差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2009年1月4日日曜日 12:53
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 清水湯(兵庫県洲本市栄町)

ナカムラです。

今日(12/18)は、「清水湯(兵庫県洲本市栄町)」に行ってきました。

洲本の遊廓は海岸沿いにあった。洲本での宿はその通りに建つ転業旅館の流れとおぼしきビジ ネスホテルにした。付近には値が張る大規模な観光旅館は多い。そこでゆっくりする時間はな いので、ビジネスホテルを探すけど、そういったものはあまり多くない。現地にはいい感じの 商人宿はいくつもあった。ただ、訪れる前にその辺りの情報を掴むのは難しい。

さて大正12年築創業の清水湯へ。洲本の本町にも近く、洲本の中心地にある銭湯だ。入口が洋 風の看板建築のエントランスになっている。アーチの内側にはブルーのタイルが使われていた りと、なかなかの趣きがある。

暖簾の奥にあるガラス戸をあけると奥行の狭い靴脱ぎスペースがあってツルカメ錠の下足箱が 左右にある。もう1つの扉を開けると番台があって、脱衣所スペースが広がっている。同湯で は「10円はオマケ」と言って370円の料金でやっているようだ。

番台は木組みのしっかりしているもの。女湯サイドには壁があっていろんな販売グッズが吊る されていて女湯への視界を完璧にシャットアウトしている。若い人も通う銭湯なのか、なかな か厳重だ。

脱衣所の広さは幅2間、奥行3間ほど。2階の居宅への階段があるけど現在は使っていないよ うだ。

ロッカーは外壁側に折り鶴錠のもののほか籐編みの円形の脱衣籠も現役だ。

そして小物が充実している。番台脇には木の棒に枝がいくつも出ているオール木製の雨傘掛け。 旧型マッサージ機やソファの近くには小さいながら火鉢がある。大黒柱には昭和初期の黒柱時 計がある。ただ、文字盤の上に同じ大きさの別の円形時計を張り付けている。少しばかり大胆 ではある。

女将は現役の頃、走り幅跳びで全日本10位以内に入る記録を持つアスリートだった。運動だ けではない、脱衣所には何枚かの風景画が掛っていて、なかなか味のある絵なのだけれどこれ も女将さんが描いたものだ。

浴室は、幅2間強、奥行3間ほど。天井は四角錐型の天井で四角い湯気抜きが開いている。最 大の特徴は床や浴槽が石で造られた古式ゆかしい姿のまま残っているということだ。

カランは外壁側に6、奥壁側の少しの張り出し部分に2つ。桶を置く台の上に湯道具を置く台 もあって、台が2段になっている。湯桶を載せるスペースと湯道具を置くスペースが共用とい うのはタオルなどがびしゃびしゃになってうまくない。同湯はその辺りが修正されている。

浴槽は男女境に接するかたちで正方形の浴槽が、男女境と並行に2つに仕切られての深浅2槽 になっている。縁の部分だけ上面に白いタイルが張られている。浴槽と踏み込み段の部分は御 影石になっている。湯温度は42度くらいか。いいお湯だ。

男女境脱衣所方のタイルには、薄く「清水」「上湯」の文字が残っている。「清水」下には今も 汲み水槽が残っているけど、「上湯」の下は御影石の頑丈な台になっている。最初は座るスペー スと思ったけど、恐らくはここに別の槽が載せられて、上がり湯が注がれていたのだろう。

ビジュアルは4面それぞれにタイル絵がある。男女境には既に見えずらいくらいに薄くなって いるけど山・川・舟の絵付けのタイル絵。その他の3方にはもっと後の時代のものでモザイク タイル絵がある。奥壁だけでなく、外壁側や脱衣所への出入り口の上にまであるのが珍しい。

上がり近くに潜水漁師軍団と一緒になった。寒い中海に潜ってアワビやサザエを取る。洲本に は100人位のこれらの漁師がいるという。

上がりは女将さんにヤクルトをご馳走になった。感謝。

本町のアーケードにあった住栄湯は5月に廃業していた。

夕食に有りつけるか不安になったので、とりあえずコンビニにカップラーメンを調達した後、 花街の置屋が並んでいた辺りの「福一」という寿司屋に入ることができた。

淡路を歩いていると何度も「清酒/都美人」の看板を目にしてきたけど、やっとあり付けた。濃 厚な飲み口のなかなか優れた酒だった。

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