差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2010年1月17日日曜日 12:09
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 大勝湯(荒川区南千住)

ナカムラです。

今日(1/15)は、「大勝湯(荒川区南千住)」に行ってきました。三ノ輪駅(東京メトロ日比谷線)から、0.4キロ、5分くらいです。

同湯から最も近い駅は都電荒川線の三ノ輪橋駅。荒川線は旧王子電気鉄道。駅のすぐ近くの旧王電ビルディングは1階中央が通路で、その両側に下町の飲食店が入る。一般の商業ビルとは異なる独特の雰囲気を持つ。そんな通路を抜けて、ジョイフル三ノ輪というアーケードがあり、その中に同湯はある。向かいには、藪、更級と並ぶ、蕎麦処「砂場」の総本店がある。

創業は大正時代という。屋号はそこに由来するようだ。現在の建物は昭和47年改築のかなりシャビーなビル。しかし、ここ一帯ではひときわ大きな建物だ。看板が無造作に裏返されているがものの、上の階にはスイミングスクールが入っていたようだ。そんな大きなビルの1階に同湯はある。

朝10:00からやっている銭湯というのは東京では珍しい。近くに山谷のドヤ街がある。そういった特殊性からだと思う。暖簾を潜るとエントランススペースがあって松竹錠の下足箱の多さに驚かされる。中に入って分かったことだけど、東京の一般銭湯の中で、同湯は最も大きいのではないだろうか。

フロントで連れが2人分の風呂銭を払い、上がる時間を示し合わせて中に入った。脱衣所への入口にはその男女境としてガラス絵が使われている。よく見かける東郷青児風の洋風の裸婦像ではなく、和服がはだけて背中をあらわにした女性像だった。

脱衣所は、幅3間、奥行4間半ほど。天井はそこそこ高く、昔こんなのあっなぁという昭和中期的な装飾過剰な照明器が現役で使われている。

ロッカーは外壁側に松竹シリンダ式のものがずらっと並ぶ。籠も少々。中央部にはテーブルとベンチがあるだけなので広々とした空間がある。

旧型マッサージ機に座って大将がテレビを見ながら脱衣所を片付けている。同湯の脱衣所には多数の「盗難注意」の張り紙がある。「盗難防止のお願い」「南千住警察署からのお願い」「貴重品は持って来ないで」「貴重品は絶対持って来ないで」「貴重品は持って来ないでね」など。組合、警察などいろんな組織のものや、やや強い口調のものや哀願調のものなどが、四方の壁一面に散在する。盗難事件発生のご苦労が忍ばれるものの、普通の人間はこの光景を見たら寛ぐことはできないだろう。そんな異様さがある。

浴室の広さは、幅3間、奥行き6間。さらに奥壁の後方に奥行2間の薬湯スペースがある。計8間の奥行というのは通常銭湯の2軒分の大きさ。入ってその大きさに驚かされる。

島カランは1つで、カラン数はセンターから7・11・11・12。長い男女境には「疲労回復風呂」なるジェット噴出の円形浴槽が組み込まれているのでカラン数が抑えめだけど、カランが並ぶ様は壮観だ。

浴槽は、底のバイブラが壊れたその円形浴槽の他に、奥壁に接して、6点座ジェット×2、電気、打たせ湯と並んでいる。どれも微妙にお湯が少なく、縁から湯面までの距離がある。オバーフローはないので、やや清潔感としてはユルイ感じがする。あっちこっちにぬめりがあるというのも同湯の特徴かも知れない。

ここの打たせ湯は強烈だ。3点座ジェットの椅子部の上には、ギロチンごとく2本の太いノズルが下を向いている。スイッチなどというものはなく、左側にある太い管のゴツイレバーを力を入れて引く。すると、ドッーという轟音とともにお湯が落ちてくる。閑散としているので問題はないものの、隣で電気風呂に浸かっている客が居れば、黙っちゃ居られないくらいの飛沫を浴びる。こんなシロモノを使う相客はいないので、かなり堪能して、そしてフラフラになった。

浴槽からの立ち上がり、奥壁の下部は岩が積まれ、その上はかなり大きなモザイクタイル絵になっている。宇宙を駆けるトナカイとでもいうのか、そんなイメージのSFタッチのものだ。

奥壁のさらに奥にある別室が薬湯スペース。水風呂と「草津温泉」、「和倉温泉」がある。草津温泉は硫黄の湯の花を溶かし込んだもの。和倉温泉は、かつて仕切りがあって半サウナ的なものだったようだ。塩分を含むお湯との表示があるものの、和倉温泉の経験がないのと、そっちこっちがヌメっているのでお湯の塩分を確かめる勇気は無かった。

金曜日の20:00から20:50に滞在。相客は数人とこの巨大銭湯としては寂しい人数だった。ただ、朝10:00から営業しているという銭湯でもあり、ピークの時間帯はもっと早い時間にあるんだろう。

大きな空間がある銭湯。ジャグジーなんて言葉が無い頃からあるだろう、男女境の円形風呂から眺める奥壁のタイル絵は、どことなく不思議な風景として強く印象に残った。打たせ湯も身体に強烈に作用する。

一般的には評価されにくい銭湯だと思う。しかし、マニア的には放っておけない何かがある。ユルイ部分と尖った部分。何なんだろうか。。。。

上がりは、先週に続きまた「奥様公認の店/森島屋」。入れ替わりで1人客が出て行き、店のご夫妻と話しながらカキ鍋をつついて、レモンサワー、麗人と飲み進んだ。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://www7a.biglobe.ne.jp/~masayuki/ (風呂屋の煙突)
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