差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2004年11月6日土曜日 11:08
宛先: 銭湯ML
件名: 上大岡温泉桜湯(横浜市港南区)

ナカムラです。

今日(11/3)は、「上大岡温泉桜湯(横浜市港南区)」に行ってきました。
上大岡駅(京浜急行、横浜市営地下鉄)から、0.7キロ、7分程度です。

昭和32年築の伝統型銭湯ながら、京浜急行の高架線のすぐ傍ら、イトーヨーカ堂の向いという、開けた場所に立地している。
入口前は、10台ほどの駐車場とプレハブのコインランドリー。

煙突は油井型の銀色のもの。開けた場所だからか、少し短い感じがする。
入口棟は破風屋根ながら、横浜銭湯にはよくある赤ペンキ屋根。
両サイド下には、よくある茶色のタイルが張られている。

暖簾をくぐると、正面の番台裏は白と黄緑色のタイルで組まれている。笊の網目のような文様。
天井は新しい材の押し縁天井。やはり更新された下足箱、錠は松竹錠。
何があるというわけじゃないけど、清潔で整っている。

アルミサッシの戸を開けると、風情ある木組みの番台。
なかなか、上品で端正な感じの女将が座っている。
当方、シゲシゲと見ているし、質問もするので、「どこか遠くから来たの」と。
そういう客も来る銭湯だろうし、気にする風情もなかったけど・・・。

脱衣場の広さは3間半四方。男女境に大きなサウナ室が場所を占めている。
天井は平格天井(7×16)。天板は木目印刷の新建材、格子の材もさほどのものではない感じ。

窓は、最近あまり目にしなくなった、昭和中期的な変形千鳥格子的な模様ガラスの入ったアルミサッシ。
ロッカーは、松竹シリンダ錠の島ロッカーが1つ。
外壁側にもロッカーがある。一部が「TOKYO」の板鍵のロッカーが残っているけど、それはほとんど鍵が無くなっている。

目を引くのは、外壁側のロッカーの上に章仙画のタイル絵(横6枚×縦4枚)が額装されて鎮座していること。
章仙画のタイル絵は玉石混肴だけど、この冑に身を固めた侍が白馬につかまり川を泳ぐように渡っている絵柄のタイル絵は、なかなかの秀作と見る。
女将の話では、6枚のタイル絵があったけど、中普請の際に大工がうち4枚を額装、男湯と女湯に1枚ずつ飾り、残り2枚は大工が持って行ったと。
その大工が複数の銭湯に係わっているとしたら、やはり、この作品は優れたタイル絵ということなんだろう。

浴室は幅3間、奥行4間。天井は2段型。
横浜の大型銭湯によくあるように、大黒柱はタイル巻き。ピンクの小さな長方形のタイルが張られている。
ウィングの幅が2間弱と大きく直線的。高天井を支える筋交いが入っているのが珍しいし、古めかしい感じがする。

島カランが2列。カラン数はセンターから、3・3・6・6・6・4(立ちシャワー2)。
センター脱衣所側に水風呂があるので、変則的なカラン配置になっている。

ここは地下100メートルから汲みあげられた黒湯温泉。
黒湯浴槽はバイブラになっている。温度は結構熱くて45度くらいはあると感じた。
焚き出し口からは手では測定不能の高温湯がドボドボ出ていて、カランからは黒湯(水)がジャンジャン注がれている。
しかし・・・、焚き出し口からこんなに高温の湯が注がれているのを見たことがない。
あまりに高温なので判らないけど、50度やそこらではきかないと思う。

白湯槽は座ジェット×2と、何の仕掛けもない部分。パイプ2本で仕切られ温度は42度くらい。

ビジュアルは、奥壁一杯に丸山師のペンキ絵。木の板に直接描かれたペンキ絵はやはりいい。
板には、塗り重ねられたペンキの襞がある。絵柄は、大海原とローソク岩が2本。どこの風景なのかな。

日曜日の15:45から16:45くらい間滞在したけど、客が多いのには驚かされた。
確かに悪くない銭湯。いや、なかなかいい銭湯かも知れない。

保健所の勧めでの温泉登録は昭和59年。1升ビンに温泉を入れて箱根まで持って行ったらしい。
書類作成が煩雑で、途中で投げ出したくなったけど、客が喜んでくれるのでその甲斐はあったと。

駅前の京急百貨店のテラスの柱にこんな言葉が大きく書かれていた。
「会いたい時に 会えない人が ほんとうに会いたい人です」
ちょっと前にそんな人と別れて、銭湯へ赴いた身としては、心に沁みるものがあった。




近くの「豊島館」
2階は「サウナトシマ」