差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2006年1月3日火曜日 10:36
宛先: 銭湯ML
件名:

ナカムラです。

平成17年の締め、大晦日(12/31)は、「仙石湯(渋谷区西原)」に行ってきました。
幡ヶ谷駅(京王線)から、0.2キロ、3分程度です。

同湯は電話帳を検索しても表示されない。「廃業」が頭をよぎる。念のため、駅から電話を入れると「大晦日は、東京中のお風呂屋さんはやっていると思いますよ。」と、男の声で、優しく諭すように告げられる。

幡ヶ谷駅の商店街。大晦日の書き入れ時というのもあるんだろうけど、それほど寂れた感じはしない。程なくして到着。入口の両サイドにコインランドリーがある、間口が大きなマンション銭湯。

入口には家紋と屋号を染め抜いたオリジナル暖簾がかかる。エントランススペースは広く、座り心地のいいベンチや、観葉植物を置いている。下足箱の錠は、松竹の小さな板鍵のもの。

ドアを開けると、新建材で前面がカーブしている番台。女将に400円とサウナ代200円を渡す。下足箱の錠と引き換えにリストバンドが渡される。それにしても、女将の接客・立ち振る舞いは、高級料亭並の対応だ。茶色の和服を着て、おまけに美人ときている。テレビなど見ていなくて、その緊張感が伝わってくる。
恥ずかしながら、驚きを持って、まじまじと見つめてしまった。

生活銭湯なので、女将目当てということもないだろうけど、この女将に風呂銭を渡すことを楽しみにしている常連は、きっと、いる。

脱衣所の広さは、幅3間半、奥行き3間と広い。
入口方と外壁側に松竹シリンダ錠のロッカー、真中に島ロッカーとソファー、雑誌が置いてあるテーブル。それに、HOKUTOWのアナログ体重計、自販機。
置かれている雑誌は、「文芸春秋」や「週刊文春」や「東京人」等だったりと、漫画本じゃないところに品の良さを感じる。ただ、大晦日の慌しさからか、読んでいる客はいない。

この脱衣所は、床、鏡、架っているカーテンと、全てにおいてその清潔さに隙がない。ここまで仕上げるには、並大抵ではない労力が要るはず。ともかくピカピカの脱衣所に感銘を受ける。

浴室は、幅3間半、奥行4間程度。天井は緩いカマボコ型で最高部でも2間弱の高さにとどまる。島カランは2列で、カラン数はセンターから9・7・7・7・0。カランは旧型のWaguri。旧型のWaguriなんだけど、これほどに輝いているものを見たことがない。古いはずだけど、古いものには見えない程、良好なコンディションが保たれている。

浴槽は、奥壁側が主浴槽で淡い気泡風呂と座ジェット×5。水枕がキンキンに冷えているのが心地いい。外壁側には、奥から、スチームサウナ、ホディシャワー、高温浴槽、立ちシャワー×2となっている。

高温槽がハーブ湯となっており、今日はローズ湯。布袋に天然のハーブが一杯つまっていて、入浴剤と比べてありがたさがある。高温槽といっても43℃弱くらい。同湯の浴槽のカランには「この蛇口は清掃用につきご使用できません」という札が架り、捻っても水が出ない。厳格に温度管理をしているということだろう。

さて、スチームサウナ。有料というのは珍しいけど、料金を取るだけあって、嫌なスチームサウナ臭は全く無いし、煉瓦色のタイルが張られた7、8人用の室の中はとても綺麗に維持されている。

室内に「水浴びは、隣のボディシャワーでのみ行って下さい」「公衆浴場につき入浴は1時間以内にしてください」という主旨の掲示があった。水が撥ねて、まわりの客に迷惑だというのが趣旨のようだ。このボディシャワーを何度か浴びたが、冷たいし、水圧が強すぎて、痛い。これほど痛いのは初めて。

大晦日の17:30から18:20のに滞在。30のカランの8割以上が埋まって、小生の隣にも客が居る。大晦日の夕方だからかもしれないけど、最近ではあまりこの混雑度は経験がない。

この混雑の中で、幼少の時の大晦日の銭湯の記憶が蘇ってきた。家も正月準備でざわざわしていたし、近所の銭湯も、今日の仙石湯よりもザワザワしていた。銭湯に入って、夕食を済まして、炬燵に入ってNHKの紅白歌合戦を見るという、そんな高揚感があった。

ビジュアルは、奥壁が煉瓦で組まれ、一部何かのオブジェ的になっている。このあたりはコミカ風呂的。さらに、入口上の脱衣所との境には、硝子の一部を摺りガラスにして、裸婦像と魚を描いている。

この1年。銭湯巡りを始めて、もっとも数多くの銭湯に入った1年だった。
その締めに相応しい、いい銭湯だった。
それにしても、素敵な女将だなぁ・・・。まじまじ見つめたら、恥ずかしそうに目をそらされてしまった。














西原商店街の入口

暗渠化された玉川上水の橋から、同湯方向を臨む。
かつて、衛生具の自販機の横に、成人雑誌の自販機があった。
恥ずかしい話だけど、中学生の時に買ったことがある・・・。