセンターから9・4・4・8。島カランは元々8機ずつだったようだけど、 半分はカランが外されている。床のタイルはベージュ色の主として円形の模様が彫り込まれたもの。

浴槽は、奥壁に接した深浅2槽。主浴槽の浅槽は3点ジェット×3。しかし、下方の1点が何れも微 かにしか噴出していない。深槽はバイブラで、釜場の戸の当たりからランプで照らされている。ど んな効能を狙ったものかわからないけど、弾ける気泡が輝くというビジュアル的な効果が大きい。 お湯は42度強といったところ。すっきりとした感じのいいお湯だ。

ビジュアルが奮っている。大きな奥壁に、やや濃い色使いの中島さんの富士山のペンキ絵。大型の 銭湯なので大きく雄大な絵だ。さらに、幅5間に及ぶ男女境に紅葉の湖と富士山を描いた絵付けタ イル絵。古い物ではないけど、繊細なタッチで静謐な秋の雰囲気を描き切っている。優れたタイル 絵だ。

金曜日の20:30から21:20に滞在。相客は3人。この大型の銭湯としては寂し過ぎる客の入り。そ れにしても、栄湯がこれほどの銭湯だとは、今までノーマークだった。

上がりの一杯は、三軒茶屋駅に近い「関根精肉店」という居酒屋。塚田農場系のモツ鍋を売りにし ている店。ちょっと脂っこ過ぎるけど、この鍋のスープは美味しい。様々な演出が過ぎる部分がな いではないけど、接客もしっかりとしている。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
メイン:masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp  
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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                   現246号線と分かれる旧道が分かれる辺り。看板建築が並んでいる。




      「じゅんこ」という居酒屋。間口狭小の木造の建物。
    電力の取り込みが丸太という何とも時代をかんじさせられる建物。



            元々は洋菓子屋か何かだったのだろうか。側面にもアーチ型の窓が並んでいる。




              以前は「菊屋」という荒物屋だったようだけど、現在はバイク屋に変っている。