サン光湯（戸田市本町）

差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2010年12月29日水曜日 22:05
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件名: サン光湯（戸田市本町）

ナカムラです。

今日（12/24）は、「サン光湯（戸田市本町）」に行ってきました。戸田公園駅（埼京線）から、0.7キロ、7分くらいです。

いやー、いい銭湯だった。。。

今日はクリスマスイブ。彼女とどうするこうするという世代ではなくなり、昼食時の話題は子供に対する「サンタさん」演出の方法だったりする。小生には、サンタクロースがプレゼントを届けてくれたという記憶はない。親にそんな余裕はなかったんだと思う。

そんなことを思いながら、池袋駅で丸の内線から埼京線に乗り換え、戸田公園駅へ北上する。

降りると、敷地が広い倉庫が多い。東北・上越新幹線とバーターで建設された埼京線の駅として設置され、その後、急速にマンション開発が進んだという地域のようだ。マンションばかりの所は何処も同じだけど、人工的で大味な風景が並び、精神的な息苦しさを覚える。

同湯は大きな病院の裏手辺り。本町。埼玉りそな銀行の戸田支店なんかがあるので戸田の中心地に近いのだろうか。。。そんな実感が湧かない中で、油井型の煙突のシルエットと浴室棟高窓の灯りが見えてきた。

埼玉では良く見かけるダブル破風白塗りの伝統的木造銭湯。現在の建物も昭和34年築と半世紀を経ているけど、元の店舗は向かって右隣にあったというから、歴史のある銭湯だ。屋号につく「サン（光湯）」というのも難しい文字だったのかも知れない。

そして、同湯が面している細い通りには、廃業して波板が打ち付けられた飲み屋跡が軒を並べている。サン光湯を中心として、この通りが栄えていた時代があったようだ。。。

エントランスにはSakuraG錠の下足箱。右手の自動ドアを入れば、フロントとそこそこ広いロビースペースになっていて、大型テレビや飲料豊富な冷蔵庫がある。この在庫量を見れば、相当に客が入る銭湯ということが分かる。

脱衣所に進むと、昭和18年に撮影されたダブダブの飛行服姿の少年兵が写るセピア色の写真と、ブランデーグラスを持つ石原裕次郎と一緒の実業家風の2枚の写真がある。

大将に「あの飛行服姿の方は誰ですか」と問えば、（オレだオレだという感じで）言葉なく自分を指さして教えてくれた。

2枚の写真が同一人物というのも驚いたけど、それが皺枯れた番台の大将ということにまた驚いた。行く川の流れは絶えずして歳月人を待たず・・・。齢80歳くらいということだろうか。何か大河ドラマを観る感じがした。

脱衣所の広さは3間四方。見事な折上げ格天井の空間。島ロッカーがなく、広く清潔なイニシエの風景が残っている。

ロッカーは外壁側と入口方には低いもの。錠はSakuraⅡのアルミ板鍵のもの。脱衣所というか銭湯全体に、墨書で達筆な張り紙が目立つ。梁には「親父の小言」なる説教が、額装されいくつか掛かっている。ロッカーの上には、お持ち帰り用にコピーまで用意されている。第二格納庫の前に立つ少年飛行兵（ご主人）は特攻だったのか・・・。偏屈さとは少し違う、今を憂える感じの言葉が並ぶ。

浴室の広さは、幅3間、奥行4間。天井は2段型。2列あっただろう島カランは男女境寄りの1 つだけが残る。カラン数はセンターから、7・6・6。

浴槽はセンターから、島カランを撤去したとおぼしきゆったりとした空間に、コーナーを膨らまし、ブーメランのような形で並ぶ。順に「萬祥（アサヒビール漢方製薬）」という実母散湯、 7点座ジェット×2、バイブラとショルダーマッサージのある広い主浴槽。

さらに、幅2間ほどの庭だった所に、東屋と柊の小庭付の露天の岩風呂、スチームサウナ、水風呂と充実のラインナップ。これらを追加料金なしで使うことが出来る。

強烈な寒さの中で入る露天はひときわ趣深い。フィトンチットは切れて、普通のスチームサウナになってしまった「森林浴」サウナから水風呂。そして実母散湯あるいは露天と、くったりするまで繰り返し入る。明日を気にせず存分に風呂というものを堪能する。お湯はもちろん、キンキンに冷却した水風呂の水質もいい。おそらくは井戸水だ。

惜しむらくは奥壁にプラ板が張られペンキ絵がないことか。かつてペンキ絵があっただろうその下に、10センチ角の白タイルにブグや熱帯魚の絵を描いたタイルが使われている。しかし、少しばかり役不足だ。

入った時には、カランから水が出なくなっていて、水が出るようになったら、今度はシャワーが出なくなった。そして最後までそのままだった。そのせいか、暫くしたら水風呂の水が濁っていた。そんなトラブルはあったものの、わざわざ寒い日にやってきて、満ち足りた気分になれる銭湯だった。

上がりは瓶牛乳がなかったのでパックの牛乳を頂いた。金曜日の20:30から21:30に滞在。相客は多数。

飛行兵上がりで、「親父の小言」が好きな達筆の裕次郎好きの大将は、一見無愛想に新聞を読んでいたが、客送りの声は軽やかで、びっくりするほど元気があった。

戸田公園の裏側には惹かれる飲食店が見当たらなかった。埼京線で地元十条にもどり、斉藤酒場の数軒隣の「お功楽や」に入った。ご主人は、あの浦和・丸真の店長だった方。燗酒の徳利が、お湯を満たした木箱に入れられて供される。写真で観たことはあるものの初めての遭遇。料理もレベルが高く値段も安い。我が家で赤丸急上昇の店になった。

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ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
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