差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2014年4月29日火曜日 20:12
宛先: 銭湯ML (sento-freak@freeml.com)
件名: 昭和湯(中野区野方)

ナカムラです。

今日(4/18)は、「昭和湯(中野区野方)」に行ってきました。 中野駅(中央本線)から、1.4キロ、15分くらいです。

4月も半ばを過ぎたというのに、冬に逆戻りしたような寒さで小雨も落ちてきた。これはヤバイと 感じて、合流する相方にダウンジャケットを持って来てもらう。

週末なので新人歓迎会が多く催されているのか、駅前はかなりの人出になっている。昭和湯への道 すがら、どこの飲み屋も混雑している。

駅北側に広がる旧警察大学校跡の再開発エリアを廻り込み、北上する「監獄通り」に入ると住所は 野方に変わる。

この辺りの道は、畑の畦道でもこうはならないだろうというような形容し難い複雑さがある。そし て、中野駅、西武新宿線の野方駅や新井薬師駅からもアクセス出来そうだけど、何処からもそこそ こ遠い。

もう30年以上も前に、すぐ近くにあった中野刑務所(現、平和の森公園)の煉瓦積みの表門を撮影 しに来たことがある。そこからも近い。

そんな輻輳した細い路地の奥に、かなり大型の銭湯が現れる。この辺りは戦災に遭っていないよう だ。斜め向かいには出桁造り風の戦前の家が残り、「ヤクルト申込所」という琺瑯看板が掛かってい た。

同湯の正面はマンションに変わっているけど、昭和22年の航空写真を見ると、出桁造り風の家がも う2軒あったようだ。聞けば床屋や薬屋だったらしい。同湯の通りには、戦前の「湯前町」の光景 が辛うじて残っている。

「昭和湯」は大正5年に有楽町で創業。昭和11年に当地に移った。そして、昭和32年に現在の建 物に改築されている。コンクリ煙突を従えた大型の伝統的木造銭湯だ。

千鳥破風のファッサード。オリジナルのエントランスは無く、ロビーや併設の喫茶店が入った増築 の建物に変わっている。入口周りには煉瓦調のタイルが張られ、控えめで洒落た屋号の表示器が立 っている。

暖簾は無く、中に入れば黄緑色のアクリル扉の下足箱に松竹のアルミ板鍵の下足箱が並ぶ。

自動ドアを通りロビーに入ると、下町によくいる感じの親爺がフロントに詰めていた。サウナはプ ラス200円でふっくらとした大小タオル付。

最近まで浴場組合の理事をされていたという大将は、聞く前から昭和32年早稲田実業卒と教えてく れた。思い返すと王貞治氏と同じ時代に高校生活を送っている。おそらく、誇りであり、自慢なん だろうと感じた。

脱衣所の広さは幅3間半、奥行3間ほど。さらに、前栽を潰したとおぼしきスペースにリクライナ ーを並べた休憩スペースがある。

壁も天井も平成の初め頃にクロス張りにして、それが相応に草臥れた感じになっている。さらに、 照明が間引かれているのでやや潤いに欠ける雰囲気になってしまっている。

ロッカーは松竹錠シリンダ式のもの。その他、ASANOのアナログ体重計、自販機などがある。

浴室の広さは、幅3間半、奥行4間ほど。天井はプラ板張りの2段型。本来であれば水銀灯で煌々 と照らされるんだろうけど、こちらも節電が行き過ぎてサービスが低下している感じが残念だ。

島カランは2列で、カラン数はセンターか5・5・5・5・0・3。カラン周りのタイルはサワーピンク の大理石紋様のもの。床は星形模様の淡いグレーものが使われている。

浴槽は、奥壁に沿って深浅2浴槽。深槽は7点座ジェット×2。浅槽は水柱が高々と上がる豪快なバ イブラと外壁側に電気風呂がある。同湯のお湯は天然水100%でそれをA重油で沸かしている。豪快 なバイブラなので湯の状況は分かり辛いけど、悪くない感じだ。

サウナは、広く冷たすぎない快適な水風呂も備わっているものの、少しだけ温く、ちょっと物足り ない感じだった。もっとも、この位の温度に長い時間かけて入るがいいのかも知れないけど。。。

ビジュアルは、大きな奥壁に日輪を挟んで2羽の鶴が向かい合う絵柄の、ちぎり絵調のモザイクタ イル絵。単一のモチーフを大きく描いている珍しい感じの絵だ。そして、その下側に硝子窓がある。 よく見るとシャープの29型くらいのブラウン管テレビが埃を被っている。故障して以降、かなり長 い時間が経っているようだ。

最近は、電気風呂に入れるようになった。電極を腰に直接当てたりと、やや激しい使い方も試して いる。ただ、肩に電極を当てようとして、電極が心臓近くを通ったら、軽く苦しくなった。ちょっ と気を付ける必要がある。

上がりは明治牛乳120円。

雨降りの金曜日、19:40から20:40に滞在。相客は10人弱とまずまず多い。力が入った中普請を行 い、一昔前はそれなりに流行った銭湯だろう。しかし、更新投資がされていないため、あっちこっ ちに草臥れた印象があった。

節電をもう少し緩めると居心地がアップするんだけどなぁ。それと”箱”があるんだから、今時の 安くなったテレビを入れた方がいい。

上がりの一杯は、道すがらの「円らく 中野荘」という小洒落た居酒屋。若者向きの店の雰囲気に反して、 オープンキッチンもホールも若くはないスタッフというのがちょっとアンバランスで面白かった。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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