新月湯（豊島区池袋本町）

差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2008年8月17日日曜日 15:09
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 新月湯（豊島区池袋本町）

ナカムラです。

今日（8/16）は、「新月湯（豊島区池袋本町）」に行ってきました。北池袋駅（東武東上線線）から、０．2キロ、2分くらいです。

池袋の旧青線地帯でもあった飲み屋横丁の「人世横丁」が今月末で取り壊しになるというので２０数年振りで再訪する。去年「ひかり町」が取り壊されて更地に、そして人世横丁。「栄通り」「美久仁小路」は残っているものの、闇市時代の残り香のある一角が消えて行こうとしている。

ついでに、北口の歓楽街や旧池袋三業地などをも散歩。ロサ会館の西側から「池袋三業」のアーチが掛っていた旧青線街はバブル期の再開発で一掃されてしまった。この一帯は新宿のゴールデン街が普通の街になった後も、それなりの怖さがあった。

久し振りに歩いたけど、池袋北口に往時の雰囲気は無くなっている。池袋というと小便臭さが思い浮かぶけど、今でも路地裏を歩いているとそれは変わらない。

雲が多くなり、ついに雨が落ちてきた・・・。そんな中で、「栄湯」「前田湯」「小松湯」「三鈴湯」と回って、豪雨に変わった中で、一番レトロな「新月湯」に避難することにする。

同湯のある池袋本町は、旧池袋村の中心地。鉄道が通って繁華になっていった、いわゆる「池袋」からはかなり離れている。しかし、通りには戦前からの店舗建築もいくつか残っている。

同湯の建物は、昭和３０年代前半の建築で５０年を経ている。黒瓦を乗せた脱衣所棟に、平入りで直方体のエントランス部が設けられている。左右の塀と同一の材質で一体的に造られていること、エントランス部の屋根の装飾に青いスペイン瓦が使われていることが珍しい。入口部分は、なんとなく大阪銭湯に似ている。

プラスチックの波板が設置されていて外からは庭木も望めなくなっているけど、かつては落ち着いたデザインの塀とともに、料亭的な趣があったと思う。

突然の豪雨で一番風呂勢の爺や婆はバスタオルを被って帰っていく。直ぐにずぶ濡れになる大雨で気の毒だ。かくいう小生も、小さな傘をさしてはいるもののずぶ濡れ。インクジェットでプリントした地図は、インクが流れて判読不能になった・・・。

暖簾は掛かっていない。正面に目隠しを兼ねた傘を縦に収納する式のロッカーがあって、左右にはSakuraG錠の下足箱。同湯はプラスチック札ではなくて、木製の番号札だ。

戸を開けると左右に雲型の衝立を持つ木組みの番台。女将の座る位置が後方に下がったタイプだ。４５０円を払って50番目のスタンプを頂く。

脱衣所の広さは幅３間、奥行４間ほど。天井は渋い茶色の折り上げ格天井。古い天井扇がその真ん中に下がっている。庭には池などはないけど、緑豊か。縁側へのガラス戸がアルミサッシではなくオリジナルなのがいい。

その他、大黒柱には振り子を揺らす黒時計。ただし、昭和５９年の中普請の時のもので電池式のものらしい。黒時計のレプリカを意識して眺めたのは初めてかも知れない。その他、島ロッカーが縦置きで２つ、新型マッサージ機、Keihokuのアナログ体重計などがある。

浴室は幅３間半で奥行が４間ほど。奥行きがさほどでもないので大型っていうほどに大型ではないものの天井は高く、島カランは２列になっている。

浴槽は深浅２槽。深槽に２穴ジェットが１機あるだけの静かなもの。湯は井戸水を薪で沸かしている。開けられた天窓から流れ込むのか、薪の匂いが癒しの気分を誘う。

ビジュアルは、浴槽後方の池に鯉のタイル絵。３０年代初期のものの特徴として鯉の躍動感は抑えられていて静かに泳いでいる図だ。鈴榮堂のものに間違いないだろうけど、そのクレジットは無かった。

タイル絵の上は銀色のボードになっていてペンキ絵はない。昭和５９年にこのボードを張った。ペンキが乗らない材質だったということで、以来同湯からはペンキ絵が消えた。幅の割にやや寸詰まりの浴室にペンキ絵がないのは残念だ。ペンキ絵には空間を雄大に見せる効果がある。特に同湯にはその効果は大きかったハズだ。

上がりはスーパードライ230円。昼を抜いてのすきっ腹に一気に流し込んだのでやや胃がもたれる。

夕方からは、新宿で高校時代の友人１０人くらいで飲み会。子育てが一段落したり、独身に戻ったりで最近は女性の参加も多くなった感じがする。

小生は「成績下位低迷者」と呼ばれた落ちこぼれだったけど、起業する人、テレビカメラマン、国際協力機構中枢、OLから弁護士に転身し大学でも教鞭を取っている友人など、相変わらず多士済済。

そして、いつも通り、終電近くまで。一体、レモンサワーを何杯飲んだんだろうか・・・・。

隣席の薬剤師に、最近、中性脂肪が1000を超えたことがあって、おばあちゃんの主治医もびびっていたと話題にすると、クラスの人気者だったその美人薬剤師は「聞いたことがない数値っ・・・。」と絶句されてしまった・・・。

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ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
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人世横丁今月いっぱいで取り壊しになる。各小路の店には「簡易料理店」という古い鑑札が残る。	美久仁小路
美久仁小路	栄通り
池袋本町