差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2003年12月7日日曜日 0:58
宛先: 銭湯ML
件名: [sento-freak:04634] 清水湯(鎌倉市材木座)

ナカムラです。

今日(12/6)は、「清水湯(鎌倉市材木座)」に行ってきました。
鎌倉駅から10分程度です。

遠回りして「滝乃湯(鎌倉足御成町)」を経由して・・・。
滝乃湯は、来年3月で廃業予定だったけど、入口に張り紙。

関係者の努力により、廃業が1年延びたと書いてあった。
滝乃湯は何回か浸かっているけど、いつ来ても落ち着く、裸電球の暖かい灯りと実母散の湯。
とりあえず、ほっとする。

デートの途中なのか、1つのカバンからそれぞれタオルを取り出して、カップルが入って行った。
次は熟年夫婦風。
観光地鎌倉にある名湯ならではの光景かな。
しかし、デートの途中に銭湯というのも、かなり出来上がったカップルではある。

さて、清水湯。「大町四つ角」というのんびりした名前の交差点から、材木座海岸に伸びる道から少し入ったところにある。
暗くて良く判らないけど、確かここの煙突は、銀色に輝く油井型の煙突。

入口は千鳥破風の瓦屋根。入口前にはクルマが3台ほど停めることができる駐車がある。
あれ、ここも暖簾が掛かっていない。暖簾のない銭湯が続くなぁ・・・。
暗い道に面しているけど、入口が結構明るく、存在感を主張している。

今日は南風で雨もぱらぱら。正面には弧を描く傘入れ。おしどり錠がついた傘を差し込む式のもの。傘を入れる。
下足箱もおしどり錠。木目調の蓋と白い蓋の列がある。赤・青・白よりシックで鎌倉らしい落ち着きがある。

番台への戸もギザギザガラスが嵌められた古風な木戸。
番台は木組のものであるが、装飾はないシンプルな造り。そこに、屋号の由来の女将清水さんが座っている。

脱衣所は3間四方、壁側と島ロッカーが1つ。おしどり錠が付いている。
天井は幅広の長い欅の板が渡してある。折り上げに替え、そこには段が付けられている。
よく判らないけど、格天井ではないけど、安造りの格天井なんかより、かなり凝ったものなのだと思う。

かなりオープンな造り。窓が多く、塀も低いので外が見渡せる。
恐らく、向かいの2階家からは、脱衣所や浴室までもが見渡せると思う。
女湯の窓を見上げても目隠しなども無い。大丈夫なのかな・・・。

大黒柱には「職方一同」と書かれた黒い柱時計。
何だか心持ち長いような気がするし、正面だけでなく側面もガラスが嵌められている凝ったもの。
しかし、文字盤が新しい。振り子が止まっており、新しい時計が嵌めこまれている。

最近、大黒柱の黒い柱時計が動いていないのは壊れているのではなく、ゼンマイを巻くのが面倒だからではないかと思うようになっていた。
聞いてみると、ここではやはりそうであった。
何ヶ月かに1回、脚立を出して高い所に登らなければならず、難儀なので改造したと。

水着や下着を洗濯してはいけないとか、砂を落として方入浴すること、という注意書きがいくつか。
ここからは、鎌倉駅よりも材木座海岸の方が近い。
夏は海水浴客、冬はサーファーが立ち寄るからだろう。珍しい注意書きではある。

浴室へは半自動の戸を開けて入る。
浴室は幅3間、奥行き4間の広さ。天井は2段型。
中型の銭湯だけど、鎌倉の銭湯としては大きい方だと思う。
ここの浴室を一言で表現すると「白でシンプル」。

浴槽は半小判型で、奥の壁から舞台の花道のように伸びている。
その前に小さな六角柱があり、6組のカランが付いている。初めての遭遇。

いわゆる普通の島カランはなく、センター側に9、外壁側に7つのカランがある。
壁側には、さらに2人分の鏡が張ってあるけど、カランはなし。
その隣には立ちシャワースペースに洗濯機が置かれている。この部分が少し外壁よりさらに外に張り出している。
カランは、日の丸扇の刻印がある丸みのある旧型。

浴室のタイルは、築後50年の間一切手を入れていないと女将は言っていた。
床のタイルが変っている。正六角形の白いタイルを組み合わせている。これが精密に組まれていて、極めて平滑に張られている。
技術的なことは不案内だけど、これはかなりの技と察せられるもの。

カランの台も壁もすべて白いタイルで統一されている。
鏡を長いものから、一人ひとりの楕円のものに張り替えているので、ネジ穴の跡がちょっと見苦しいけどなかなか潔い浴室である。

ペンキ絵はなく、半小判型の浴槽の奥(正面)には章仙画の池に鯉と金魚のタイル絵(縦5枚×横10枚)。
その右と左には、一対の小ぶりの金魚のタイル絵(縦2枚×横3枚)。
白一色の浴室の正面に、3枚のタイル絵。なかなかの様式美だと思う。

客は小生の他に2名(土曜日19:00)。客は少ない。

脱衣所に茶髪のあんちゃんが、しばらく座っていた。
女将が「お待ちどうさまでした」とよく通る声。
なんか、売っているのか・・・と思っていたら、番台の横を通り過ぎる若い女性の姿。
若い2人は常連なのだろう。なかなかいい光景だった。



(2004.11.27)