重の湯（大田区羽田）

差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2006年5月27日土曜日 9:34
宛先: 銭湯ＭＬ
件名: 重の湯（大田区羽田）

ナカムラです。

今日（5/26）は、「重の湯（大田区羽田）」に行ってきました。
穴守稲荷駅（京浜急行空港線）から、０．７キロ、１０分くらいです。

駅で、携帯電話のナビゲーションに同湯の住所、「羽田３丁目」を「１丁目」と間違えてセットしてしまう・・・。暫く歩いて、「目的地付近です」とのアナウンスがあれど、煙突は見つからず・・・。結局、かなりの遠回り。日々１万歩程度歩いているけど、今日はＪＲ蒲田駅と京急蒲田駅との連絡も徒歩だったし、都合１．７万歩も歩く。高校生が履くような安い革靴なので、歩きにくく、足の裏もヒリヒリしてきた。

羽田は漁師町で、今でも６軒の銭湯が営業している。２０年くらい前、漁師町の風景を撮影するため、空港からかなり離れて街外れにあった、名ばかりの「羽田空港駅」を経由し、何回か足を運んでいる。滑走路が沖合いに移転する前は、離発着の飛行機から見えるように、その辺り、海老取川の河畔に大きな広告看板が林立していた。

広告看板と銭湯の煙突を組み合わせた写真は、叙情的なタイトルを付け、今でも印象に残っている。老取川の河畔のその銭湯は既に廃業しているようだ。羽田は、昔、もっと銭湯が密集していたようだ。

さて、重の湯。
首都高速横羽線の直ぐ下に位置している。首都高速の走る場所は、以前は運河だったというから、同湯が開業した頃は、今と全く異なる風景だっだたはずだ。

入口脇には「重の湯」という行灯型の広告灯が立つ。入口は千鳥破風の黒瓦。塀の上部が合成樹脂の波板という点を除けば、なかなか風情がある佇まいだ。前面が運河だったら、なおさらだろう。

千鳥破風の黒瓦屋根のエントランススペースもなかなか広い。平格子天井のそのスペースにカナリア錠の下足箱がたくさん並んでいる。

サッシの戸を開けると、意外にもログハウス風の板張りのフロント風番台。高さは脱衣所と同レベルで、女湯ばかりか、男湯への視界も強く抑制している。「中に」ご高齢の女将。丁寧な応対で好感が持てる。恐らく８０歳は超えているだろう。東京銭湯で４００円を払うのは、残り数日になってしまった。来週木曜日からは４３０円に上がる。

脱衣所の広さは、幅３間、奥行４間。更に、入口方かつては庭だったと思しき所に、２間四方でソファを置く休憩スペースが増築されている。天井は折上格天井。さほどの材ではないのか、ニスではなく、白いペンキで塗られている。増築の休憩スペースには間断なく、有線放送で演歌が流されている。

床は新しい、足ざわりのいい板の間に張りかえられている。そして、この広い室内に、長い蛍光管がいくつも渡され、清潔な空間を明るく照らしている。

外壁側はサッシになっていて、縁側の奥、全面が広い池になっている。小生が経験する銭湯界最大の池だ。何匹もの鯉が泳いでいる。縁側がビニール貼りなのと、その屋根がいい加減な造作なので風情を殺いでいるものの、苦労して維持しているだろう立派な池だ。

ロッカーは、島ロッカーが１つと、その両サイドにもロッカーがある。錠はSakuraⅢ。２つだけ脱衣籠も置かれている。Keihokuのアナログ体重計は、茶色のかなり年季が入ったもの。その他、増築スペースには、新しいタイプのタイル絵が額装され、架けられている。

浴室入口脇には、組合の銭湯料金値上げの告知がある。６年ぶりの値上げで、４３５円と試算されるところを、４３０円にした旨が書かれている。燃料高騰、消費税免税点の引き下げ、そんな理由が書き込まれている。

浴室は、幅４間弱、奥行４間。ウィングが１間半強ある２段型。ウィングは湾曲していない。トタン張り。それに対して、高天井は木造でかつ湾曲している。古い造りだ。ウィング部が直線的なのは、浴室の外側１間ほどが、増築したものだからだろう。

島カランは２列で、カラン数はセンターから、６・５・５・５・３・２。カランは、Waguriの取っ手が茶色のもので、全てにシャワーが付いている。カラン廻りや浴室腰周りのタイルは全て更新されていて古いものはない。脱衣所同様、長い蛍光管何本かで、白く照らされている。

浴槽は、センターから薬湯槽。一部が寝湯になっている。真中が「あつい湯」とあり、バイブラ槽。外壁側がＬ字型に主浴槽がある「ぬるい湯」で、ミクロバイブラ槽。特殊な入浴剤を使用しているのか、木目の細かい泡が立ち上っている。

増築されたと思しき部分のさらに外側に、幅１間、奥行２間ほどのサウナがある。乾式サウナだけど、スチームサウナの設備も残されている。しかし、床や壁がスチームサウナ仕様のタイル張り。触れると激熱で、あまり寛ぐスペースにはそぐわない。

相客の全身総刺青のあんちゃんは、床に水をぶち撒けて、筋トレに励んでいる。また、手礼を切って入れていただく。なんか、先週の金曜日も刺青の方とサウナに入っていたなぁ・・・。この兄ちゃん、浴室に出ても、椅子に座らず、ストレッチに励んでいる。

水風呂がないのが残念だけど、立ちシャワーが４機もあって、冷たい水が出る。３往復くらいサウナとシャワーを往復する。３回目だった、かつての設備だと思っていた、スチームサウナの設備が稼動している。同湯のサウナは、乾式の遠赤外線サウナとスチームサウナの併用のようだ。このようなサウナに初めて遭遇する。室温は８４度と変らないけど、スチームが放たれた後は、かなり「効く」という感じだった。珍サウナと言っていいだろう。

ビジュアルは、奥壁に早川師のペンキ絵で「信州　梓川」。早川師のペンキ絵に久し振りに接した感じがする。立ちシャワーの壁には、クラッシクカーと女性の、何度か見た組み合わせのプリントしたタイル絵、奥壁のペンキ絵の下にもプリントした別のデザイン的な絵がある。更に、浴槽外壁側に水槽が嵌めこまれていて、不細工に大きな金魚がまったりしているのが見える。

ビールの販売はなく、オレンジジュースを飲んでいると、例のあんちゃん、上がる前に、浴室中の湯桶と椅子を入口脇に片付けた。なかなか、できないことだし、そこまでやる客はあまり見たことがない。銭湯で筋トレするのはいかがなものかと思うけど、礼儀正しかったし、いい奴のようだ。

金曜日の２１：１５から２２：３０に滞在。相客は、１０数人。客が途切れたら、ペンキ絵を撮らせてもらおうと考えていたけど、その機会は無かった。

帰りは、駅に向かって、途中のバス通りまで歩くと、丁度ＪＲ蒲田駅行きのバスがやってきた。１５分くらいで、駅に着く。
ＪＲを使う小生の場合、蒲田駅から羽田町までは、バスで行くのがいいようだ。


	首都高横羽線。かつては六間堀という運河だったらしい。