差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2004年8月1日日曜日 14:35
宛先: 銭湯ML
件名: 新栄湯(豊島区池袋)

ナカムラです。

今日(7/31)は、「新栄湯(豊島区池袋)」に行ってきました。
池袋駅から、0.2キロ、5分くらいです。

大学が隣の目白だったし、社会人1年目は、オフィスと営業エリアの乗り継ぎ駅だったので同期で集結したりもした。
久し振りだけど、東京芸術劇場や新しいビルができて、雑然・混沌としたものがだいぶ整理されてしまったかな。

さて、新栄湯。
ビルが林立する表通りを折れ、少し進むと静かな空間が広がっている。
大きな庭木の脇に千鳥破風で黒瓦の入口がある。
入口へのアプローチは1間程だけど、その左右および正面に庭石が設えてある。なかなか見ない造り。

風格のある入口だけど、ゴミの集積場なのか、それらしい掲示物、ポリ容器、清掃道具、古いダンボール箱などが置かれ雑然として、清潔なイメージとは対照的。
銭湯としては、いかがなものかな。

暖簾はない。正面の番台裏には緑のマジョリカタイルの縁取りの中に富士山のタイル絵(縦3枚×横3枚)があるけど、ここもゴミ箱、ダンボールなどが雑然と積まれている。
「入りたい」という感じにならないのは残念だ。

エントランスは平格天井。下足箱は古くはなく、錠はプラスチック札の「SakuraG」錠が付いている。
番台への戸を開けると、古色蒼然としたレトロな空間が広がっている。

番台は焦げ茶色の材で組まれた四角いもの。
入口の戸よりも、番台の後ろの面が後ろにあるコックピットタイプ。

脱衣所の広さは2間半四方と中型の大きさ。
天井は、折上げ格子天井(5×11)だけど、一部が破れたりしている。
その渋味が利いている天井から、天井扇と蛍光灯照明器が下がっている。

脱衣所の窓は、木枠の古いもの。
壁は剥離が目立つ。かなり煤けてグレーになっている白壁?。

普通、柱時計の架かっている大黒柱には、何と海ガメの剥製が架かっている。
同湯の脱衣所はやや暗いのでよく見えないが・・・、かなり異色の陳列物・・・。

男女境の上には、点いていないけど、中に蛍光灯が仕込んである(?)広告看板が並んでいる。
局番が3ケタのものが多い。もう機能していないものが多いのかな。

「池袋スカイ劇場」というストリップ劇場の広告・・・。
「連日オールナイト」「実演」などの文字が並んでいる。
懐かしいなぁ。行ったことはないけど、学生時代何かと話題になった劇場・・・。
閉館の記事を新聞で読んだ記憶がある。調べてみると、丁度20年に閉館している。

「質と金融セキネ」のコピーが壮絶だった。
「富士の山程札束積んで あなた来るのを待つわたし」

見入っていると、幅のあるその広告看板の上を、海ガメの方から、猫が歩いてくる。
終点は番台正面のテレビ。
番台の女将が見ている小さなテレビに乗って居眠りしはじめた。

ほの暗さといい、極めてまったりとした時間が流れている。

ロッカーは島ロッカー1つと外壁側がほぼ全面がロッカーになっている(6×3)。
外壁側のロッカーが古いようで「SAKURA」の錠がついたものがある。
一部「SakuraU」に置き換わっている。

「SAKURA」錠は初めての遭遇かも知れない。
「さくら」というのも見たことがあるけど、どっちが原型なのかな・・・。

外壁側のロッカーの上には、雑然と常連桶が並んでいる。
さらに、ベンチにはびっしりとタオルが掛けられている。

おまけに、勝手に使うヤツがいるのか、個人の物なので勝手に使わないで下さいといった旨の注意書きが2箇所くらいに貼られていた。
光景的には、かなりイマイチかも知れない。

ベンチの後ろ、入口側は木の桟の古いガラス戸になっている。
このガラス越しに見る庭はどことなく「遺跡」を見るような感じがした。
水のない池、石灯籠、大きな木と役者は揃っているけど、夕方の陽光とガラスの掃除をしていないせいもあって、風景がどことなくセピア色に見える。

浴室は、幅2間半、奥行3間半。
女湯の方が広くて、幅3間はある模様。大黒柱もセンターに立っていない。

島カランは2列で、カラン数はセンターから6・3・3・3・3・4。日の丸扇の取っ手が金属の8角形のもの。
タイルは、床がパール色に輝くなど新しいもの。カラン周りも新しい。

浴槽は深浅2槽。
浅槽が外壁側に接していない。釜場への通路と同様な幅が外壁側にあるのが特徴的。
そして、そこに緑青を吹いた古い水栓があった。

ビジュアルは、センターに古いタイル絵が3幅。
緑のマジョリカタイルに縁取りされた「舟に松」「富士山」「塔のある公園」といった図。銘等は無かった。
男女境も新しいタイルに改修されているけど、この絵を避けて新しいタイルが貼られている。

奥壁は早川師の上州老神の図。平成9.9.9の絵はかなりボロボロ。
下が木枠になっているけど、一部が落ちそうだったりする。

蛍光灯に円筒形のカバーという照明器(失われているものが多いけど)も結構、印象的なものだった。

池袋の歓楽街に近いレトロな銭湯。
和田さんが言われるように「唖然」とする部分が多々あった。
でも、ベンチに座っていると不思議と居心地は悪くない。
まぁ、小生にとっては懐かしい場所だし、いろんな思い出を巡っていたかも知れないけど・・・。

付近には風呂なしのアパートが依然として多いようだった。
土曜日の16:00〜17:00くらい滞在したけど、相客は10数人くらいと、ボロ銭にしてはそこそこと感じた。
刺青の気性の荒そうな人も出入りする。