差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2009年7月25日土曜日 22:01
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 勝利湯(広島市南区宇品御幸)

ナカムラです。

今日(7/18)は、「勝利湯(広島市南区宇品御幸)」に行ってきました。 宇品二丁目の電停(広島電鉄宇品線)から、0.2キロ、2分くらいです。

「宇品港(広島港)行」という路面電車に乗って行く。軍都広島にあって宇品港は重要な港で あり、かつて国鉄にも宇品線という路線が広島駅との間を結んでいた。そして、同湯近くの広 島市郷土資料館(爆風で曲がった鉄骨がある)は軍の食糧工場。付近はかつて大陸派兵の基地 として軍事色の強い地域だった。

同湯の現在の建物は昭和元年築。「勝利湯」という屋号にもこの地域の雰囲気が込められている。 爆心地から離れているとはいえ、同湯の建物は被爆し、その爆風で傾いた建物を起こし現在に 引き継いでいる。ただ、歴史が長いというだけでなく「戦争」という記憶を伝えている。

どことなく洋風のファッサード。真ん中にアーチ型の入口部があって、その内側、左右に、男・ 女湯へのレトロな扉がハの字型に設置されている。

ドアを開ければ、経験したことがない構造だった。靴脱ぎ場の脱衣所側には全部透明なガラス が使われていて脱衣所が見渡せる。さらに、小さな靴脱ぎスペースと脱衣所をつなぐガラス戸 が2つある。番台横の戸が「入口」で、外壁側に近い方が「出口」なのか。。。

脱衣所は、幅3間弱、靴脱ぎスペースを合わせて奥行4間ほど。番台は古風な木板張りで高い。 一部コックピットのように後方に下がってその両サイドが透明のガラス張り。渋くてスマート、 番台周りの構造も特異さが際立っている。

床はどっしりとした厚い板の板の間。浴室方にも扉を有する男女境に設置されている古い鏡も、 一部に銀の剥離はあるものの、その銀の厚みからして高級なものだと分かる。

ロッカーは外壁側に「MIYASHITA/おしどり」錠の焦茶色のオール木製ロッカー。その他、木製 の古いベンチ、旧型マッサージ機、腰高の陶製火鉢、日本度量衡製のアナログ体重計と「今は いつの時代だっけ」と考えさせられる年代ものがずらりと並んでいる。

浴室は、幅3間弱、奥行4間ほど。天井には四角い湯気抜きが1つ。カランは、一部色付きを ガラスブロックの男女境に8+2、外壁側に9。カランはレバー式のもの。オリーブの実のよ うな取っ手が木製。初めて遭遇するものだった。

浴槽は、センターに長方形のものが1つ。奥が浅く小さなバイブラ槽、手前が広島3段型浴槽 で「金棒ジェット」が2つ立っている。水道を重油で沸かしたお湯の温度は42度くらい。

ビジュアルは奥壁の低い位置に正方形のタイル絵。1メートル四方の中に池を泳ぐ緋色と黒の 出目金が10数匹等間隔で描かれている。デザイン的でもあり、そうでもなく、なんか不思議 な金魚の絵だ。そして、外壁側がガラスブロックになっていて一部色付きのものが使われてい る。

土曜日の15:15から16:00くらいに滞在。案外に人の出入りが多く、相客は10数人 くらいだった。

銭湯の入口の扉を開けた時、女物のサンダルが転がっていて、女湯と間違ったかと焦ったけど、 爺さんと来ていた学齢前の少女だった。しかし、もちろんサイズは小さかったけど、スナック のママが普段使いしているのと同じようなけだるい感じのサンダルだったなぁ・・・。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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