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差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2014年11月30日日曜日 7:33
宛先: 銭湯ML (sento-freak@freeml.com)
件名: 銭湯Gokurakuya(杉並区上荻)

ナカムラです。

今日(9/12)は、「銭湯Gokurakuya(杉並区上荻)」に行ってきました。荻窪駅(中央本線等)から、0.9キロ、11分くらいです。

かつて四村(上荻窪村、下荻窪村、下井草村、天沼村)の境界だった、青梅街道と環状8号線が交差する交通要衝、四面道交差点のすぐ近くにある。大正時代末頃の創業という旧妙法湯。郊外だった荻窪で空襲を受けたのは荻窪駅くらい。昭和22年に撮られた航空写真には伝統的木造銭湯とコンクリ煙突だろうか、その影が写っている。

現在は、平成の初め頃に建て直された3階建てのマンションの1階に入る小さな銭湯になっている。現在の姿になってから25年ほど。屋号も「銭湯Gokurakuya」という深く銭湯を理解した先鋭的な屋号に変わっている。

建物の中央に平入りの簡素な入口。狭いけどオープンで、向かい合う下足箱の向こうに、マックを操作するフロントの若大将を見通すことができる。

隣のガラス扉は紙が張られ閉鎖されている。ここから昇る2階に「コミュニティールーム」なるカラオケ店を営業していたようだ。浴室の壁に広告が残っているものの現在は閉鎖されている。屋号といい、どことなくバブル時代の名残が感じられる。

中に入ってもロビーと呼べるようなスペースはなく、男女湯に通じる通路に冷蔵庫とベンチを置いただけ。最近は、サウナがかなり割高な新宿区の銭湯行脚が多かったせいか、週末のサウナ利用は久し振りの感じがする。同湯のサウナはプラス200円。価格と価値が見合っている料金。下足錠と引換えにサウナ証とバスタオルが入ったバッグを頂く。

脱衣所の広さは、幅2間、奥行3間ほど。天井高は1間と1/3ほど。これ以上天井が低い銭湯はないだろうという最小限の高さ。ロッカーは壁側に松竹錠シリンダ式のものが30個。最下段の10個が常連の留め桶を入れる小さなロッカーになっている。

その他、デジタル体重計、自販機、血圧測定器、ベンチが置かれている。自販機の上にはHITACHIの14型のブラウン管テレビが健在。画面には”デジアナ変換””来年3月までに放送終了”とのテロップが流れている。

地デジになって3年。しかし、今だに500万台ほどのアナログテレビが使われているという。銭湯で”デジアナ変換”に出会うことは多い。来年以降は撤去されるだけで、新しいテレビに置き替わることはないのではないかと想像している。

浴室は、幅2間、奥行4間半。天井は脱衣所と同様の広さ。普通の建物の1階にそのまま浴場を設置したという投資額を抑えた造り。しかし、小生好みの小振りな銭湯だ。最近閉店した生麦・春日湯と似た雰囲気を感じた。

島カランは無く、カラン数はセンターに11、脱衣所との出入口の脇に1、外壁脱衣所方に2。床のタイルは6センチ角のパール色に輝くもので周囲に滑り止めの突起のあるもの。椅子や桶が紫色などのカラフルなものが使われている。

浴槽は、外壁側に電気、ミルク風呂、7点座ジェット×1(但し床の2穴の噴出はなし)、水風呂、畳2畳ほどの広さの乾式サウナ。井戸水をガスで沸かしたお湯は42度くらい。微細な空気による白濁のミルク色のお湯は絶品。一部の噴出が壊れている座ジェットの白湯もすっきりとしながらに柔らかい。サウナ、水風呂、ミルク風呂を独り占めしながらの”無限往復”。週末のこの解放感は毎度のことだけど堪らない。

相客は最初1人、小生だけの時間も長く、春日湯もそうだったけど、かなり贅沢な入浴をした。しかし、こんなにも客が少ないことが怖くなる。銭湯の廃業は相変わらずハイペース。それとは別に、最近、客がまた急に減った感じがする。

ビジュアルは、奥壁の一部に銀・金・銀で3つの正方形を描いたデザイン的な線形模様が施されている。まさにワンポイントのアクセントだけど、これが有ってほっとする。

壁には「東京都確保浴場H4第○○○○番」とあった。区長宛の申請により、隣店との距離等の一定の要件を満たした銭湯に対し収入と経費の1/2を補助する制度があるようだ。東京にどれくらいの確保浴場があるんだろうか。もっとも、補助金は後継者問題には大きな効果はない。

金曜日の19:45から20:45に滞在。相客は入れ違い客ばかり3人ほど。女湯も入れ違い客を除けば相客は居なかったという。混んでいたら印象は違っていたのかも知れないけど、客の少なさと静かさ、井戸水をガスで沸かしたお湯によるシルキーバスが印象に残った。

9/20-12/14、杉並区内22軒の銭湯にタンクローリーで吾妻峡温泉の温泉を運び込んで輪番開催されるようだ。名付けて「銭湯で温泉まつり(杉並浴場組合)」。銭湯で温泉まつりとはこれ如何にとは思うものの、面白そうではある。どうせなら一番風呂をめざそうかな!?

さすが中央線文化圏。帰路は「象のあし」なる鉄道系や写真系なども充実している拘りのセレクトをする古本屋で、鉄系の古本を眺め、「写真家へ(安友志乃/窓社)」を購入。

上がりの一杯は、祭り提灯が下がる荻窪日ノ出街会の地鶏を売りにする居酒屋へ。荻窪では運悪くいつもいい店に巡り会うことができない。残念ながら今日もそうだった。よさ気な飲食店が多いんだけどねぇ。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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                 荻窪駅。古レールで造られた跨線橋に連続した改札口(裏口)がある。