いざなわれ世田谷美術館へ。相方が最も影響を受けた、好きな写真家のひとりという。二人で大きな展示室の中を往復に次ぐ往復。気づいたら閉館時間近く、二時間以上も経っていた。

桑原甲子雄と荒木経惟は、1993年に「ラブ・ユートーキョー」という写真展をやはりここ世田谷美術館で開いている。小生は、森山大道と荒木経惟に私淑して学生時代を過ごした世代。「ラブ・ユートーキョー」も深く記憶している。今回は荒木抜きだけど、改めて桑原作品を大きなプリントで見て、時間を忘れるくらいに興奮していた。

桑原氏は若い頃からアマチュアとして活動していたけど、評判になったのは晩年に「昭和十一年」という写真集を出してからだ。

今回、個展とそれに続く写真集「昭和十一年」に向けて焼いたキャビネ判のスクラップブック2冊がスライドショーで投影されていた。桑原氏と荒木経惟は深い交友があったのは知っている。しかし、写真集「昭和十一年」が荒木氏のセレクトと知って驚いた。

チケットやポスターにすり込まれた桑原氏の代表作の二・二六事件翌日の戒厳令下の東京の写真。かなり若い頃の作品と知って、改めて氏の凄さを知った。そして、それを38年を経って30歳代前半だった荒木氏が掬い上げている。それもプロ中のプロの仕事だ。

蕎麦の昼飯を食べて、中野・千代の湯近くの「momo Garten」へ。
旧桃園川に面した、昭和23年築の旧い木造家屋による喫茶&Bar。
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「桑原甲子雄の写真/トーキョー・スケッチ60年〈世田谷美術館〉」 2014.04.26.