千成温泉（大阪市西成区鶴見橋）

差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2014年8月21日木曜日 22:18
宛先: 銭湯ＭＬ (sento-freak@freeml.com)
件名: 千成温泉（大阪市西成区鶴見橋）

ナカムラです。

今日（6/21）は、「千成温泉（大阪市西成区鶴見橋）」に行ってきました。萩ノ茶屋駅（南海高野線）から、0.7キロ、8分くらいです。

先ずは四天王寺の骨董市に、滋賀大津の馴染みの着物屋が出店しているというので出かけて行く。門前の市は京都・東寺の「弘法さん」と似た雰囲気を感じるもの。日本各地の市に出掛けていく着物屋の”tent”さんによれば、この骨董市の客層は全国で一、二を争うほどに濃いらしい。横浜だか銀座だかの着物市で、”おっちゃん”と呼ばれている若い大将が、小生が首から下げていたRICOHのGRｰDigital3を「男らしいカメラ」と思ったらしい。中古で買いました！と教えてくれた。

小生の愛機と同じカメラを、それも堅実に中古を買ったことを報告してくれるなんて何とも嬉しい話。しかし、小生の背中のリュックに入っている最近の愛機は、GRではなくPanasonicのLUMIXｰGMに単焦点の35ミリレンズを付けたものに替わっている。少々、後ろめたい気がした。

骨董市では”tent”さんで角帯を、また別に多数の銭湯暖簾を扱う店があって「おふろやさん」「大阪市浴場組合」という文字が入った大阪銭湯の暖簾を、こちらはしっかり値切って買う。

心斎橋でお好み焼きを頂き、市営地下鉄四ツ葉線で岸里駅へ。

夕方の新幹線に乗る前に千成温泉に入ることにしている。それまで、岸里駅を起点に廃業した旧大黒湯、西天下茶屋商店街、福寿湯、西天下茶屋駅、津守駅、津守商店街、鶴見橋商店街と”大阪の下町”を感じながらの町歩き。

全蓋式のアーケードを持ちながら、西天下茶屋商店街と津守商店街は既に商店街の体を保つのが難しい感じに衰退している。南海のローカル線（汐見橋線）の西天下茶屋駅は、何でこんな素晴らしい駅が此処に有るの？と思うほど、周囲との不釣り合いを感じる素敵な駅だった。昔は栄えていて乗降客も多かったんだろうけど、今は3桁も前半くらいの乗降客しかいないようだ。

さて、前置きが長過ぎたけど、5泊6日のツアー最終（6湯目）の千成温泉へ。津守駅（南海・汐見橋線）、津守商店街、鶴見橋商店街、萩ノ茶屋駅（南海・高野橋線）は、西東1.8キロ、一直線に並ぶ。同湯はその中央やや萩ノ茶屋駅寄りにある。

鶴見橋商店街は津守側は寂れているけど、萩ノ茶屋駅に向かうほどにだんだんとと人通りが増していく。パチンコ屋と見間違う、黄色のネオンギラギラのスーパー玉出を過ぎれば同湯は近い。東京の十条では250円という破格の弁当があったけど、玉出には品質はさて置き100円を割る弁当が売られているらしい。

千成温泉はそんな西成の銭湯。シャッターが閉まった飲食店？なども絡んだ少しコテコテしたファッサード。ブルーのペンキ塗りの入口の上に黄色で「千成温泉」と書かれている。そして、正面から見ても、左隣の小公園から見ても大きな建物だ。

エントランスホールはやや縦長の広い大阪仕様。左右にはおしどり錠の下足箱が並ぶ。番台の背に当たる部分はタイル絵ではなく、屋号を大きく彫り込んだ黒御影石の看板が自己主張している。

1段階段を昇り番台への扉を開ければ、白い化粧板を張った前面がカーブした番台。大きな銭湯なので、番台の高さが心持ち高い感じがする。相方が大阪銭湯の料金、2人分880円を払う。

