差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2004年8月1日日曜日 14:34
宛先: 銭湯ML
件名: 大正湯(江東区立川)

ナカムラです。

今日(7/30)は、「鈴榮堂」のタイルが逆さまに貼られたレアなタイル絵がある東京様式の伝統銭湯、「大正湯(江東区立川)」に行ってきました。
森下駅(都営新宿線・大江戸線)から0.2キロ、2分くらい。地図を見て思い描いていた距離感よりもだいぶ近い感じです。
交通量は多くないけど、2車線道路の交差点に同湯はあります。

コンクリの階段を3つ上がって入口。唐破風の堂々とした黒瓦。
脱衣所棟の上に、さらに大きな千鳥破風が付いている。
角地で少し高い敷地にあるからか、かなり大きな印象を受ける。

屋号を記したオリジナル暖簾の上に「ニコニコ入浴日」なる暖簾が掛かっている。
墨田区の銭湯の何かのイベント日なのか・・・?

正面には、傘を突き差す式の傘入れ。「MON」の古びた錠がついている。
その上には昭和33年生まれの招き猫が、おいでおいでをしている。
下足箱はカナリア。蓋も造りもなかなか古い材で造られている。



蒸し暑い日につき、番台の後ろのガラス窓、男湯へのガラス戸は開け放たれている。
番台は茶色の新建材が張られたもの。

脱衣所は、幅2.5間、奥行3間。
狭くはないけど、外観の大きな印象と比較してしまうと、「意外に小さい」と感じてしまう。
天井は折り上げ格天井(7×10)。
3枚羽の天井扇が付いているけど、回っていない。女湯の方は羽が無い・・・。

「TOKYO(東京錠前製作所)」の錠が付いた島ロッカーが斜めに2つ置かれている。
これとは別に外壁側にロッカーが30個。このロッカーは扉の大きさが旧型仕様で横に幅広い、開けてみると奥行きもある。
これも「TOKYO」の錠が付いている(一部は松竹錠に置き換わっている)。以前は木製の扉が付いていたのかも知れない。

大黒柱には黒時計があるけど、12時で止まったまま。
だから、その下に正八角形の新しい時計がある。
時計の前、男女境の一番奥に座布団に座ったボロボロの福助。
(女将が雑巾掛けをしたかららしい・・・。)
その他、「Keihoku」のアナログ体重計、飲み物がギッシリ詰まった冷蔵庫、アイスクリームケースがある。

脱衣所と同じ幅、エントランス棟と同じ奥行きという、小さな庭がある。
でも、池に鯉、瀧に石灯籠と様式は揃っているし、整備されている。
なかなか、いい感じ。

浴室は、幅2間半、奥行4間半と縦に長い。
天井は2段型で、高い方の天井が水平で広い「体育館型」。
大黒柱や梁など主要な部材が白木で維持されている。床のタイルも3センチ角の旧型の白タイル。なかなかいい。
大黒柱にはスピーカーがあって、有線の演歌が流されている。シブい。

島カランは1つでプレーンなもの。
カラン数はセンターから、9・2・2・9。Waguriの赤・青のボール型の取っ手で管が五角?形のもの。
シャワーはセンターに4つのみ。さらに同数のシャワーが付けられるように配管はされているが、設置されていない。

極めて特徴的なのは、長い浴室なのに、この島カラン片側に2組しかカランがない。洗い湯を流す溝もない。
大きな浴室に、ちょこんと奥に小さな島カラン。少し変った風景・・・。

浴槽は深浅2槽。
浅槽は2穴ジェットが3機。44度くらい。深槽は弱く泡が立ち上る式のもので45度くらいと湯温はやや熱い設定になっている。

ビジュアルが充実している。
浴槽の上には、池に鯉、金魚の章仙画のタイル絵(縦4枚×横20枚)。
カワセミが描かれているのが珍しい。

さらに、落款「章仙」の下、一番左下のタイルの「鈴榮堂」のタイルが、誤って逆さまに貼られている。
どうしてこんな間違いが起きるのか不思議だ。
タイル絵は、施工当時は今以上に高価だったもの。
なぜ、銭湯サイドも補修を求めなかったのだろう・・・。

くだんのタイル絵の上には、丸山師かな(松は中島師のようでもあるなぁ・・・)、渓流の奥に富士山。
左に道が描かれているという、よく見る絵柄。

男女境には、岬、灯台、大海原という雄大なモザイクタイル絵。幅が大きいので壮大なタイル絵となっている。

同湯は一時期休業していたらしい。
脱衣所、浴室ともレトロな雰囲気を残している清潔な銭湯。居心地が良かった。



湯上りは、駅前の「山利喜」という大衆酒場で一服。
やきとん、煮込み、おぼろ豆腐に生ビール。混んでいる店だけあって、美味しかった。