差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2008年5月11日日曜日 6:55
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 大正湯(鳥羽市鳥羽)

ナカムラです。

今日(5/3)は、「大正湯(鳥羽市鳥羽)」に行ってきました。 鳥羽駅(JR参宮線)から、0.7キロ、7分くらいです。

新横浜駅6:34発の新幹線で名古屋まで。先ず、桑名市長島町の旧カフェー街の「水郷園」、桑 名の古い町並みが残る馬道、そして鳥羽の旧遊廓跡を散策する。長島町ではさほど女性街の痕 跡を見つけられなかったけど、鳥羽は三層の妓楼建築あり、張り見世時代からの連子格子の建 物ありと充実していた。

さて、大正湯。町田師の「銭湯遺産」にも掲載されている日本を代表する大正期に建てられた レトロ銭湯だ。20年ほど前には「富士の湯」や遊廓内の旧大里町の「大里湯」など4軒の銭 湯が残っていた。現在は同湯のみ。今は「鳥羽町」だけど、旧町名は「本町」。この辺りが鳥羽 の中心地だったようだ。

建物は黒瓦を載せた切妻屋根の2階屋。一階と二階の軒に、それぞれ黒瓦が載っているのが珍 しい。後方の煙突は油井型の中に土管を継いでいる。そして、先が破れている。隣が「久兵衛」 という焼き鳥屋で、傍らの小道は裏山にある寺の山門に通じている。同湯の煙突の後ろは、す ぐ山が迫っている。

男・女湯双方の入口に棒が吊るされている。そこに掛けられた関西風の縦長の暖簾が大きく揺 れている。 戸を開けるとコンクリのタタキと番台。すぐに脱衣所が広がっている。下足箱などなく、ただ 棚があるだけだ。

脱衣所の広さは幅2間、奥行きはタタキのスペースを入れて3間ほど。天井が変わっていて、 床と同じ「板の間」の天井になっている。シンプルだけどあまり見ないタイプの天井だ。そし て、番台も板組みの無骨なものだ。

鳥羽の風呂銭は350円。大将は男湯側に立っている。番台の中には小さな冷蔵庫が2台置かれ ているので、番台に座ることはないんだろう。

ロッカーは外壁側にオール木製のロッカー。錠は折り鶴マークのもの。プラスチック製の四角 い脱衣籠も積まれている。その他、味のある木製のテーブルや「故障」と貼り紙のある旧型マ ッサージ機、稼働していないビン入りコカ・コーラの自販機。半間幅の緩衝地帯には、白タイ ル&マジョリカタイルのシンプルな流しなどがある。

男女境の鏡には営業時間変更の告知がある。平成18年5月10日から、火曜日と木曜日は仕 舞いの時刻が2時間早い20:00になったようだ。同湯は井戸水を重油で沸かしている。燃 料価格高騰に直撃されている。

浴室は、幅2間、奥行4間。天井は四角錘型で中心部に湯気抜きが開いている。それにしても、 天井、壁の上部のペンキは剥離してボロボロだ。カランはセンター側に4つほどしかない。桶 はいくつかの混成だけど、白い睦和製の湯桶には赤字で「鳥羽浴場組合」と記されている。い つの時代のものなのだろうか。鳥羽市の銭湯は同湯だけになったので、浴場組合が無くなって から久しいはずだ。

タイル使いもレトロだ。壁と浴槽には10センチ角の白いタイルがくすんでいる。床は淡いブ ルーと深緑色のタイルがモザイク状に張られている。

浴槽は小判型のものがセンターに1つと奥壁およびセンターに接するかたちで熱い湯の副浴槽 がある。小判型の主浴槽にはやや濁りのある井戸水を沸かした湯が満たされている。湯温は4 2度くらい。重油で沸かしているけど、水の力が勝っているのか、浴感のある柔らかいお湯だ。 とても気持ちがいい。

土曜日の16:40から17:20に滞在。相客は5人ほどで、時節がら観光客風の人がひと り。

鳥羽は以前に勤めていた生命保険会社の社祖の故郷。かつては「門野幾之進記念館」があった けど、店舗や投資用テナントビルなどとともに売却されたのだろう。会社の看板はなく「歴史 文化ガイドセンター」というものに替っていた。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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鳥羽遊廓跡
"飾り窓"ともいえる女性を並ばせた張見世の連子格子が
これほどオリジナルな姿で残っているのは極めて貴重だと思う。