差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2014年2月23日日曜日 13:17
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 高砂湯(豊島区雑司が谷)

ナカムラです。

今日(11/9)は、「高砂湯(豊島区雑司が谷)」に行ってきました。 雑司ヶ谷駅(東京メトロ副都心線)から、0.7キロ、8分くらいです。

何年も前から、中島みゆきの「夜会」を観たいと思っていた。しかし、チケットはいつも“瞬間蒸 発”。観る機会は訪れなかった。しかし、昨日の夕刊に夜会の”映画”広告があった。ライブビデオ 映像を映画館で上映するというもののようだ。

特別興業ということで料金は2500円。通常の映画料金と比べてかなり高い。芝居のビデオは、ライ ブの舞台とは全く違う。しかし、「夜会」の興味の方が勝って、郊外のマイナーなシネコンの初日上 映に出かけた。新宿のテアトル新宿でも上映があるけど、朝の1回きり。かなり小規模な興業のよ うだ。

「2/2」というタイトルの「夜会」は、中島みゆきを含め4名だけで演じられる、壮大な叙事詩だっ た。20数年前に新梁山泊で見たコビヤマ洋一が中島みゆきの相方を努めている。実際の舞台の何分 の1かのエネルギーと思っているライブ映像だけど、それなりのパワーを感じ取ることができて満 足。どういう意図で差し挟まれた場面か理解できなかったけど、紫色の、冬の荒れる福井の海のシ ーンが特に印象に残った。

さて、東武東上線で池袋駅まで戻り、雑司ヶ谷最後の一軒、高砂湯へ。目白駅、池袋駅、江戸川橋 駅のいずれからもそこそこ遠い谷あいに位置している。この湾曲した谷間は、昭和15年に神田川支 流の弦巻川が暗渠化された川の跡の道。そこが道なりに古く味のある「弦巻通り商店街」になって いる。何でも事足りる賑わった商店街だったらしい。特に「雑二ストア」というアーケードの掛か った脇道や同湯向かいの美容室(廃業)が秀逸だ。

同湯はそんな商店街の銭湯。一帯は戦災を免れ、昭和22年の航空写真に、同湯の伝統的銭湯の姿を 見ることができるので戦前からの老舗と推測される。現在の経営者は昭和25年から経営を引き継い でいる。

昭和38年の航空写真も伝統的木造銭湯が写っているので、現在の古くなったビル銭湯はその後暫く して建て替えられたものだろう。ガスに切り替わり高い煙突は見えない。

暖簾はなく、ガラス戸を開けると傘立てと松竹錠の下足箱だけがある殺風景な靴脱ぎ。もう1枚の ガラス戸を入れば、脱衣所をパーティションで仕切ったフロントがこっちを向いている。

脱衣所に進めば、幅3間、奥行3間半。天井高さ2間の空間。鈴和建設の名入りの掛け時計が脱衣 所と浴室の大黒柱に掛かっている。さらに、普通のカレンダーよりも明らかに大きい、数字だけの 鈴和建設のカレンダーが下がっている。

鈴和建設の中普請にも当然に松竹梅があるんだろう。さしずめ同湯は梅といった所。大黒柱の木目 のドレスアップや部分的に木目調の仕上げが見られるもののかなり限定的。天井も模様の入った白 色のクロス梁。日本画を施した絢爛の天井も木目調の太い梁もない。節電が過ぎて暗いのも、やや 裏ブレた印象を与えている。

島ロッカーはなく、ロッカーは、外壁側にブロック状のシリンダ式のものがずらりと並ぶ。その他、 下が収納になっている木目調の台とベンチ、Yamtoのアナログ体重計、デジタル体重計、自販機、 表にコインランドリーがあるものの洗濯機のみ4台などが並んでいる。

浴室は、幅3間、奥行は4間ほど。プラ板張りのM字型の天井は、最高部である外壁側が2間と2/3、 男女境の上が2間と1/3くらい。奥壁に背景画に代わる鈴和の常套手段の写真(箱根の芦ノ湖と富 士山)がある以外は、殺風景なくらいにシンプルで装飾という装飾もない。

島カランは1列で、カラン数はセンターから、7・6・6・4。床のタイルはユリ模様の白。目地の入 れ替え中なのか、目地が取り払われている箇所が多い。男女境も外壁側も中判の白タイル。特に外 壁側は2間の高さまで。

浴槽は、奥壁から外壁に沿ってL字型に3浴槽。センター寄りから、深槽の気泡湯、7点座ジェッ ト×2、外壁側に細長く延びる紫色の薬湯槽。水道水をガスで沸かした白湯はいずれも42度弱とや や温め。薬湯は40度くらいか。かなり温めの温度設定になっている。

上がりは久し振りにデカビタ。池袋の「土鍋煮込と手料理/連家」で、居酒屋料理を頂いた後だった ので、多少、喉が乾いていた。本来ならば、風呂に入る前に水分を取っておくのがいいのかも知れ ない。

土曜日、やや遅い時間の21:55から22:40に滞在。相客は2人ほど。雑司ヶ谷地区最後の一軒。水・ 金と週2日の定休。営業開始時間も17:00からと少しばかり遅い。殺風景なくらい、ただただシン プル。周囲の郷愁の街並みに強く心惹かれた銭湯だった。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
メイン:masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp  
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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                   高砂湯向かい廃業した(?)美容院




                         雑二(雑司ヶ谷二丁目)ストア




                       雑司ヶ谷大鳥神社。酉の市の期間だった。

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