脱衣所の広さは、幅3間、奥行は4間ないし5間ほど。床は籐敷き。天井高は2間ほど。縦に長く、広い空間が広がっている。狭いながらも、陶製のタヌキ像で埋め尽くされた前栽もある。

籐敷きの広い空間に島ロッカーはなく、ロッカーは外壁側と男女境の鏡の下に、ブロック状のおしどり錠のものがずらりと並ぶ。浴室との間の狭い緩衝地帯にある流しは、石で出来たものだ。

Iuchiのアナログ体重計、テレビなどがあり、新世界国際、新世界国際地下の文字だけの映画館のポスターが貼られている。浅草から映画館が消え、文字だけの映画館のポスターを見るのは久しぶり。

せっかちな相客の動きや会話の中に、つくづく大阪人の”いらち”を感じる。春まで西成出身の上司に7年近く仕えてきた。何かそういった性格の源泉を見る感じがしないでもない。

浴室の広さは、幅3間、奥行は6間ほど。天井高さは3間ほどのプラ板張りのカマボコ型で中央に四角の湯気抜きがある。床には御影石が並べられ、その間にはグレーのタイルが張られている。イニシエさという点では、何処か雰囲気不足だけど、なかなか風格がある浴室。そして、かなり大きな銭湯だ。

カランは、男女境側に9、外壁側に8。浴槽は、センターに御影石の踏み込み段がある小判型の主浴槽。そして、電気とジェットの副浴槽が外壁側脱衣所方にある。さらに、奥壁側に、湿式のサウナ室、日本一クラスの激強烈な打たせ湯を仕込んだカプセルと水風呂が並ぶ。

床も石敷きだけど、浴槽の踏み込み段の部分や浴槽縁も御影石で組まれ高級感がある。お湯は、柔らかでまったりとした大阪銭湯の特有のもの。水道水の違いなのか東京や隣の京都と比べても硬度が低い感じがするけどどうなんだろうか。湯温は42度くらい。それが清澄に維持されている。銭湯としての基本性能はすこぶる高い。

ビジュアルは、男女境のガラス部分に樹脂製のステンドクラスもどきの絵が貼られているほか、外壁には白糸の滝を描いたモザイクタイル絵、奥壁のサウナ＆打たせ湯のカプセルの上に石庭が設えられ灯籠2基が置かれている。

上がりは、冷蔵庫の最下段に、終売になった瓶スコールの替わりにペットのスコールを頂く。500CCと量が多いのと、やはり風呂上がり飲むには風情が欠けるかな。

土曜日の17:35から18:05に滞在。大阪の西成区の銭湯。東京の山谷の銭湯の多くがそうであるように、広さと清潔さを兼ね備えている。通天閣の映画館「国際館地下」などの映画のポスターも健在。相客も典型的な大阪人という感じの人が多かった。

ちょっと時間が足りなくなり、興味が有った萩ノ茶屋駅までの道のりは駆けるように通り過ぎ、なんば駅経由で新大阪駅に向かった。

萩ノ茶屋駅は1日2,000人弱の乗降客数しかないようだ。恐らく戦前に造られた駅そのままで今も使われているんだろう。古レールで組み立てられた高架ホームの景色には哀愁が漂っていた。また、西成の銭湯に来よっと。

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ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
URL: http://furoyanoentotsu.com（風呂屋の煙突）
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　　　　　　　　　　　　　　　津守駅傍らの津守商店街。抜けると、萩ノ茶屋駅まで鶴見橋商店街が続いている。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ザ・大阪！　鶴見橋商店街

　　　　　　　　　　　　　　　　　　パチンコ屋ではない。食品スーパー。価格は本当に激安。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　旧オギノ産婦人科

　　　　　　　　　　　　　　　　　萩ノ茶屋駅。ガード下、高架ホームと古めかしく哀愁が漂う駅だった。