差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2013年7月11日木曜日 22:30
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 昭和湯(徳島市津田本町)

ナカムラです。

今日(6/18)は、「昭和湯(徳島市津田本町)」に行ってきました。

徳島駅から津田海岸行のバス(徳島バス)で「津田二丁目」で降りて、0.5キロ、7分くらいです。

ロープウェイで徳島のシンボル眉山に登る。明治時代は日本で数番目の人口を擁する都市だったよ うだ。人口面では大きな成長を見せずに今に至っている。

そして、秋田町の遊廓を散策。ここは現役との噂もある一帯。昼過ぎだけど、不自然に家の玄関先 に座り客待ちとも思える女性が居て、撮影してはマズい街と悟る。そしてここには橘湯という廓の 銭湯が残っている。さほど古い時代の建物ではない銭湯だった。さらに、市街地にある新町温泉、 ほてい湯のつなぎ歩き。

少し甘い感じの醤油豚骨の"徳島ラーメン”を頂き、駅前のバスセンターで津田方面のバスに乗る。 途中の昭和町では、道端に現れるだろう昭和温泉に目を凝らし、予め目測でピントをセットし、シ ャッターを切る。今回は久しぶりに一眼のOM-Dをメイン機として持ってきた。当たり前だけど、コ ンパクト機に比べ圧倒的にラグが少ない。何とか目標を仕止めることが出来た。。。

さて、昭和湯。船酔いが気になって断念したけど、東京・日ノ出桟橋から別府行のフェリーに乗る と、経由地として徳島の漁港津田港に入港する。同湯は、そんな港町津田のかつてのメインストリ ートに2軒残る老舗のうちの一軒。

メインストリートもう1軒は、大和湯という銭湯で、昭和湯とは100メートル余りしか離れていな い。油井型の煙突から勢いよく黒煙が立ち昇り迫力があったけど、建物は古いものではなかった。 因みに、”大和”はこの辺りに多い姓らしい。通り掛かった大和さんが教えてくれた。

昭和6年創業の昭和湯。海と海を繋ぐメインストリートのほぼ中央に位置している。簡素な切妻の 和風下見板張りのファッサード。創業以来の姿を引き継いでいる。しかし、それは上半分だけで、 下は車4台分ほどの駐車スペース。平成元年に旧脱衣所の上部だけを残し、全てリプレースされて いる。

車の間をすり抜けると、暖簾が2つ下がる入口がある。開けると小さな靴脱ぎ場と日之出マークの おしどり錠の下足箱。女湯側の靴脱ぎ場とは旧型マッサージ機などを置いた小さなマッサージ室を 介して繋がっている。

番台への扉を開けると、木組みの番台に三代目の大将が詰めている。相方が2人分の風呂銭720円 を払う。

脱衣所の広さは、幅2間、奥行2間半ほど。天井は高さ1間と2/3ほど。高くはないものの平格天 井。壁や男女境も節のある板材を横に張ってある。また、ご常連の湯道具を置くスペースとして、 男女境の鏡の下に上品な硝子扉の戸棚がしつらえられている。銭湯では見たことがない類のもの。

床は籐敷き。ロッカーは外壁側におしどり錠のものが並ぶ。ロッカーの下部に、木製の丸椅子が整 然と収納されていて、更衣途中で腰掛けることが出来る。ありそうで、ほとんど見ない工夫に感心 する。

オリジナルの脱衣所がどうだったのか分からない。しかし、伝統的な銭湯の雰囲気を少しでも再現 しようとしている意図は明らかだ。清潔で整然としている。三代目の伝統的木造銭湯に対する想い を感じる好感度の高い脱衣所だと思う。

浴室は、幅2間、奥行は奧のサウナ室を含め5間にも及ぶ。天井は2段型と中央湯気抜き型をミッ クスしたような複雑な曲線と濃淡ブルーの複雑な色をしている。この浴室は、オリジナルの2間幅 そのままに、建替えではなく、新築されている。陸奥湊・松竹湯も確かこんな方法で建物のリプレ ースをしていた。しかし、こんなに細長くしなくてもというほどに縦長だ。

カランは外壁側のみで、10機のカランがズラリと並ぶ。その間に3機、ステンレスのコップをレバ ーに押し当て水を注ぎ入れる方式の水飲み器具が、壁に取付けられている。銭湯以外でも見掛けな い珍しいものだ。

浴槽は、男女境に接して、手前からシャワー、打たせ湯、素の浅槽、主浴槽の気泡風呂の深槽、薬 湯、水風呂と並ぶ。お湯は、井戸水に水道をブレンドしたもの。煙からすると廃油で沸かしている のだろうか、42度くらい、やや硬度を感じるお湯だった。

そして奧壁の更に後ろに、土壁が使われた大きなサウナ室がある。女湯サウナの井戸端会議がリア ルに聞こえて来るので土蔵などとは違うんだろうけど、乾式サウナなんだけど、しっとりとした湿 度があって上質な居心地を感じる優れたものだった。そして、サウナ室の横には、観覧車のゴンド ラのような2人用の休憩室。外気が入る鎧戸と、中央にもの凄い勢いで水が出る冷水シャワーがあ る。涼み所としては経験したことがない狭さと閉鎖性だ。シャワーの飛沫が凄いので、実質1人用 かな。。。

火曜日の夕方、17:55から18:45に滞在。10台ほどの駐車スペースはほとんど塞がって、相客は延 べ20人は超えていたと思う。羊頭狗肉と言ったら怒られるだろうけど、レトロさを期待していたの で、それが偽らない気持ちだった。もっとも、港町というロケーションといい、木に拘ったイニシ エの脱衣所の再現といい、銭湯としては水準を大きく上回る優れたものだった。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
メイン:masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp  
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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                         昭和湯からさほど離れていない「大和湯」




                              昭和町の「昭和温泉」

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